News Release


2001年12月18日

日本電信電話株式会社

多様なHDTV番組制作を可能とするMPEG-2映像多重化技術を開発


 NTTは、HDTV※1MPEG-2※2映像2チャンネルを、ATM回線※3で双方向伝送できる映像多重化技術を開発しました。これは、映像品質を低下させる原因となる、ATM伝送時のセル遅延揺らぎ(ジッタ)による影響を抑制し、ハードウェア/ソフトウェアの最適設計により、ポータブルな小型サイズのHDTV MPEG-2映像2チャンネルの多重伝送を、世界に先駆け実現したものです。
 これにより放送局や番組制作会社では、中継現場などから高品位なライブ映像素材を2チャンネル同時にリアルタイム伝送することができ、より多様な映像を用いたHDTV番組の制作が可能になります。

○開発の経緯
 HDTV時代の本格的な到来に先駆け、NTTサイバースペース研究所では、従来から、MPEG-2ライブ映像の多重伝送を可能とする低コストPCボードの開発に取り組んできました。この技術をベースに、伝送処理のさらなる高速化を図るとともに、信号の揺らぎ(ジッタ)の影響を防いで伝送品質を高める新機構を採用して開発したのが、今回のMPEG−2映像多重化技術です。

○技術のポイント
1) ATM回線のポテンシャルを最大限に生かす処理速度
MPEG-2伝送処理の専用ハードウェア化により、ATM回線のうち最も一般的なOC-3回線※4の最大レート(135Mbps)で、HDTV MPEG-2映像2チャンネルを双方向伝送する処理速度を実現。通常60Mbps程度で伝送される放送用映像素材の多重伝送に対応しています。

2)

MPEG-2基準に適合した優れた伝送品質
映像をATM回線で伝送すると、ネットワークのさまざまな影響で、セル到着間隔が入力時よりも広がったり狭まったりといった微妙なずれが生じます。そのずれを修正しないと、色ずれや映像飛びが生じてしまい、放送用映像素材としては使用できません。本技術は、ATM網の共通クロックを利用したATMセル遅延揺らぎ(ジッタ)補正の新機構を採用し、MPEG-2基準に適合した優れた伝送品質を実現しています。

3)

ハードウェア/ソフトウェアの最適設計による小型化
高速性が要求されるMPEG-2伝送はハードウェアで行い、複雑なプロトコル処理はソフトウェアで対応する最適設計により、1Uハーフラックサイズ(幅210×高さ43.6×奥行き459.3mm)の小型化と、優れたコストパフォーマンスを実現しました。機材スペースの制約が大きい放送局外の報道取材現場などでも、容易に設置することができます。

○今後の予定
 NTTサイバースペース研究所では、ATM回線だけでなくIP網への映像多重化技術の適用を検討していきます。また、今後の多重化需要の増加には、OC-3の上位規格設備(OC-12)で対応するとともに、8多重以上の伝送が可能な次期多重化技術の開発にも取り組んでいきます。


<用語解説>

*1:

HDTV(High Definition Television)
従来のテレビに比べ、走査線数を増加し、画面ワイド化、音声のデジタル化などをはかり、格段に画質と音質を改善した放送方式。

*2:

MPEG−2(Moving Picture Experts Group-2)
MPEGは動画像圧縮に関する国際標準方式。そのうちMPEG−2は、HDTVを含むテレビ映像など高品質な映像の標準符号化方式で、DVDやデジタルテレビ放送にも適用されています。
MPEG−2では、データの中に埋め込まれた時刻情報が、±0.5マイクロ秒以下という高い精度で到着することが規定されています。

*3:

ATM(Asynchronous Transfer mode:非同期転送モード)
音声、データ、映像などのあらゆる情報をすべて53byteのセルに分解し、ネットワーク内を転送する技術。通信速度に依存せず、各メディアを統合して扱え、かつ高速に通信することができます。また、各端末に同一のクロック(共通クロック)を供給することができます。

*4:

OC(optical carrier)
ANSI(米国規格協会)が標準化している、光同期伝送網の伝送レート系列です。基本伝送レートである52MbpsをOC-1(optical carrier−level1)と呼び、52Mbpsのn倍の伝送速度をOC-nと表現します。OC−3は、155Mbps(ヘッダーなどの分を差し引くと実行上の最大レートは135Mbpsになります)、OC-12は、622Mbpsになります。




別紙 [試作プロトタイプの仕様]
図-1多重サービスイメージ (1/3)
図-2多重サービスイメージ (2/3)
図-3多重サービスイメージ (3/3)




<お問い合わせ先>
NTTサイバーコミュニケーション総合研究所
企画部 広報担当 坂本・萩野
TEL: 0468-59-2032
e-mail: ckoho@tamail.rdc.ntt.co.jp



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