News Release

2004年2月10日


黄色レーザの開発に成功、波長のオーダーメイドが可能に

−バイオ・環境計測、医療分野などに適用可能−


 日本電信電話株式会社(以下NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)は、NTTフォトニクス研究所が培ってきた光通信用部品技術を応用し、これまで半導体レーザでは出せなかった波長領域を含め、任意の波長のレーザ光を実現できる技術を開発しました。
 この技術は、2003年7月に発足した、NTTの優れた研究成果の事業化を直接推進していく「総合プロデュース機能」*1によって、事業化を進めており、他企業とのアライアンスも視野に入れながら、2004年夏の製品発売を予定しています。
 発売を予定している製品は、手のひらサイズながら、高出力・長寿命でメンテナンスも容易、なおかつ従来品に比べ製造コストのダウンも達成いたしました。大型のガスレーザ等が活躍している分野だけでなく、DNAや細胞機能解析などのバイオ・メディカル、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)などの環境ガス計測など幅広い分野で大きな需要が見込まれるものと考えています。


<開発の背景>
 レーザは、その発光源の種類からアルゴンなどのガスレーザ、Nd:YAGなどの固体レーザ、半導体レーザなどがありますが、近年は、小型・軽量、低価格などの利点から半導体レーザの普及が進んでいます。半導体レーザの波長は、可視・中近赤外領域を中心に実用化が進められており、これまで、通信用以外にもCD、DVDなどの記録媒体の読み書きなどに広く使われています。(図1
 しかし、0.5〜0.6μm(緑色、黄緑色、橙色)、2〜5μm(中赤外)など、半導体レーザでは実現されていない波長の空白領域があり、この領域は、ガスレーザのような、比較的高価で、消費電力大きな発光方式に頼っていました。
 NTTフォトニクス研究所は、半導体レーザでは実現されていないこれらの波長領域を含め、波長を自由に設計、つまりはオーダーメイド可能な小型レーザの開発に取り組んできました。


<技術のポイント>
 本製品には、光通信用部品技術を応用し、高効率な非線形光学結晶*2と高出力の通信用半導体レーザを組み合わせ波長変換する技術を用いています。
 まず、波長変換光の発生の仕組み(図2)ですが、これは周波数(波長)の異なるレーザ光を非線形光学結晶に入射させて、周波数の和あるいは差に相当する周波数(波長)のレーザ光を作り出すものです。
 NTTフォトニクス研究所ではこれまで、非線形光学結晶としてLiNbO(ニオブ酸リチウム)*3を用い、光通信用の波長変換技術の研究開発を進めてきました。その結果、独自の作製方法を考案し、高い変換効率及び高信頼性を確認することができました。
 今回、その非線形光学結晶を通信波長帯以外に適用可能なように設計を変更し、高出力に改良した通信用半導体レーザと組み合わせることにより、従来比10倍以上の変換光強度を実現しました。この技術を用いれば、非線形光学結晶の設計値と、通信用半導体レーザの波長を変更することで、500n(ナノは10億分の1)mから5μ(マイクロは100万分の1)mの領域で任意の波長のレーザ光が実現可能となります(図3)。


<製品の特徴>
 今回、開発した小型レーザは、つぎのような特徴を有しており、従来のガスレーザ等と比較した場合、低消費電力化を一気に実現できるものと期待しています。
・出力は、10mW(30mWも対応可能)
・ガスレーザより小型・低消費電力
・ガスレーザより長寿命のためメンテナンスが容易
・直接変調が可能なため外部変調器は不要
・2μm以上の中赤外領域でも、室温での連続動作が可能


<適用分野>
 製品の当面の適用分野(図4)としては次のようなものを想定しています。
細胞・DNA分析などバイオ分野で使われるサイトフローメータ、レーザ顕微鏡用の光源
二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)など環境ガス、各種有機ガスのセンサ用光源
ダイオキシン発生防止用の焼却炉酸素モニタ用光源
医薬品・食品、化学薬品の成分を分析するための屈折率測定用ナトリウムD線(589.3nm)ランプの置き換え
 なお、現在、京都電子工業(株)や住商バイオサイエンス(株)等とのアライアンスも検討しており、上記以外の幅広い分野の新規、代替需要にも対応していく計画です。


<今後の展開>
 今後は、「総合プロデュース機能」をさらに活用しつつ、NTTエレクトロニクス(株)と協力して事業化をすすめ、同社から2004年夏の製品発売を予定しています。


<用語解説>
*1 総合プロデュース機能
総合プロデュース機能とは、事業化の責任者として指名されたプロデューサがNTTグループ内外の企業と協力しながら、NTT研究所の優れた研究成果の事業化を直接推進していく取り組みであり、2003年7月から開始いたしました。NTTは今後も総合プロデュース機能により、さまざまな研究開発成果を幅広く事業化推進していく予定です。

*2 非線形光学結晶
屈折率、吸収係数などが、入射するレーザ光の強度によって変化する結晶のことで、光変調器や第二高調波発生(SHG)などの波長変換に用いられています。

*3 LiNbO(ニオブ酸リチウム)
実用化されている材料の中では、最高の電気光学効果を有する材料で、光通信用の高速変調器として広く用いられています。



図1 半導体レーザ(LD)のマッピング
図2 技術のポイント
図3 開発した「波長オーダーメイド光源」
図4 製品ラインナップ




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日本電信電話株式会社
(第一部門広報室)
大道、奥泉
03-5205-5550

<本リリースに関する報道機関以外からの問い合わせ先>
日本電信電話株式会社
(先端技術総合研究所)
澤木、甕(もたい)
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(第三部門プロデュース担当)
横山
03-5205-5343


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