News Release

2005年2月18日


 人の体の表面を伝送経路とする新しい
ヒューマンエリア・ネットワーク技術「レッドタクトン(RedTacton)」
〜触れる、握る、歩くといった人の自然な動作で通信を実現〜


  日本電信電話株式会社(以下NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)では、人の体の表面を伝送経路とする新しいヒューマンエリア・ネットワーク技術「レッドタクトン(RedTacton)<*1>」の研究開発に取り組んでまいりました。このたび、フォトニック電界センサー<*2>の採用により、最大10Mbpsの通信速度で体の任意の2点間での双方向通信を実現するPCカードサイズのプロトタイプを開発しました(図1)。レッドタクトンは、触れる、握る、座る、歩く、踏むといった人の自然な動作によって、身に付けた携帯端末と環境に埋め込まれたコンピュータなどとの通信を可能とするため、情報機器のパーソナライズやセキュリティ応用など、多くの応用分野が考えられます。今後NTTでは、総合プロデュース機能<*3>を活用し、外部パートナーとの共同フィールド実験などを通じてレッドタクトンの事業化を進めていく予定です。


1.開発の背景
   近い将来、あらゆるものがネットワークにつながるユビキタス・コンピューティングの時代が到来すると言われています。ユビキタスサービスの実現には、遠隔地にあるサーバと端末を接続するインターネット、オフィスや生活空間内の機器を接続するローカルエリア・ネットワークに加えて、人の行動範囲内(ラスト1m)の携帯端末や情報機器を接続するヒューマンエリア・ネットワークが求められます。従来、無線LAN、ブルートゥース、赤外線通信(IrDA)などが提案されていますが、混雑時の通信速度低下や利用者の動作との連動性などの点で課題が残っていました。

2.技術のポイント
   レッドタクトンは、電波や光ではなく、体の表面電界<*4>による通信技術です。図2に通信原理を示します。送信機であるRedTactonデバイスは、体の表面に微弱な電界を誘起します。体の表面を通じて受信機であるRedTactonレシーバーに到達した電界は、電気光学結晶の光学的性質を変化させます。その変化の度合いをレーザー光で検出し、受光回路で電気信号に変換します。

 レッドタクトンには、以下の三つの機能的特徴があります。
 (1) 人が触れることによって自動的に伝送路が形成され、身に付けた携帯端末と環境に埋め込まれたコンピュータとの間の通信が開始されます。触れるだけでなく、握る、座る、歩く、踏むといった自然な動作によって通信が開始され、それを機器動作や情報入手などのトリガーとすることができます。
 (2) フォトニック電界センサーの採用により最大10Mbpsの速度で体の任意の2点間での双方向通信が可能です。体の表面だけでなく、靴を通じて床に組み込まれた端末に対しての通信も可能です。さらに、伝送路が体の表面であるため、混雑した空間で多くの人が同時に利用を開始しても、無線技術のような通信速度低下はありません。
 (3) 導電体・誘電体であれば伝送媒体の素材を選びません。人の体のほか、動物、水、金属などをレッドタクトンの伝送路として使うことが可能です。机や壁など、身近にあるものを利用して、低コストで手軽に通信環境を形成できます。(ただし、伝播する導電体の長さや設置環境、通過誘電体の厚みなどには制約があります)

3.代表的な応用分野
 
ワントゥワン(One-to-One)サービス
  身に付けた携帯端末から環境に埋め込まれたコンピュータに属性情報を送信することにより、利用者の状態や趣向に合わせたワントゥワンサービスを提供。
情報機器の直感的な操作
  人間の自然な動作や行動がトリガーとなるため、カードを取り出したりケーブルを接続したりするといった、情報機器の面倒で煩わしい操作が不要に。
パーソナライズ
  触れることでこれから使う情報機器に利用者ごとの設定情報を送り込み、瞬時にパーソナライズ。設定プログラムそのものを送り込むため、事前の利用者登録は不要。
新たな行動様式
  テーブルや壁などさまざまな導電体・誘電体を伝送媒体として利用することで、テーブルに置くだけでインターネットアクセスが可能になるなど、新たな行動様式を実現。
セキュリティ応用
  ドアやキャビネットなどのリスクポイントに設置しておき、触れることで利用者を自動認証。同時に利用者履歴を記録。

4.共同フィールド実験のパートナー募集概要
   レッドタクトンの使用環境に左右されない通信の確実性の検証や、さらなる実用性の向上を目的として、外部の企業または団体の方と共同でのフィールド実験を予定しています。

実験期間: 2005年4月〜9月(予定)
機器: パートナーの方にNTTが製作したRedTactonトランシーバーのプロトタイプをお貸し出しします。実験期間中に発生するプロトタイプの保守費はパートナーの方にご負担頂きます。
実験環境: 実験を行う場所、装置、環境に関しましては、パートナーの方にご準備頂きます。
パートナー選考: お貸し出しするプロトタイプの数に限りがあるため、実験パートナーについてはこちらで選考させて頂きますので、予めご了承下さい。
お申し込み・お問い合わせ:
レッドタクトンのホームページ(http://www.redtacton.com)を通じてお願いします。

5.今後の予定
   多くの機能的な特徴を持つヒューマンエリア・ネットワーク技術レッドタクトンですが、今後NTTでは、“総合プロデュース機能”を活用し、事業化可能な有望な利用分野の開拓に取り組んでいきます。


図1 レッドタクトンのPCカード型プロトタイプ
図1 レッドタクトンのPCカード型プロトタイプ


図2 レッドタクトンの通信原理
図2 レッドタクトンの通信原理


<用語解説>
*1 レッドタクトン(RedTacton)
 触れる(Touch)ことで通信が発生し、さまざまな反応を引き起こす(Act on)ことから、TouchとAct onを組み合わせた造語(Tacton)をつくりました。それに、温かみのある通信という意味で、赤(Red)という色を加え、レッドタクトン(RedTacton)という名前をつけました。レッドタクトンの情報は、専用のWebページ「レッドタクトン・ドットコム(http://www.redtacton.com/)」で紹介しています。

*2 フォトニック電界センサー
 周囲電界による電気光学結晶(Electro-optic Crystal)の光学的性質の変化をレーザー光で検出することで、微弱な電界の測定を行うセンサー。

*3 総合プロデュース機能
 総合プロデュース機能とは、事業化の責任者として指名されたプロデューサがNTTグループ内外の企業と協力しながら、NTT研究所の優れた研究成果の事業化を直接推進していく取り組みであり、2003年7月から開始いたしました。NTTは今後も総合プロデュース機能により、さまざまな研究開発成果を幅広く事業化推進していく予定です。

*4 体の表面電界
 レッドタクトンの送受信電極は絶縁膜で覆われているため、外部から人の体へはまったく電流が流れない構造となっています。ただし、携帯電話の電波と同様、人体は電界を間接的に受けてしまうため、人体内部に微弱な誘導電流が発生します。この誘導電流について、レッドタクトンは社団法人 電波産業会(ARIB)の電波防護標準規格(RCR STD-38)をクリアしています。



別紙1 (応用例1):薬の誤飲防止警告
別紙2 (応用例2):ユーザ属性の自動登録
別紙3 (応用例3):PCのプロジェクター表示




<本リリースに関する報道機関からの問い合わせ先>
日本電信電話株式会社
(第一部門広報室)
大道、奥泉
03-5205-5550

<本リリースに関する報道機関以外からの問い合わせ先>
日本電信電話株式会社
(第三部門プロデュース担当)
阪本、朝日
03-5205-5391


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