2003年5月30日
通信・放送機構
日本電信電話株式会社


ブロードバンド・ユビキタス時代に向けたHDストリーム
の広域同時多地点配信に成功


−世界に先駆けエンドユーザからの広帯域コンテンツ配信実現のための
大規模な実証実験をJGN上で実施−


 通信・放送機構(以下TAO、本社:東京都港区、理事長:白井太)と日本電信電話株式会社(以下NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)は、5月15日、TAOが運用・管理する研究開発用ギガビットネットワーク(以下JGN*1)を用いてTAOの直轄研究機関(幕張ギガビットリサーチセンター(以下RC)、高知通信トラヒックリサーチセンター(以下RC)、東北大学分室、東京大学分室)4地点に設置した計20数台の受像装置にHDクラスのIPストリーム・コンテンツを複数箇所から複数番組同時にストリーム配信する実験に成功しました。

 これは、TAO幕張RCとNTT未来ねっと研究所が広域多地点ストリーム配信の検証を目的に実施したもので、JGN上にMPLS(*2)ルータを用いたIPネットワークを構築して、エンドユーザからの大容量IPストリームの広域同時多地点配信の可能性を追究したものです。
 これまで、米国においてInternet2(*3)上でIPマルチキャスト方式を用いた数地点へのHD配信の例はありましたが、数十ユーザへしかも複数箇所からそれぞれの番組を同時に配信したことは世界初の試みであり、ブロードバンド・ユビキタス時代に向けたエンドユーザからの本格広帯域ストリーム・コンテンツ配信への道を開きました。

 本実験では、<1>広域多地点配信技術(Flexcast(*4))、<2>MPLSルータを用いた動的負荷分散による品質確保技術の技術検証及び課題抽出を行うため、JGNを用いたHDクラスIPストリームの広域同時多地点配信を実施し、下記の実験成果を得ました。
<1> 幕張RC、高知RC、東京大学分室にあるそれぞれ1台のサーバからHDクラス(25Mbps)のIPストリーム・コンテンツを、全国4地点(幕張RC、高知RC、東北大学分室、東京大学分室)に設置した計20数台の受像装置に網内トラフィックとサーバ負荷を最小限に抑えて同時配信することに成功。エンドユーザからの本格広帯域ストリーム配信への道を開いた。
<2> 幕張RC、高知RC間の2ルートを設定し、サーバからのトラフィック増加に伴う輻輳を見地して自律的に経路変更を行い、トラフィックを平準化することに成功。MPLSルータの動的負荷分散技術が、大容量IPストリーム配信に必要な通信品質確保に有効であることを実証した。

 これらの実証により、これまでエンドユーザからの大容量IPストリームの広域多地点配信時に課題となっていたサーバへの負荷、伝送帯域の不足などによる動画像の乱れが解消し、送信元のデータと変わらない品質で伝送できるようになります。これにより、いつでもどこからでも映画やビデオなどの高画質動画のストリーム配信や鑑賞が可能になると考えます。


<実験の内容>(別紙
(1)実験網の構成
幕張RC、高知RC、東北大学分室、東京大学分室をJGN(OC-3、 155Mbps)でMPLSルータにより接続。各地にFlexcast中継ノードを設置。
(2)広域多地点配信方式(Flexcast)の実用性・有効性確認
幕張RC、高知RCにHDストリーマ、東京大学分室にHDカメラを設置し、同時にFlexcastを用いてストリーム配信(UDP)を実施。
受信者をランダムに増やしていき、自律的にマルチキャスト配信木が構築されることを確認。
ユニキャストでは受信者数に比例してトラフィックが増加するのに対し、Flexcastでは低トラフィックに抑えられることを確認。
(3)MPLSルータを用いた動的負荷分散による品質確保技術の確認
複数のストリームを同時に流すことにより、通信経路に輻輳を発生させた。この状態でMPLSルータが自律的に経路変更を行い、網内トラフィックが平準化されてストリーム配信の品質が確保されることを確認。


<今後の予定>
 今回の技術検証を踏まえて、FTTHの普及とともに、だれもが気軽にIPネットワークによる大容量広域多地点ストリーム配信が可能となる技術を確立し、それを用いたビジネスやサービスのあり方等の検討を今後行っていきます。


(用語解説)
*1  JGN(Japan Gigabit Network)
 通信・放送機構が、超高速ネットワーク技術、高度アプリケーション技術及びIPv6技術等の研究開発を推進するために管理・運用している、平成11年度から15年度の5年間、誰でも利用可能なオープンテストベッド。以下により構成。(http://www.jgn.tao.go.jp/)
<1> 最大2.4Gbpsの超高速光通信網及び各都道府県に最低1箇所以上計66箇所のアクセスポイント
<2> 5箇所の共同利用型研究開発施設(ギガビットラボ)
<3> 10箇所の通信・放送機構自らが研究を行う直轄研究機関(リサーチセンター)(プロジェクトリーダー:齊藤忠夫東京大学名誉教授、統括サブリーダー:青山友紀東京大学教授)

*2  MPLS(Multi Protocol Label Switching)
 IPヘッダを見ずに、パケットに別途付加されたラベル情報のみを見て、パケットを転送する方式。従来のルータに比べ処理が簡単なため高速なパケット転送が可能。

*3  Internet2
 北米200大学等による、次世代IPネットワーク・アプリケーション検討を牽引する次世代インターネット研究開発コンソーシアム。(http://www.internet2.org/

*4  Flexcast(Flexible Stream Multicast)
 ユーザの視聴要求に応じて、ネットワークが自律的に最適な配信経路を構築する。オペレータが介入しなくても、送受信者の増減・移動やネットワークの変化にも追随し、構築した配信経路を自動的に最適化するNTTが開発した自立型広域多地点配信技術。



別紙




〔本件問い合わせ先〕
通信・放送機構 研究推進部
河野、中村
TEL: 03-3769-6856
E-mail: jgncentr@shiba.tao.go.jp

NTT先端技術総合研究所 企画部 情報戦略担当
澤木、甕(もたい)
TEL: 046-240-5152
E-mail: st-josen@tamail.rdc.ntt.co.jp


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