News Release

2005年5月24日


非圧縮ハイビジョン10本を同時に送受信できる映像サーバを開発
−フルIPネットワークによる放送業界向け映像編集環境を実現−


 日本電信電話株式会社(NTT;本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)は、市販PCサーバを用いて、システム内に蓄積した任意の1.5Gbpsの非圧縮ハイビジョン映像をIPネットワークを使って最大10台の映像編集機器等に対して実時間で同時に配信できるサーバシステム(i-Visto eXmedia server)を開発しました。
 NTT未来ねっと研究所では、複数の市販PCサーバを低遅延な内部結合ネットワークで結合し、1つのサーバシステムとして見せることができ、かつ毎秒ギガビットを超える速度で映像の送受信を実現できるクラスタ化技術※1を開発しました。この技術を使って複数のPCをクラスタ化することにより非圧縮ハイビジョン映像10本(毎秒15ギガビットの通信速度に相当)を、IPネットワークを使って蓄積・配信することができる放送業界向けサーバシステムの実現に成功しました(図1)。このサーバシステムとNTT研究所が商品化を進めているi-Visto gateway XGシステム※2を組み合わせることによって、非圧縮ハイビジョン映像の伝送、蓄積、配信までをIPネットワークを使って実現することができます。非圧縮でハイビジョン映像を扱うことによって、圧縮・伸張のための特別なハードウエアが不要になるだけでなく、何度伝送しても映像品質の劣化がないため、特にハイビジョン映像のような高品質素材の伝送には大きなメリットがあります。また、このサーバシステムを使うことにより、複数のユーザが任意の非圧縮ハイビジョン映像を、IPネットワークを通じてオンデマンドでリアルタイム視聴(または蓄積)できるだけでなく、圧縮してテープに記録するハイビジョンVTR相当の品質であれば約100本を実時間で蓄積・配信できるようになります。従来は、このような素材共有システムに適用可能な、高品質映像を複数の映像編集機器等に同時にIPネットワークを使って蓄積・配信できるシステムはなく、Fibre channel※3を利用したファイル共有システムを使用していました。このファイル共有システムでは10km以上を離れた場所を結ぶことは難しい上、制御用のIPネットワークとFibre channelの2つのネットワークを用意する必要がありました。本システムを使うことによってIPネットワークのみでシステムを構築でき、安価なIPネットワーク接続サービスを使用することにより、WWWシステム、データベースシステム、PCやWSをベースにしたノンリニア編集システムとをIPネットワークで結んだ広域の素材ネットワークシステムを容易に、かつ低コストで構築することができるようになります(図2)。


<開発の経緯>
 インターネットのブロードバンド化が急速に進んでいく中で、ユーザが使えるネットワークの帯域は毎秒メガビットから毎秒ギガビットへと移行しつつあります。一方、映像の世界では、アナログ標準テレビからデジタルハイビジョンへの移行が進んでいます。そのような時代の流れの中で、ハイビジョンなどの高品質映像を、ネットワークを使ってやりとりする機会が増えていくことが予想されます。
 NTTでは、広帯域になったIPネットワークを使用して、高品質映像の伝送や蓄積配信に関わる研究を行ってきました。その一環として、NTT未来ねっと研究所では、IPネットワークを使い汎用PCベースで非圧縮ハイビジョン映像が低遅延で伝送可能なシステムの開発を進めてきました。今回新たにIPネットワークを使って、高品質素材映像をストレス無く共有することができるサーバシステムの実現に成功しました。
 本サーバシステムは以下の特徴を持っています。
(1)高いコストパフォーマンス
 市販PCサーバによるクラスタ構成とクラスタ間接続にコストパフォーマンスの高い毎秒10ギガビットの速度を持つ InfiniBand※4を採用。同じ速度を持つ10ギガビットイーサネットを採用したクラスタ構成と比べて、約1/2のコストでサーバシステムの構築が可能です。さらに、映像蓄積用に市販の多くのRAIDシステム※5を使うことができるため、信頼性、保守性、価格などお客様のニーズに合わせたRAIDシステムを、サーバシステムに組み込むことが可能です。
(2)スケーラブルな構成
 PCサーバ機2台〜10台を使って、お客様の要求する配信性能に合わせた規模のシステムを構築することができます。さらに、SAN(Storage Area Network:イーサネットのように複数のストレージを使ったネットワーク)を使ってRAIDシステムを増設することによって、任意の蓄積容量を持つシステムを構築することができます。
(3)分散RAID方式による多重配信の実現
 1本の映像をRAIDシステムに分割して格納する分散RAID方式(図3)を採用。複数のユーザからの同時アクセスに対しても特定のRAIDシステムへの負荷集中を起こさずに、全てのユーザに対して途切れなく配信することができます。


<今後の展開>
 NTT研究所では、事業会社と一体となって、本システムをベースにお客様のニーズを取り入れた放送業界向け映像素材サーバシステムとして、来年度中を目指して商品化をすすめていく予定です。さらに、同時配信性能の向上を目指すとともに、高品質映像がいつでも好きな場所で見られるような、フルIP化された映像ネットワークの実現を目指していく予定です。


<用語解説>

※1 クラスタ化技術
複数のコンピュータをネットワークで結合し、外部からみるとあたかも1つのコンピュータであるかのように見せる技術。

※2 i-Visto gatewayシステム
NTTが開発した非圧縮ハイビジョンを含む高品質映像をIPネットワークを使って伝送することができるシステム。

※3 Fibre Channel
ストレージを接続するためのI/Oインタフェースの規格。イーサネットのように複数のストレージを使ったネットワーク(Storage Area Network)システムを構築し、そのストレージを複数の端末で共有するタイプのファイル共有システムが素材システムとして利用されつつある。

※4 InfiniBand
InfiniBand Trade Associationが規格化したPCとディスクなどの外部システムもしくはPCとPCとを接続するためのI/Oインタフェース規格。2.5Gbps、10Gbps、30Gbpsの通信速度が規格化されている。

※5 RAIDシステム
Redundant Arrays of Inexpensive Disk drivesの略。複数のハードディスクドライブを使うことによって、信頼性の向上,性能の向上をはかったストレージシステム。



図1 10多重配信サーバシステムの構成図
図2 IPネットワークを使った広域素材ネットワークシステム
図3 分散RAID方式の概略図




<本件に関する問い合わせ先>
   NTT先端技術総合研究所
   企画部 情報戦略担当
   為近、甕(もたい)
   Tel: 046-240-5152
   E-mail: st-josen@tamail.rdc.ntt.co.jp


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