News Release

(報道発表資料)
2003年3月24日


携帯電話やICカードを、安全・確実・自在に使える“夢の財布”へ
進化させる『電子価値流通プラットフォーム』を開発

−あらゆる「価値」をディジタル化して流通できる電子価値流通サービスを実現可能に−


 日本電信電話株式会社(以下NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)は、携帯電話やICカードを利用して高速かつ安全に予約・支払・改札などを可能にする新しい情報流通プラットフォーム、「電子価値流通プラットフォーム」を開発しました。
 電子価値流通プラットフォームとは、サービスを受ける「権利」や「価値」をディジタル化し、電子媒体としてリアル(店舗)/インターネット両方で自在に流通させる仕組みのことです。各種のチケット、プリペイドカード、ポイント、クーポン、会員券などの様々な価値をディジタル化し、チケットの予約・購入、ショッピング、鉄道やアミューズメント施設の改札などにおいて、安全・確実・自在に流通させるものです。
 NTT情報流通プラットフォーム研究所では既に、安全性の高い公開鍵暗号(*1)を用い、かつ、既存の非接触ICカードシステムの性能を凌駕する高速処理を実現したシステムを開発しています。今回、この高速な性能をさらに大幅に向上させるとともに、1枚のICカードにおいて種々の電子価値を連携して扱えるようにしました。また、金融などで普及している接触ICカードを格納して非接触高速処理を可能にするICカードブースタも開発しました。さらに、携帯電話やPDAでの赤外線通信(IrDA)(*2)による改札・決済もできるなど、すでに普及している種々の利用者デバイスへの展開も可能としました。
 本プラットフォームの開発により、本格的な電子価値流通サービスの実現を可能とする実用的な環境が整ったといえます。


<利用イメージ>別紙参照)
 電子価値流通プラットフォームにより、利用者の使い慣れた携帯電話やICカードが、種々の決済機能・改札機能を併せ持つ“夢の財布”に変貌します。具体的には、以下の2つの代表的な利用シーンのように、様々な「財」を安全・確実かつ自在に交換できるまったく新しいコミュニケーションが実現されます。

(1)ショッピングのシーン
 店舗でのショッピングにおいて、マネー・ポイント併用払い、クーポン利用マネー払いなど、複数の電子価値を連携させた決済が可能となります。このときの利用手段も非接触ICカード以外に、携帯電話、PDAなど利用者が使い慣れたものが利用可能です。また、利用時にカード残高が確認できず不安で利用しづらかった点も、携帯電話・ICカードブースタ・表示機能付きICカードにより、容易に残高の確認ができるようになり安心して利用できます。さらには、ICカードブースタにより、金融などで普及している接触ICカードを非接触ICカードとして利用することができ、接触ICカードの利用可能な範囲も広がります。

(2)改札のシーン
 鉄道、コンサート会場、アミューズメント施設などでの改札や検札が、世界最高速の処理速度でストレスなく行えます。ショッピングの場合と同じく、非接触ICカード以外に、携帯電話、既存の接触ICカードなど利用者が使い慣れたものを使用できます。改札機やゲート装置にかざすだけで、乗車や入場などが可能となり、ICカードに格納されているディジタルチケットの内容が、携帯電話・ICカードブースタ・表示機能付きICカードを利用することにより、簡単に確認できます。


<技術のポイント>
(1)公開鍵暗号の採用と高速な支払い処理
 公開鍵暗号の採用により、カードごとに異なる秘密鍵を格納し、端末は公開された情報のみを有しています。これにより、万一、秘密鍵が漏洩した場合でも、被害範囲がシステム全体に及ぶことなく最小限にとどめることが可能です。
 また、非接触ICカードを利用した支払い処理としては世界最速の60ミリ秒以下を達成しています。

(2)多様な分野に適用可能なサービス制御技術
 1枚のICカードで、複数の電子価値流通を提供するサービス制御技術を開発しました。この技術により、記憶容量の少ない安価なICカードでも、プリペイドサービス、ポイント、クーポン、ディジタルチケット、認証ID(社員証・会員証)カードなど数十種類の様々なサービスが利用可能となります。

(3)ICカードブースタ
 銀行やクレジットなどで導入が進んでいる接触型のICカードを格納して、赤外線通信(IrDA)などのローカル通信を利用して支払を可能とするICカードブースタを開発しました。ブースタでは、例えば残高やディジタルチケット情報を表示させることが可能です。さらには、この技術を利用して、表示機能付ICカードの実現性も確認しています。これらにより、ICカードの利便性のさらなる向上が望めます。

(4)携帯電話やPDAの活用
 赤外線通信(IrDA)、2次元バーコード・RFIDタグ(*3)などの技術により、携帯電話やPDAを、プリペイドの支払やディジタルチケットの改札の端末として利用できる技術を開発しました。例えば携帯電話による自動販売機での支払や、PDAや携帯電話によるオフラインでのディジタルチケット改札などを高速に行うことができます。赤外線通信(IrDA)は携帯電話やPDAなどを中心に搭載が進んでおり、これを利用した決済やディジタルチケットが注目されています。現在、IrFM(*4)などの標準化が進められており、NTTでは標準化にも積極的に取り組んでいます。


<今後の展開>
 電子価値流通プラットフォームは、ディジタル化された「権利」や「価値」を、企業から個人、個人から個人、そして個人から企業へと安全・確実かつ自在に移動させるプラットフォームであり、「物の流通」から「情報の流通」へと、従来の流通モデルに変革を引き起こすものです。
 NTT情報流通プラットフォーム研究所では、今回の成果をもとに、NTTグループ企業等と協力して、電子価値流通サービスの拡大を推進するとともに、本プラットフォームの利用拡大に向けて、さらなる研究開発を実施していきます。


<用語解説>
*1 公開鍵暗号
 1対の2つの鍵を使ってデータの暗号化・復号化を行う暗号方式で、非対称暗号方式とも呼ばれる。片方の鍵を公開鍵として他人に広く公開し、もう片方は秘密鍵として本人だけが使えるように厳重に管理される。暗号化と復号化を同じ鍵で行う共通鍵暗号方式に比べ、鍵の運用が簡単で安全性も高い。

*2 IrDA(Infrared Data Association)
 赤外線通信の技術仕様を策定するために1993年に設立された民間の標準化団体の名称。
 一般的には、同団体が定めた赤外線通信の標準規格を指すことが多い。

*3 RFIDタグ
 無線による識別技術「RFID」(Radio Frequency Identification)を使ったICタグ。マイクロチップとデータ送受信用のアンテナを埋め込んだ数ミリ角の非常に薄いタグで、このタグに格納されている情報を読み取ることで、自動認識システムを構築できる。

*4 IrFM(Infrared Financial Messaging)
 IrDAで開発され標準化作業が進められている赤外線通信用の電子決済プロトコルの仕様。2003年1月にIrFM第1版が出版された。



(別紙)「電子価値流通プラットフォーム」 サービスイメージ




【本件に関するお問い合わせ】
 NTT情報流通基盤総合研究所
 企画部 広報担当 飯塚、佐野、池田
 TEL:0422-59-3663
 E-mail:koho@mail.rdc.ntt.co.jp


NTT ニュースリリース

Copyright(c) 2003 日本電信電話株式会社