News Release

平成17年3月8日


世界初、一本の光ファイバに1000波長を多重する伝送実験に成功
−研究開発テストベッドネットワークJGNIIで126km伝送−


  日本電信電話株式会社(NTT;本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)は、1000波長の光を一芯の光ファイバに超高密度多重する波長分割多重※1(WDM)伝送に世界で初めて成功しました。本実験には研究開発テストベッドネットワークJGNII※2(京都けいはんな‐大阪堂島間往復126km)を利用し、従来の10倍の波長数を8倍の超高密度(1/8の波長間隔)で伝送したものです。

<背景>
 NTTでは、高品質で柔軟な次世代バックボーンネットワークの実現に向けて、WDM技術と波長ルーティング技術を駆使したフォトニックネットワークの研究開発を推進しています。
 このようなフォトニックネットワークにおいては、より多くのお客様に多種多様なサービスを提供するために、利用可能なチャネル数、すなわち利用可能な光の波長数をより多く提供することが重要な課題です。これまでのWDM技術では、必要なチャネル数分の半導体レーザを用意し、それぞれの波長間隔を精密に制御する方式を採用していました。しかし、この方式ではチャネル数の増大にともなって各レーザの波長の制御が困難になるため、数100波長を超える超高密度WDM伝送は困難でした。

<今回の成果>
 1000波WDM伝送(図1)を実現した技術的なポイントは、今回開発した超高密度多波長発生技術と超高密度WDM用光分波技術です。スーパーコンティニウム※3(SC)光源と呼ばれる多波長光源は波長の制御性に極めて優れており、波長が等間隔に並んだ1000波長以上の光を一括して発生することができます(図2)。本実験ではこのSC光源を用いることで、従来よりも8倍も高密度に波長が並んだ高品質な1000波WDM信号(波長間隔6.25 GHz)を生成することに成功しました。またNTTが開発した波長アレイ導波路格子(AWG)フィルタは、波長分解能が優れているため6.25 GHz間隔の超高密度1000波WDM信号を波長単位に分離することが可能です。実証実験は研究開発テストベッドネットワークであるJGNII上のNNICTけいはんな情報通信オープンラボ※4と大阪堂島間の63km敷設光ファイバを往復するネットワーク構成で行われました(図3)。今回NTTは、このネットワーク上で1000波長もの超高密度WDM伝送実験に成功しました。

<今後の展開>
 このように本技術は、精密に波長配置された1000波長以上の光を伝送することを可能とするため、次世代のフォトニックネットワークにおいて多種多様なサービスを低コストで実現するための中核技術と位置づけられます。将来の光IPネットワークにおいて、夢の超高速通信が可能となります。NTTでは、今後も本技術と波長ルーティング技術を駆使した超大容量フォトニックネットワークの研究開発を進めていく予定です。

 本研究成果の一部はNICT委託研究「フォトニックネットワークに関する光アクセス網高速広帯域通信技術の研究開発」として実施しました。また、今回の成果は、e-Japan重点化項目である1000波WDM技術確立に向けた取り組みの一環です。今回の成果は今週、米国アナハイムで開催される世界最大の光通信の国際会議OFC/NFOEC 2005において発表予定です。


<用語解説>
※1 波長分割多重
WDM (Wavelength Division Multiplexing)。送信側でチャネル毎に、異なる波長の光に信号を符号化して多重し、受信側では波長単位で分波・受信することにより、複数のチャネルの信号を1本の光ファイバで伝送する多重化方式。

※2 JGNII
独立行政法人情報通信研究機構(NICT:National Institute of Information and Communications Technology)が2004年4月から運用を開始したオープンな研究開発テストベッドネットワーク。全国規模の光波長ネットワーク、IPネットワークのほか、光テストベッドの研究開発環境を提供している(http://www.jgn.nict.go.jp/index.html)。

※3 スーパーコンティニウム(Supercontinuum)
ガラスのような透明な物質に強い光が通過した時に波長数が爆発的に増大する現象。一定の波長間隔で配置された光を種光源として用いた場合、物質内部で各々の波長の光が相互作用して、異なる波長の光が一定の波長間隔で連鎖的に発生する。

※4 NICTけいはんな情報通信オープンラボ
独立行政法人情報通信研究機構(NICT)が産学官連携によるIT研究開発の実施に向け、平成15年6月にNICTけいはんな情報通信融合研究センターにおいて開所した実験用スペース(http://www2.nict.go.jp/jt/a130/khn-openlab/)。



図1 超高密度1000波WDM伝送
図2 超高密度SC(スーパーコンティニウム)光源
図3 実験で使用したJGNIIネットワーク
図4 超高密度1000波WDM伝送実験の構成




<本件に関する問い合わせ先>
 NTT先端技術総合研究所
 企画部 情報戦略担当
 為近、甕(もたい)
 Tel: 046-240-5152
 E-mail: st-josen@tamail.rdc.ntt.co.jp


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