2005年2月3日 |
| 報道発表資料 |
日本電信電話株式会社
エヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社
岩手医科大学 |
双方向映像コミュニケーションサービス「WarpVision」を
活用したリアルタイム動画による
遠隔病理診断フィールド・トライアルについて
〜ITを活用した遠隔病理診断で医療サービスの地域格差解消の実現を可能に〜 |
日本電信電話株式会社(以下NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)及びエヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社(以下NTTレゾナント、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:資宗克行)は、岩手医科大学病理学第一講座(以下岩手医科大学、岩手県盛岡市、担当教授:澤井高志)との共同で、平成16年11月より、ブロードバンド向け高品質映像コミュニケーションサービス「WarpVision」を利用した「遠隔病理診断」のフィールド・トライアルを行ってきておりますが、このたび医療現場での実用化に向けた有効性について評価・とりまとめを行いました。
本フィールド・トライアルは平成17年3月まで継続実施し、更に広く行政・医療関係者等からの評価・協力を得た上で、今後の本格的な実用化及び医療機関への普及促進を目指すことにより、国が推進するe-Japan戦略Uが目標とするITを活用した遠隔医療サービスの実現に貢献していきます。
1.遠隔病理診断が必要とされる背景
疾病の疑いがある場合に、人体から採取した組織を検査しガン細胞などの有無を診断するのは病理医という専門医が行います。この病理医の総数は、医師数全体の僅か0.7%(約1700名)であり、その所在は大都市を中心に偏りがあります。そのため、専門病理医が常駐しない地方の医療機関で検査を受ける場合は、患者から採取された組織が郵送等でやり取りされるため診断に時間がかかるなど、医療サービスのレベルに大きな地域格差が生じているのが現状です。また、本来病理医が常駐していれば、手術中の迅速診断への対応ができ、患者の負担も軽くより適切な医療処置が可能になります。
そこで、こうした医療サービスの地域格差解消を目指し、ITを活用した遠隔病理診断(テレパソロジー)のための設備・システムも一定の進歩がみられますが、現状では以下のような課題も指摘されています。
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従来はISDNなどの回線を使い、静止画を伝送して遠隔病理診断を行うことが一般的です。この方法では、組織等の顕微鏡画像を複数の静止画像に区分して伝送することから、病理医が自ら顕微鏡を操作する場合に比べると、診断に時間と手間がかかります。 |
<2> |
静止画を蓄積・伝送する医療用システム機器は高価なために、機器の整備は一部の大病院や地方公共団体の支援がある場合に限定されています。 |
2.具体的なトライアル内容
今回のトライアルでは、リアルタイム動画により盛岡市の岩手医科大学の病理医と手術を行う仙台オープン病院間をNTT東日本が提供する光アクセス「Bフレッツ」回線で結び、電子顕微鏡と汎用PCを組み合わせた基本システムにより病理医が自ら顕微鏡を操作する場合と同様な自然な利用環境を実現し、実際の手術執刀時に遠隔病理診断を行っています。なお、このシステムは従来型の医療用静止画システムに比べると大幅なコストダウンを実現しています。
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実験期間 |
: |
平成16年11月〜平成17年3月末 |
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実施機関 |
: |
岩手医科大学第一病理(病理診断側)〜仙台オープン病院(執刀側) |
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実施内容 |
: |
週4〜5例程、仙台オープン病院での手術中に、岩手医科大学の澤井教授が遠隔で病理診断を行う「術中迅速診断」を実施 |
【トライアルの概要イメージ】

3.利用機能等の特徴
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高画質・高音質、低遅延の双方向映像コミュニケーション機能
NTTレゾナント株式会社が開発した高品位映像コミュニケーションサービス「WarpVision(ワープビジョン)」を利用することにより、従来の TV電話に比べ、高画質(標準TV並み)、高音質(CD並み)、低遅延でのコミュニケーションを実現しています。今回、その映像コミュニケーション機能を活用し、顕微鏡映像を遠隔地に配信することで実際の顕微鏡映像を見ているかのように診断を実施できます。また、WarpVisionにおける本来の利用方法である、TV電話として用いることで執刀医と病理医との間での円滑なコミュニケーションを図ることも実施できます。 |
<2> |
アプリケーション共有機能
「WarpVision」にはアプリケーション画面を端末間で共有する機能が搭載されており、診断している顕微鏡映像画面を静止画像として共有し、診断箇所をマーキングして指示を出すなど、わかりやすいコンサルテーションが実施できます。また、マーキングした静止画像を保存し、診断結果として残すことができます。 |
<3> |
顕微鏡遠隔操作システム
今回、新たに開発した顕微鏡遠隔操作システムとWarpVisionを組み合わせることで、正確で高速な顕微鏡操作を遠隔地より実施できます。(なお、顕微鏡遠隔操作システムは南部医理科株式会社(本社:岩手県紫波郡、代表取締役社長:名郷根正昭)が開発をサポート。)これにより、あたかも診断場所に顕微鏡があり、それを操作しているかのようなきめ細やかな顕微鏡操作と迅速な病理診断を可能としています。 |
4.フィールド・トライアル結果の評価
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特別な専用ネットワークでなく、一般的なブロードバンド回線であるBフレッツとWarpVisionを活用して連続的に顕微鏡映像を動画で確認することにより、画質も問題なく実用に対応できる遠隔病理診断が可能であることが確認できました。 |
<2> |
動画により細胞の形だけでなく、核の濃淡、形状、大きさ、分布状況などを総合的に診断することが可能になります。 |
<3> |
遠隔で顕微鏡を操作する場合の時間的なズレの問題はなく、診断を行う病理医側で操作性上のストレスを感じることはありません。 |
<4> |
静止画による診断は1症例あたり平均25分程度かかるところを、今回の動画による診断では2分30秒程度に大幅に効率化できることから、病理医の時間負担の軽減ができます。 |
5.今後の展開
NTTグループと岩手医科大学は共同で、H17年3月までフィールド・トライアルを継続し、診断映像のキャプチャリング機能向上等必要なアプリケーションサービスの開発や操作性向上に努めていくことを予定しております。
また、本トライアル関係者が機会を捉えて行政・医療関係者等へ有用性をご説明していくとともに、専門家からの評価・協力を得た上で、今後の本格的な実用化及び医療機関への普及促進を目指していきます。 |
・補足資料1 従来型システムとの比較
・補足資料2 トライアルの模様
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【本件お問い合わせ先】
日本電信電話株式会社
第一部門ブロードバンド推進担当
出口・長谷川
TEL:(03)5205-5631
E-mail:s.deguchi@hco.ntt.co.jp , t.hasegawa@hco.ntt.co.jp
エヌ・ティ・ティ レゾナント株式会社
コミュニケーション事業本部 サービス企画部
松村・村尾
TEL:(03)3517-8369
E-mail:i.matsumura@nttr.co.jp , n.murao@nttr.co.jp
岩手医科大学
病理学第一講座
澤井・藤原
TEL:(019)651-5111 (内3510,3512)
E-mail:kafuji@iwate-med.ac.jp |
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