News Release

2002年10月15日


MPEG-2 HDTV CODEC LSIの1チップ化を世界で初めて実現
〜HDTV CODECシステム機器の小型化・経済化を可能に〜


 日本電信電話株式会社(以下NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)は、MPEG-2*1国際標準に準拠した素材伝送*2向けHDTV*3 CODEC*4 LSI (VASA:開発コード名。Versatile and Advanced Signal processing Architectureの略)構成技術を開発しました。これは、従来、動画像を圧縮して伝送するにあたり膨大な演算を必要とするため、専用チップを複数個用いて実現していたMPEG-2準拠のHDTV映像のエンコード(圧縮)処理/デコード(伸張)処理を世界で初めて一つのチップ上で実現したものです。
 これにより、既存の最小のポータブルHDTVエンコーダシステムの数分の1程度まで小型化が可能であり、低価格化も期待できます。地上波デジタル放送開始を2003年末に控え、そのインフラ設備および周辺設備に不可欠なCODECシステム機器の小型化・経済化の実現により、デジタル放送社会の到来を加速することが見込まれます。また、本チップは一つでHDTV CODEC処理を実現できるだけでなく、複数チップを用いることにより、HDTVを超える大きな映像のCODEC処理を実現することができ、デジタルシネマ、ステレオ立体TV、マルチアングルTV等、将来の高臨場大画面の映像分野でも活用が期待されます。


○開発の経緯
 NTTサイバースペース研究所では従来から、ブロードバンドネットワークを活用した高品質の映像配信等のサービスを実現するため、標準TV映像のエンコード処理を実現するチップ(SuperENC)やそのチップを用いたMPEG-2エンコーダPCボードの開発、さらには、それらのチップを9個用いたMPEG-2 ポータブルHDTVエンコーダシステムの開発に取り組んできました。
 HDTV時代の本格的な到来に向け、より多様で多彩なHDTV番組の制作を可能とするためのCODECシステム機器の小型化・経済化や、スポーツコミュニティ・音楽イベントライブ等のHDTVを超える高臨場大画面映像の効率的な実現方法も必要とされています。


○技術のポイント
1. HDTV CODECの1チップ化の実現:(別紙12参照)
HDTV CODEC処理を行う上で膨大な演算の必要があり、それを1チップ内部で実現するため、チップ内に並列に動作する3つのエンコーダコア*5を搭載し、そのエンコーダコアへの高速なデータ供給とその効率的な実行制御を実現する新たなエンコード方式(階層並列エンコード方式)を開発しました。そしてこれに必要な6千万個のトランジスタを最先端の商用0.13- CMOS*6テクノロジーを採用することにより1チップへの集積を実現しました。

2.

複数のチップでHDTVを超える高臨場大画面に対応:(別紙3参照)
特別の外部装置を用いなくても、CODEC処理の協調動作やストリームの多重分離処理を内蔵しているため、複数のチップを連結するだけで、HDTVを超える高臨場大画面映像のCODEC処理を実現しました。


○今後の予定
 今後、本格化するHDTV時代に向け、本チップの映像配信システム、高臨場大画面システムなどへ組込み・商用化を図り、HDTVの活性化による光ネットワークの拡大を目指します。その一環として、NHKとNTTコミュニケーションズが共同開発中のハイビジョンコーデックへの適用を検討します。また、光ネットワークを活用した多種多様なサービス展開を図るため、従来より取り組んでいる高圧縮かつ高品質な映像符号化技術およびLSI構成技術をさらに発展させ、次世代のCODEC技術の開発に取り組んでゆきます。



<用語解説>
*1: MPEG-2(Moving Picture Experts Group-2)
MPEGは動画像圧縮に関する国際標準方式。そのうちMPEG-2は、HDTVを含むテレビ映像など高品質な映像の標準符号化方式で、DVDやデジタルテレビ放送にも適用されています。
*2: 素材伝送
放送業界において番組に編集される元となる画像や音声を伝送すること。通常のBSデジタル放送等で用いられているビットレートはHDTVでも20Mbps程度ですが、それらのHDTV番組を制作する過程で使用される素材伝送レベルでは、60Mbpsから150Mbpsといわれる高レートの実現が必要となります。
*3: HDTV(High Definition Television)
従来のテレビに比べ、走査線数を増加し、画面ワイド化、音声のデジタル化などをはかり、格段に画質と音質を改善した放送方式。
*4: CODEC(COder and DECoder)
映像や音声データを所定のストリームに圧縮するエンコーダ(Coder)と、逆に圧縮されたストリームから映像や音声データに伸張するデコーダ(Decoder)の、両方の機能を有するもの。デジタルの映像や音声はデータ量が膨大となるため、適切なCODECを用いてデータを圧縮することが大切です。
*5: エンコーダコア
MPEG-2のビデオのエンコード処理を実現する基本部分で、担当領域の映像情報を圧縮します。
*6: 0.13- CMOS
CMOSはComplementary Metal Oxide Semiconductor の略で、高速かつ低消費電力に特徴がある半導体製造方法です。パソコンのCPUからメモリまで、現在の半導体は、ほとんどがCMOS方式である。また、0.13-はその最小線幅を示しており、最先端の微細加工プロセステクノロジです。



別紙1 VASAチップ概要
別紙2 VASAチップによるHDTVシステム構成
別紙3 VASAによる高臨場大画面システム構成




<お問い合わせ先>
NTTサイバーコミュニケーション総合研究所
企画部 広報担当 山下・萩野
TEL:0468-59-2032
e-mail:ckoho@lab.ntt.co.jp



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