(報道発表資料)
2006年4月18日

株式会社ベストライフ
特定非営利活動法人ホールファミリーケア協会
株式会社国際電気通信基礎技術研究所
日本電信電話株式会社


ITを活用した遠隔傾聴サービストライアルの実施について


 株式会社ベストライフ(以下、ベストライフ、本社:東京都新宿区、代表取締役:徳川泰章)、特定非営利活動法人ホールファミリーケア協会(以下、ホールファミリーケア協会、事務所:東京都千代田区、理事長:鈴木絹英)、株式会社国際電気通信基礎技術研究所(以下、ATR、本社:京都府けいはんな学研都市、代表取締役社長:畚野信義)、および日本電信電話株式会社(以下、NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:和田紀夫)の4社は、2006年4月18日より、ITを活用した遠隔傾聴サービストライアルを開始します。
  ベストライフの老人ホームの入居者と在宅の傾聴ボランティアをブロードバンドを活用したテレビ電話で接続し、遠隔地からの傾聴活動を実施します。テレビ電話画面上に、相手の顔だけでなく、入居者の思い出の写真やビデオなどを表示して共有することで、話題提供とコミュニケーションの深まりを支援し、遠隔傾聴の可能性を検証します。


1.背景と経緯
 現代社会は地域における人間関係が希薄となり、特に高齢者の中には人と話したくても話せない方や話す機会が極端に少ない方が増えています。このような方々の話を聴き、情緒的なサポートを行う傾聴活動*1図1)が注目されています。
 ホールファミリーケア協会は、養成講座の開設により傾聴ボランティアの育成を進めており、現在2000人を超えるボランティアが活動しています。話し相手を求める高齢者の数に比して、傾聴ボランティアの数は少なく、また現地に赴くなどの負担もあり、その活動範囲は限定されています。ITを活用した遠隔傾聴により、活動範囲を広げ、より多くの傾聴を行えることが期待されています。物理的に離れた場所からネットワーク越しに傾聴する「遠隔傾聴」では、通常の対面傾聴で重視されている非言語的コミュニケーション*2が著しく制約されるため、傾聴が目指す「情緒的な一体感の共有」を支援する技術が求められています。
 一方、ATRはITを活用した情報セラピー技術(*)の研究を進めてきました。このたび、NTTグループが提供するテレビ電話「フレッツフォン」上で、高齢者の思い出の写真やビデオなどを画面上に双方同期して表示させるコンテンツ共有機能を開発しました。遠く離れていても「同じものを共有する(同じものを見ている)」安心感を醸成し、距離を越えて相手の気持ちに寄り添うことを支援します。
(*)本研究は独立行政法人情報通信研究機構民間基盤技術研究促進制度の研究委託「軽度脳障害者のための情報セラピーインタフェースの研究開発」によりATR知能ロボティクス研究所が実施しました。


2.トライアル概要
 ベストライフは、運営する老人ホームにフレッツフォンを導入し、健康相談などに利用しています。今回、聖蹟桜ヶ丘と市ヶ尾の2ヶ所の施設をトライアルのフィールドとして選定し、老人ホームの入居者と在宅の傾聴ボランティアとの遠隔傾聴のトライアルを実施します。トライアルの利用イメージを図2に、参加各社の役割を図3に示します。
 トライアルは、4月18日より5月31日までの期間実施し、入居者の様子(感情表出数、発話数など)を視聴覚療法士の分析により評価します。また、傾聴ボランティアへの利用感や操作性に関するアンケートも実施します。これらの分析データをもとに、遠隔傾聴の効果や有効性を検証し、解決すべき技術面・運用面での課題を明らかにします。


3.遠隔傾聴サービスを支える技術
 ATRの開発したコミュニティ・プラットフォーム技術を利用することで、傾聴ボランティアと入居者がフレッツフォン上で同じコンテンツを共有することが可能となります。共有するコンテンツは、入居者が話したくなる写真と、話題の中心になる部分へズームするなど動画仕立てに仕上げた写真ビデオの2つを用意しました。いすれも会話のきっかけづくりに有用であると期待されます。フレッツフォン上でコンテンツを共有している画面を図4に示します。
  コミュニティプラットフォーム技術の特長は大きく3つあります。ひとつは共有するコンテンツに対する操作は傾聴ボランティア側の端末から実施可能で、その操作結果が入居者側の端末にも反映されるという点です。これにより、入居者側でのフレッツフォンの操作を一切不要としています(コンテンツベース・コミュニケーション技術)。次に、傾聴ボランティアと入居者が共有する写真やビデオをネットワークを介して同期再生することを可能としました。これにより、同期した写真やビデオを共有しながら話題を提供し、対話を支援することができます(コンテンツ同期再生技術)。最後に、高齢者や特に認知症の特質を理解したビデオ制作者が持つコンテンツ制作ノウハウ(暗黙知)を機械的に実装(形式知)することにより、写真に予め付与されたメタ情報をもとに、半自動的に高齢者向けの動画仕立ての写真ビデオを制作可能です(コンテンツ制作支援技術)。


4.今後の予定
 今回のトライアルの評価結果を踏まえ、システム面での改善や新規機能の追加、運用面での課題の解決を進め、今秋以降、実験規模を拡大して、サービス評価と事業性の検証を進める予定です。
  傾聴スキルを獲得した元気な高齢者が、施設に入居している高齢者を傾聴活動を通じてピア・サポート(相互支援)*3する取組みは、貴重な社会参画の機会となり、 また高齢社会を相互に支える活動と位置付けられます。団塊の世代が大量に退職する2007年を目前に、元気な高齢者の社会貢献活動の裾野を拡大し、活力ある相互支援社会の実現に向けて、ITを活用した遠隔傾聴の実現に取り組んでいきます。


<用語と解説>
*1 傾聴: 話し相手がほしい、不安や寂しさを誰かに聴いてほしいと思っている人の気持ちに寄り添って、その人の話を否定することなく丸ごと受け止めて『聴く』こと
*2 非言語的コミュニケーション: 言葉や文字によらないで表情・動作・姿勢・音調・接触などによって行われるコミュニケーション。ノン-バーバル-コミュニケーション。(goo国語辞典より)
*3 ピア・サポート: 仲間同士の支え合い。人と人との支え合い、相互支援といった意味合いも含まれる。



図1.傾聴活動シーン
図2.ITを活用した遠隔傾聴サービスの利用イメージ
図3.参加各社の役割
図4.フレッツフォン上でのコンテンツ共有画面



<本リリースに関する問い合わせ先>

株式会社ベストライフ
今岡、梁川
03-5908-2020


特定非営利活動法人ホールファミリーケア協会
山田
03-5297-7108


株式会社国際電気通信基礎技術研究所
安部
0774-95-1463


日本電信電話株式会社
(第三部門プロデュース担当)
藤原、村田
03-5205-5365


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