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2001年5月22日 | ||||||
光ネットワークをダイナミックに制御する テラビット級光MPLSルータを開発 - SuperComm2001において動態展示を実施 - | ||||||
日本電信電話株式会社(以下NTT、東京都千代田区 代表取締役社長:宮津純一郎)は、光の時代にふさわしいIPネットワークの構造改革を目指して、IPトラヒックの変動に即応して通信経路や通信帯域をダイナミックに制御可能なテラビット(1兆ビット)クラスの大容量光MPLS (Multi-protocol Label Switching)ルータを、NTT未来ねっと研究所において世界に先駆けて実現しました。本光MPLSルータは、6月3日より米国アトランタにて開催される展示会(SuperComm2001)において動態展示されます(図1)。 今後、光MPLSルータについては、インターネットを始めとするIPネットワークのさらなる大容量化、高信頼化及び経済化を実現するために、NTTコミュニケーションズ株式会社のグローバルIPネットワーク等への適用を検討していきます。 今回開発した光MPLSルータ(図2)は、以下の3つの特徴的機能を有しています。
これ迄、超大容量のDWDM伝送技術によりリンクの大容量化は実現されつつありますが、光MPLSルータを開発したことで、電気の処理速度の限界によりもたらされていたIPパケット転送処理に関するノードのボトルネックを波長ルーティング処理を付加することで解消するとともに、既存の光ネットワークにより一層の自律性、柔軟性をもたせることが可能となりました。 NTT未来ねっと研究所では、光MPLSルータの性能向上、運用能力の拡充、小型化、経済化、等を実現することを目指します。光MPLSルータにより、光の時代にふさわしいIPネットワークへの革新が始まるのです。 <背景> 「IT革命」は、18世紀に興った産業革命に匹敵するとも言われており、大きな社会構造上の変化をもたらそうとしています。インターネットの社会生活への浸透により本格的な情報流通社会へと変貌を遂げようとしているのです。すでに私たちの周りは、パソコンや携帯電話からネットワークへアクセス(接続)するだけで容易に様々な情報を入手することができる環境にあります。製品やサービスの注文購入販売も可能です。ネットワークを介して高品質の映像を楽しんだり、臨場感のあるゲームを離れたもの同士で楽しむこともできるようになるでしょう。次世代インターネットでは高品質映像のような大容量情報の交換を前提とするマルチメディアアプリケーションによる相互コミュニケーションが可能となります。 このように、インターネットの急速な普及により、そのトラヒックは爆発的に増加しています。その増加量は、電気の処理速度の発展に関する経験則である「ムーアの法則」を凌駕しているため、ノードにおいてはインターネットトラヒックの処理に関するボトルネックの問題が顕在化してきました。その解決のために、MPLSのような新しい技術が開発されていますが、電気処理に基づくIPネットワーク技術であるため、その効果には限界があります。抜本的な解決のためには、この考え方をより低いレイヤへ拡張していく必要があり、現在その解の1つとしてMP <技術的ポイント> 今回未来ねっと研究所で開発した光MPLSルータは、NTT研究所で開発した最新鋭の波長変換機能を付加した光クロスコネクトスイッチ(OXC)に、IETF等で標準化中のラベルスイッチ技術であるMP 光MPLSルータシステムの中核には、NTTフォトニクス研究所の独自技術であるPLC技術(シリコン平面基板上に石英の光通路を張り巡らせて光回路を形成する光部品の基礎技術で、低損失かつ高信頼性の光部品が作成できる。)に基づいて開発した、PLC-TOSW*7と呼ばれる光スイッチを実装したOXCが用いられています。光導波路部分を石英で形成しているため低損失で光ファイバとの親和性がよく、可動部がないので機械式光スイッチに比べて振動に強く、また環境温度の変化にも非常に安定した動作を行います。クロスコネクトスイッチの構成にはNTT未来ねっと研究所が独自に提案した分配合流型スイッチアーキテクチャという増設性に優れたシステムアーキテクチャを採用していますので、トラヒック需要に応じてモジュールを増設すればよく、設備投資を最小に抑えることができます。また、電気スイッチとは異なり光信号速度に無関係に動作しますので、将来光信号速度が増加しても柔軟に対応可能です(図3)。OXCとしては、既に複数のベンダから内部処理が全て電気スイッチで構成されたものが販売されていますが、光スイッチを採用し、波長数256以上、2テラビット毎秒(2兆ビット毎秒)以上の処理能力を持ったOXCを動態展示するのは世界で初めてです。 <今後の展開> NTT未来ねっと研究所では、適応型ネットワークサービスを実現するための新しいネットワーキング技術、伝送技術、運用技術、ハード&ソフトウェア技術など多種多様な先端基盤技術の検討実験を引き続き実施していくとともに、光MPLSルータの性能向上、運用能力の拡充、小型化、経済化、等を進め、NTTコミュニケーションズ株式会社のグローバルIPネットワーク等への適用を検討していきます。 <用語解説> *1) OXC : Optical Cross-connect の略。もともと、波長単位の光信号の切替えを光スイッチ等の光デバイスを用いて実現するシステムを意味していました。最近では、LSI技術の進展により、内部処理が電気信号処理デバイスで光デバイスを用いないシステムをOXCと名付けて多数のベンダが販売しています。これらのOXCは、限定的に光デバイスを用いたOXCの機能を実現しているため、伝送信号のフォーマットの変更や、信号速度の変更といったネットワークの構造改革には追従できない可能性があります。 *2) IETF : Internet Engineering Task Force の略。インターネットを構築・運営するために標準化された様々な規格や実現手法の文書を発行する組織です。 *3) MP *4) IP-VPN : Internet Protocol based Virtual Private Network の略。IP網上で、仮想専用線網(VPN)を提供するサービスです。 *5) MPLSルータ : Multi-protocol Label Switchingルータの略。MPLSは、トラヒックの急増と品質要求の多様化に伴って複雑化するIPネットワークにおいて、より単純にパケットを目的地まで転送するためのパケット転送制御方式。IP-VPNを実現する技術として採用が広まりつつあります。IPルータ機能とMPLS用スイッチ機能を統合化したシステムをMPLSルータと呼びます。 *6) フォトニックMPLS : 現在のMPLSは、ラベルヘッダをIPパケットに付加したり、ATM(非同期転送モード)のパス識別子/チャネル識別子をラベルとして利用しています。フォトニックMPLSは、波長をラベルとして利用するMPlS技術から、光信号のラベルヘッダを光IPパケットに付加するような将来の光IP技術までを網羅するコンセプトです。 *7) PLC-TOSW : Planar Lightwave Circuit Thermo-Optic Switchの略。石英基板上にガラス導波路を形成し、その導波路屈折率を熱によって制御することにより光信号経路が定まる光スイッチです。 | ||||||
・図1 光MPLSルータ展示機 ・図2 光MPLSルータの構成概要 ・図3 分配合流型光クロスコネクトスイッチ | ||||||
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