News Release

2008年2月6日


新たな広帯域音声符号化方式がITU-T国際標準に採用決定
〜NTTと他4社による共同提案が国際標準化を牽引〜


 日本電信電話株式会社(以下NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:三浦惺)は、ITU-T※1において、音声符号化方式の国際標準化に積極的に取り組んで参りました。
 このたび、NTTのサイバースペース研究所(以下、NTT研究所)が主導となり、ETRI(韓国)、FranceTelecom(フランス)、Huawei(中国)、VoiceAge(カナダ)と共同で提案した広帯域音声符号化方式がITU-Tの国際標準に採用され、正式な承認手続きの後、G.711Wideband Extension(仮称、以下G.711-WB)として成立することになりました。
 本方式を、次世代のVoIP電話機や音声会議装置等に搭載することで、明瞭かつ臨場感にあふれた高品質な通話が可能となります。また、インターネット上で利用しても、途切れの少ない通話ができるようになるとともに、従来の電話機と相互接続することも可能となります。


1.背景
 従来のディジタル電話やVoIP電話には、ITU-Tの音声符号化標準G.711※2が最も広く用いられてきました。G.711は、300Hz〜3.4kHzの電話音声帯域だけを再生するため、会話を行うには十分なものの、明瞭感や肉声感には欠けるものでした。また、50Hz〜7kHzの広い音声帯域を再生できるものもありましたが、相手の電話機も同じ方式である必要があり、普及にまでは至らないのが現状でした。この問題を解決するため、NTT研究所は広帯域で高品質かつ従来電話と相互接続可能な広帯域音声符号化方式の開発に取り組んで参りました。


2.採用決定までの経緯
 2007年1月、NTT研究所は従来電話と相互接続可能な広帯域音声符号化方式の国際標準化をITU-Tに提案しました。その後、NTT研究所が開発した方式を基本に他4社と共同検討を重ね、国際標準に相応しい方式を確立するに至りました。本方式がITU-Tの要求品質を満たしていることが確認され、2008年2月1日、ITU-Tにて最終の承認手続きに進むことが了承されました。


3.広帯域音声符号化技術G.711-WBの特徴
(1)7kHz広帯域音声を再生可能 (別紙1)
 従来の電話音声(300Hz〜3.4kHz)よりも広い帯域の音声(50Hz〜7kHz)を再生できるため、明瞭かつ臨場感にあふれた音声で通話でき、鳥や虫の鳴き声も再生することができます。

(2)従来電話(G.711)との相互接続性を確保 (別紙2)
 G.711-WBは、G.711の符号データ(64kbit/s)に、広帯域化のための16〜32kbit/sの符号データを追加して伝送するため、G.711の符号データだけを取り出して、従来電話と通話できます。

(3)パケットが消失しても音声を復元 (別紙3)
 インターネット上でVoIPでの通話を行うと、音声符号データを含むパケットが途中で欠落し、音声が途切れることがあります。G.711-WBは、そのような場合でも、欠落した部分の音声を高精度に復元する仕組みを備えているため、途切れの少ない快適な通話が可能です。

(4)少ない遅延による自然な通話
 携帯電話やVoIPでは、音声信号をブロック単位(10ms(ミリ秒)以上)にして処理するため、音声が遅れて届きます。G.711-WBは、半分以下の5ms単位で音声を処理するため、データ処理による音声の遅延を抑えることができ、遅れの少ない自然通話が可能です。

(5)安価なDSP※3に実装可能な少ない処理量
 処理量が8.7WMOPS※4以下と、従来に比べて少ないため、安価なDSPにも実装できます。


4.今後の予定
 今後、本方式をVoIP電話機や音声会議装置に導入すべく、実装に向けての検討を行っていきます。また、NTT研究所では、7kHz以上の帯域を利用した、さらに高品質な音声符号化方式の標準化を目指し、研究開発と共に国際標準化活動への貢献を行っていきます。


[用語解説]
※1 ITU-T (国際電気通信連合電気通信標準化部門)
International Telecommunication Union Standardization Sector。国際連合の専門機関である国際電気通信連合(ITU)の部門の一つで、情報通信技術に関する国際標準を策定している。

※2 G.711
ITU-Tで標準化された音声符号化方式。電話帯域の音声信号を64kbit/sで伝送できる。全世界で最も普及している方式。NTT研究所はこのG.711を拡張し、広帯域音声での通信を可能にした広帯域音声符号化方式「UEMCLIP(ユーエムクリップ)」を開発。

※3 DSP
Digital Signal Processorの略称。一般のCPUに比べて数値演算を高速に行うアーキテクチャをもつCPU。

※4 WMOPS
Weighted Million Operations Per Secondの略称。ITUで定められた演算処理能力を表す単位。DSP命令を模擬した演算処理を一秒間に何百万回実行するかを表している。



(別紙1)7kHz広帯域音声を再生可能
(別紙2)従来電話(G.711)との相互接続性を確保
(別紙3)パケットが消失しても音声を復元



<本件に関する問い合わせ先>
日本電信電話株式会社
サイバーコミュニケーション総合研究所
企画部広報担当 川名
Tel:046-859-2032
E-mail:randd@lab.ntt.co.jp


NTT ニュースリリース

Copyright(c) 2008 日本電信電話株式会社