(報道発表資料) |
2005年3月2日
日本電信電話株式会社
NTTエレクトロニクス株式会社 |
次世代通信及び医療・環境分野のシステムの小型化、経済化、高性能化に有効な 高性能半導体レーザ光源を販売開始 |
日本電信電話株式会社(以下NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)とNTTエレクトロニクス株式会社(以下NEL、本社:東京都渋谷区道玄坂、代表取締役社長:戸島知之)は、次世代の通信システムならびに医療・環境などの非通信分野のシステムに最適な光源の製品化を進めてきましたが、このたび
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温度制御無しで動作する長距離伝送2.5Gbps(注1)直接変調レーザ光源 |
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一つの素子で発光波長を特定の波長範囲において任意に設定できる波長可変レーザ光源 |
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医療・環境分野の計測装置に応用可能な2ミクロン超レーザ光源 |
の3製品をNELより販売開始します。
これらの製品は、NTTフォトニクス研究所が培ってきた幹線系光通信用光源の設計・製造技術を応用して製品化に成功したものであり、NTTが2003年7月に開始した取り組みである「総合プロデュ−ス機能」(注2)に基づき、NELと事業化を進めてきたものです。
1. 開発の背景
FTTHにより高速大容量通信サービスを一般家庭に提供するためには、コア系から加入者系を結ぶ光ファイバー通信網が必要不可欠となります。そこで要求されるシステムは高速、大容量であることはもちろんですが、廉価なサービスを提供するため、経済的であることが大きな課題のひとつとされています。
このため、特に加入者系からメトロ系の光源は、消費電力が大きく制御も複雑な温度調整機能を不要とすることが求められていました。今回、この要求に応えるために開発されたのが温度制御無しで動作を可能とする長距離伝送2.5Gbps直接変調レーザ光源です。
また、メトロ系からコア系については、システムを経済化する方式として一本の光ファイバーに複数の波長を通す波長分割多重通信(WDM)方式(注3)が用いられていますが、そのためには波長の異なる光源をいくつも準備する作業が必要とされていました。そこで、このような煩雑さ、光源在庫の増大等を無くすために開発されたのが、一つの素子で特定の範囲で発光波長が任意に設定できる波長可変レーザ光源です。
一方、このような通信用半導体レーザは、医療や環境などの非通信分野では固体レーザなどと比較して優れた波長制御性及び小型、低コストの特徴を持つことから、近年では光学式センサー(注4)用光源に応用する試みがなされています。しかし、医療・環境分野で強く求められている2ミクロン帯で発振する半導体レーザはなく、これまで固体レーザなどの高価で大型な光源が用いられてきました。NELではすでに2.0ミクロンで発振する半導体レーザを2004年に商品化し、医療・環境分野への展開を進めてきましたが、計測可能な物質の種類拡大、一つの物質に対する測定内容に応じた最適吸収波長範囲の拡大、さらに幾つかの波長による同時計測、等の要望に応えるために開発されたのが、2.0ミクロン以上の発振波長をもつ分布帰還型(Distributed Feedback:以下DFB)レーザ(注5)です。
NTTとNELではこれまで幹線系光通信システムの大容量化の要求に応えるために、光通信用半導体レーザ光源の高性能化に努め、高度な設計技術・製造技術を蓄積してきました。ここで培った技術を応用することで、これらの新製品を開発することが可能となりました。
2. 新製品の特長
各製品は以下の特長を有しています。
2−1.2.5Gbps直接変調レーザ光源
2.5Gbps直接変調レーザ光源は以下の特長を有しています。
(1)動作温度
温度制御無しで環境温度-30〜90℃で80km以上の長距離伝送を可能にします。このため、通信システムの小型化、経済化が図れ、通信システムの普及に貢献します。
(2)伝送距離
環境温度を従来品と同程度の0〜85℃とした場合、120kmまでの伝送が可能です。
(3)CWDM(注6)対応
波長精度に優れたDFBレーザ構造とすることで、安定した単一波長発振を実現しています。さらに波長帯1.47〜1.61ミクロン帯で20nm間隔、8波長揃えており、CWDM伝送による大容量伝送を可能としております。
2−2.波長可変レーザ光源
本製品は、波長可変機能を搭載したバタフライモジュールで販売いたします。
(1)発振波長
発振波長は通信波長帯ではC帯(1.53−1.565ミクロン)で全域、及びL帯(1.565−1.625ミクロン)では30nm程度の範囲で任意に設定でき、更にユーザーアプリケーションへのカスタマイズにより、50〜200GHzの波長間隔で16chから最大で80ch程度の特定波長も設定することが出来ます。ユーザーアプリケーションへのカスタマイズは、別途ご相談に応じます。
(2)光出力
仕様に応じて10から13dBmまでの光出力に対応します。
(3)高信頼
素子は、通信用のDFBレーザを中心に半導体で構成されており、波長可変機構にも複雑な可動部分等が無く、又、波長安定化のための複雑なフィードバック回路も必要としないため、波長可変動作時にも波長跳び等が全くない安定な光源を提供します。
2−3.2ミクロン超レーザ光源
(1)発振波長
本製品は2.0ミクロンから2.1ミクロンまでの発振を実現しています。この波長帯には、医療・環境分野において重要であるCO2、NOx、グルコースの強い光吸収が存在します。通信波長帯にもこれらの物質の光吸収は存在しますが、その強度は弱く、十分な検出感度を得ることが困難という問題がありました。2ミクロン付近のこれらの物質に対する光吸収は強く、今回開発した2ミクロン超レーザ光源は大幅な感度の向上を可能にします。例えばCO2においては、通信波長帯を用いた場合の約2桁の感度改善が得られます。この感度向上はCO2などのリアルタイムモニタを可能にし、自動車エンジン等の燃焼装置の排ガス制御システムへの応用が期待されます。
(2)小型・低価格
これまで2ミクロン帯の光源としては固体レーザが主に用いられてきました。そのため、装置が大きい、価格が高いという問題点がありました。開発した2ミクロン超レーザ光源はこれらの問題を一気に解決し、大きさでは1/100の小型化、価格では1/5以上の低価格化を実現します。また、半導体レーザは光出力強度に直接変調を加えることが可能であり、装置構成をシンプルにすることにより、可搬型装置の実現も可能になります。
3. 主な用途
各製品の用途(別紙:図1、図2)としては以下を想定しています。
3−1.2.5Gbps直接変調レーザ光源
(1)メトロ・アクセス中距離伝送用トランシーバ
(2) WANs(Wide Area Networks)
3−2.波長可変レーザ光源
(1)コア・メトロ系WDM通信システム用光源(トランシーバ用光源等)
(2)計測用光源
3−3.2ミクロン超レーザ光源
(1)医療分野におけるピロリ菌検出、血糖センサー(注7)
(2)環境分野におけるCO2、NOxモニタ、排ガス制御システム
4. 販売時期等
3月16日より順次販売を開始いたします。
5. 今後の展開
これらの製品はさらなる経済化や高機能化を進めるとともに、波長帯のラインアップを充実していく予定です。さらには総合プロデュ−ス機能を活用することにより、潜在ニーズの発掘や新たな市場の創出を進めていく予定です。
また、2.5Gbps直接変調レーザ光源、波長可変レーザ光源については、3月6日から米国カリフォルニア州のアナハイムコンベンションセンターにて開催される北米最大の光通信技術国際会議「OFC2005 (Optical Fiber Communication Conference and Exposition)」(注8)において発表・展示する予定です。
用語の説明
(注1)Gbps(Giga bit per secondの略)
ギガビット/秒のことで、1秒間に送れる情報(ビット)数の単位です。ギガは10億の単位を表しています。
(注2)総合プロデュ−ス機能
総合プロデュ−ス機能とは、事業化の責任者として指名されたプロデュ−サーがNTTグループ内外の企業と協力しながら、NTT研究所の研究成果の事業化を直接推進していく取り組みであり、2003年7月から開始しました。NTTは今後も総合プロデュ−ス機能により、さまざまな研究開発成果を幅広く事業化推進していく予定です。
(注3)波長分割多重通信(WDM:Wavelength Division Multiplexing)方式
一本の伝送路に異なる波長を同時に伝送させることで、一度に異なる情報を送ることができる通信方式です。光ファイバー等の伝送路に手を加えることなく通信容量の拡大を図ることが出来ます。
(注4)光学式センサー
分子やガスは特定の波長に鋭いピークの吸収を示します。光学式センサーは、この吸収をモニタすることにより、対象物質の濃度や温度を計測します。2µm付近にはCO2、NOx、グルコース等の医療・環境分野において重要な物質の吸収が存在するため、この波長帯で発振する光源が求められています。
(注5)分布帰還型レーザ(Distributed Feedback;DFB)
一般にDFBレーザという分布帰還型レーザは、レーザダイオード素子の内部に微細な周期構造(回折格子)を設けることにより、発振スペクトルを単一モード(単一の波長成分)にしたレーザダイオードのことです。
(注6)CWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexingの略)
低密度波長分割多重化のことです。波長間隔が広く、一本の伝送路に4波長または8波長を同時に伝送させることで、一度に異なる情報を送ることができる伝送技術です。
(注7)血糖センサー
年々増加する糖尿病患者の治療のためには定期的に血糖値を測定することが必要であるため、バイオセンサーの中で最も精力的に開発が進められているものの内の一つです。これまでの血糖センサーの測定は指先等から採血をして、直接血液を分析する痛みを伴うもの(侵襲)でしたが、光学式血糖センサーは血管等を傷つけることなく、皮膚に機器の一部をあてるだけで全く痛みなどない(無侵襲)血糖値測定を可能にすることが出来ます。
(注8)OFC(Optical Fiber Communication Conference and Expositionの略)
毎年1回開催される北米で最大の光通信技術国際会議です。会議の他に通信事業関連会社等からの展示も行われ、世界中から関係者が集まります。会期は2005年3月6日〜11日、カリフォルニア州アナハイムで開催されます。 |
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