News Release

2005年2月22日


携帯電話に直接搭載可能な小型・高出力の次世代燃料電池を試作
〜水素燃料を用いたマイクロPEFCを開発〜


 日本電信電話株式会社(以下NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)は、携帯電話に直接搭載可能なサイズの水素ガスを燃料とするマイクロPEFC(※1)システム(図1)を試作し、携帯電話の実機を用いた起動・着信・発信(TV電話、通話、i-mode)に成功しました。また、マイクロPEFCに自動で水素を充填する装置も併せて開発しました。
 現在、携帯機器用の燃料電池としては、燃料にメタノールを用いるダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC)の開発が主流ですが、発電時に二酸化炭素(CO2)を発生することや、発電部の単位面積あたりの出力密度が不十分で小型化が困難という課題をかかえています。
 このたびNTTが試作したマイクロPEFCは、水素ガスを燃料に用いたことで、発電時におけるCO2の発生がなく、リチウムイオン電池と置き換え可能なレベルの高出力を実現しています。加えて、発電部と水素吸蔵合金タンクの一体化や電気回路の簡素化などにより、携帯電話に直接搭載可能なコンパクトサイズ(マイクロPEFC外形寸法:42mm×80mm×13mm、重量:104g)となっており、9時間の通話が可能です。さらに発電部の面積を変えることで、ビデオカメラ、デジタルカメラ、PDA、ノートパソコンなど多様な携帯用電子機器に幅広く適用可能です。


<開発の背景>
 近年、携帯電話やノートパソコンに代表される携帯用電子機器の高機能化・多機能化の進展に伴い、それらの機器の電源となる電池の容量不足の問題がクローズアップされています。
 こうした中、エネルギー密度の向上が限界に近いリチウムイオン電池に代わるエネルギー源の検討が盛んに進められ、ブレークスルー技術として環境負荷の少ない燃料電池に期待が寄せられて、多くのメーカーによって開発に拍車がかかっています。
 燃料電池は現在、燃料にメタノールを用いるダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC)が主流ですが、発電時にCO2の発生があり、出力密度が不十分で発電部の小型化が難しく、適用機器に制限があるという難点が指摘されています。特に今や「1人1台」の時代を迎えている携帯電話の場合、コンパクトなオールインワンのタイプでないと普及は難しいと見られています。
 NTTでは、レゾナントコミュニケーション環境を支える基盤技術の創出の一環として、環境・エネルギー技術の確立に取り組み、CO2排出量削減に寄与するクリーンでパワフルな高効率燃料電池技術の研究開発を推進してきました。


<マイクロPEFCの特長>
 マイクロPEFCは、水素ガスが燃料であり排気は水蒸気のみであることから、出力密度が高く環境に優しい非常にクリーンなエネルギー源であり、携帯電話に直接搭載可能なサイズの次世代の燃料電池ということができます。主に、以下のような特長があります。
   (1) 高出力密度:
メタノールを燃料とするDMFCと比較し、水素ガスを燃料とするため、小さな面積の発電部でも高出力
   (2) 小型:
高エネルギー密度なのでコンパクト
   (3) 構造が簡易:
昇圧技術により、従来必要であった発電部の直列接続が不要。また水素吸蔵合金タンクと発電部を一体化したことで部品点数・大きさの削減を実現
   (4) 長時間発電:
水素吸蔵量の大きなBCC型(※2)合金系を用いることによりに長時間発電を実現
 また、マイクロPEFCは、ノートパソコンなど比較的消費電力が大きい携帯用電子機器についても、発電部の大面積化によって容易に適応できます。


<今後の展開>
 燃料電池の本格的な実用化には、社会インフラとしての水素燃料の供給体制など、数々の課題がありますが、マイクロPEFCについては、今後予想される機器の高機能・多機能化による消費電力の増大にも対応可能であり、早期の実用化を目指します。
 NTTでは今後も、安全性のさらなる検証、一般の利用者にとって最適の利用形態の検討なども含め、次世代の燃料電池の実現に向けて研究開発を推進していきます。


<用語解説>
※1 PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell)
 固体高分子形燃料電池。室温でも動作でき出力密度が大きいことから、近年盛んに開発が進められている。現在、携帯機器向けの燃料電池の主流として研究が加速しているダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)はPEFCの一種であるが、燃料としてメタノールを使用しており、水素ガスを燃料とする本来のPEFCに比べて出力密度の点で劣る。

※2 BCC型
 体心立方型。合金の構造の一種で、水素の貯蔵・輸送媒体として研究が進められ、近年ことに、水素を燃料とする燃料電池自動車の燃料タンクの貯蔵媒体として注目を集めている。


図1 マイクロPEFCシステム外観写真
図1 マイクロPEFCシステム外観写真




【本件に関するお問い合わせ】
NTT情報流通基盤総合研究所
企画部 広報担当 遅塚(ちづか)、佐野、井田
TEL:0422-59-3663
E-mail:koho@mail.rdc.ntt.co.jp


NTT ニュースリリース

Copyright(c) 2005 日本電信電話株式会社