News Release

2006年3月29日


毎秒640ギガビット波長群の光信号一括処理により、
光処理容量毎秒10テラビット級の光スイッチング実験に成功
〜超大容量10Tbit/s級フォトニックネットワークの実現に前進〜


 日本電信電話株式会社(NTT;本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)は、毎秒640ギガビットの容量を有する光信号を一括して波長変換する技術と広帯域光スイッチを組み合わせて、毎秒10テラビット級の光パススイッチングの実証実験に世界で始めて成功しました。また、帯域利用効率が高い波長多重化法の原理確認実験にも成功しました。


<背景>
 NTTでは、高品質で柔軟な次世代の大容量ネットワークの実現のため、フォトニックネットワークの研究開発を推進しています。
 増大する通信需要に対応して、より大容量な情報を高品質に伝送するフォトニックネットワーク構築の実現には、光信号のまま方位を変える光スイッチ、複数のチャネルの光信号を一本のファイバで伝送する波長分割多重(WDM)*1技術、この技術を用いてお客様とお客様を結ぶ光通信路(光パス)*2の技術開発が不可欠です。
 光通信路の大容量化には、光パスとして1つの波長チャネルだけを用いるのではなく複数の波長を用いる波長群パス*2技術の研究開発が必須です。波長群パス技術には、
1. 占有帯域幅が狭く、高い帯域利用効率を有する波長群信号生成技術
2. 波長の利用効率を高めるための波長の切り替え(波長変換*3)技術
などがあります。これらの技術を用いた次世代のフォトニックノードの構成イメージを図1に示します。


<今回の成果>
1.波長群の一括波長変換技術と波長群パススイッチング実験
 10Gbit/s 64波長からなる波長群信号を高品質に一括波長変換することに成功しました。全光型波長変換における光信号品質劣化要因を解明し、波長変換光回路構成の工夫により品質劣化を抑圧したことにより実現したものです。従来、波長変換技術として、一旦光信号を電気信号に変換し波長の異なる光源に情報を乗せかえる方式(OEO[Optical-Electrical-Optical]変換型)がありましたが、この方式では波長数だけのOEO変換器と光合分波器が必要であるため変換する波長数の増大に伴って回路が大規模化し、光パスの大容量化に制限を与えていました(図2(b)参照)。全光型波長変換(図2(c)参照)は、大幅にノード構成を簡略化できると共に、多様な光信号に柔軟に対応できます。
 更に、16ポート広帯域PLC型光スイッチを組み合わせて、総容量640Gbit/s波長群(10Gbit/s ×WDM波長数64)の光スイッチングを行い、光処理容量約10Tbit/s (640Gbit/s ×16ポート)に相当する光パススイッチングの実証実験に世界で初めて成功しました(図3参照)。これは波長群パスによるフォトニックネットワークの大容量化に見とおしを得るものです。
2.波長群信号生成技術
 波長チャネル間の周波数間隔を信号ビットレートと同じ程度まで狭くすることを可能にするWDM技術の原理確認実験に成功しました。従来、ビットレートの5倍程度とする必要があった光周波数間隔を、ビットレートと同じに狭窄化する可能性を示しました。


<今後の展開>
 このように本技術は、大容量の光パスルーティングによるフォトニックネットワークの大容量化を実現するキーとなる技術です。NTTでは、今後も本技術と波長ルーティング技術を駆使した超大容量フォトニックネットワークの研究開発を進めていく予定です。

 本研究成果の一部は情報通信研究機構(NICT)委託研究「フォトニックネットワークに関する光アクセス網高速広帯域通信技術の研究開発」として実施しました。本実証実験の一部はNICTけいはんな情報通信オープンラボにて実証実験を行いました。また、今回の成果は、e-Japan重点化項目である10Tbit級光ルータの技術確立に向けた取り組みの一環です。今回の成果は、今後学術誌等において発表予定です。


<用語の解説>
※1 波長分割多重
 WDM (Wavelength Division Multiplexing)。送信側でチャネル毎に、異なる波長の光に信号を符号化して多重し、受信側では波長単位で分波・受信することにより、複数のチャネルの信号を1本の光ファイバで伝送する多重化方式。

※2 光パス
 フォトニックネットワークの端から端まで提供される光の通信路。波長をラベル(識別子)として光スイッチにより経路(ネットワーク上のルート)が設定される。複数の波長を束ねて1つの大容量の光パスとしたものを「波長群パス」などと呼ぶ。

※3 全光型波長変換
 フォトニックネットワークにおいて同一経路に光パスを設定する際、2つの光パスの波長が同じ場合に片方を他の空き波長に変換する。全光型波長変換では、擬似位相整合ニオブ酸リチウム(QPM-LN:Quasi-Phase Match Lithium Niobate)結晶導波路などの光非線形材料に、励起光とともに波長群信号を入射し、光非線形効果によって波長を変換します。



図1 波長群を用いたフォトニックルータの構成
図2 WDM光(波長群光信号)の一括波長変換
図3 波長群パススイッチング実証実験
図4 高効率波長群光信号発生の原理実証実験



[本リリースに関する問い合わせ先]
NTT先端技術総合研究所
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Tel: 046-240-5152
http://www.ntt.co.jp/sclab/contact


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