News Release

2008年4月22日


インターネット上での音楽・映像コンテンツの
使用を特定する実証実験を開始
〜大量の投稿コンテンツを処理できる「ロバストメディア探索技術」を開発〜


 日本電信電話株式会社(以下NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:三浦惺)は、音や映像の特徴どうしの照合により、インターネット上の投稿コンテンツなどの音・映像クリップの中に、予め登録された特定の音楽や映像が含まれるかどうかを高速に検出できる「ロバストメディア探索(RMS: Robust Media Search)技術」(以下、RMS技術)を開発しました。
 この技術を用いて、インターネット上での著作物使用のモニタリングに豊富な実績を有するBayTSP社※1(ベイ・ティー・エス・ピー;米国カリフォルニア州、CEO:Mark Ishikawa)と共同で、インターネット上の投稿サイトやブログサイトなどで使用された音楽や映像コンテンツのタイトルを特定する実証実験を、2008年4月22日(米国時間)から9月30日までの予定で開始いたします。


1.実験の背景
 インターネット上では、投稿サイトやブログサイトが急速に普及し、そのコンテンツが豊かになる一方で、第三者が知的財産権を有するメディアコンテンツが無断使用されている事例も増加し世界的に問題となっています。この問題に対して、これまで目視等によるチェックが行われてきましたが、1日に投稿もしくはリンクされるメディアファイルの件数は膨大なものとなっており、人手による確認が難しくなっています。
 NTTのコミュニケーション科学基礎研究所※2(以下NTTの研究所)では、早くから、音や映像の短い断片の中に特定の音や映像が含まれているかどうかを高速に判定する技術(メディア探索技術)の研究を進めてきました。今回、その最新の研究成果を用い、上記の問題の解決を図るための実証実験を行います。


2.ロバストメディア探索(RMS)技術の概要
 音や映像の信号の断片を探索のキーとし、多数の音楽や映像を格納したデータベースの中を検索し一致するものを見つけ出すことで、そのタイトルなどの情報を引き出す技術は、メディア探索技術と呼ばれています(音楽や映像の「フィンガープリント技術」と呼ばれることもあります)。
 RMS技術はメディア探索技術の一つですが、これまでの一般的なメディア探索技術に比べて高いロバスト性をもつ点に大きな特徴があります。ロバスト性とは、音や映像の信号に様々な変化(別の音の重なり、テロップなどの重なり、音質や画質の劣化、編集や加工など)が加わっても精度良く元のコンテンツを特定できるといった、信号変化に影響されにくい性質のことを指します。
 RMS技術は、音の波形値や映像の画素値を元に特徴データと呼ばれる数値を抽出する特徴抽出部と、特徴抽出部で抽出された特徴データを高速に照合する特徴照合部から成り立っています。(図1
 RMS技術による映像探索では、特徴抽出部において映像中から特徴的な部分だけを選択して数値化する工夫と、特徴照合部においてこれら数値の一貫性を考慮しながら照合する工夫を行ったことで、高いロバスト性を実現できました。(図2
 さらに今回、時間整合性フィルタ技術を開発し、特徴データのサイズを圧縮することに成功しました。これにより、ロバスト性を失うことなく特徴照合部の処理を大幅に高速化することができ、大量の投稿コンテンツを対象とする実証実験が可能になりました。
 本技術を用いると、インターネット上の各種サイトでの音楽や映像コンテンツ特定の自動化が図れます。コンテンツが自動的に特定できれば、違法コンテンツの検出や削除だけにとどまらず、使用実態の把握に伴う新たなサービスなどへの活用も期待されます。


3.実証実験の概要図3
 今回の実験は、NTTの開発した「ロバストメディア探索プラットフォーム」※3(以下、RMSP:Robust Media Search Platform)と、BayTSP社が提案する「コンテンツ認識プラットフォーム」※4(以下、CAP: Content Authentication Platform)を結合して行います。RMSPはRMS技術によるコンテンツ特定機能を提供し、CAPはインターネット上からのファイルの収集やコンテンツ特定結果の分析処理などの機能を提供します。
 まず、BayTSP社が権利者から預託を受けた音楽や映像のコンテンツに対し、NTTの研究所がRMS技術(特徴抽出部)により特徴データに変換する処理を行い、特徴データをデータベースに格納します。
 次に、BayTSP社が、実在の投稿サイトやブログサイトに投稿・掲示されたメディアファイルの一部を収集します。これらに対し、NTTの研究所が上記と同様の処理により特徴データに変換し、RMS技術(特徴照合部)によりデータベースに蓄積された特徴データを探索して、その結果をBayTSP社に返信します。
 本実験では、1日あたり数千件から数万件規模のファイルに対して、データベースとの照合を行うことを予定しています。


4.各社の役割
(1) NTT
RMSPによるコンテンツ特定機能を提供します。また、インターネット上に掲示・投稿されるメディアコンテンツの特定という応用分野におけるRMSPの有効性を検証します。

(2) BayTSP社
CAPに基づき、コンテンツデータベースの準備と、インターネット上からのファイルの収集を行います。また、コンテンツ特定の結果を元に、未権利処理コンテンツの実態分析などを行います。


5.今後の予定
 本実験の結果を踏まえ、安心で便利なコンテンツ流通をめざして今後も研究開発を進めるとともに、コンテンツ特定サービスなどについて、NTTグループ企業でのビジネス化を検討してまいります。


[用語解説]
※1 BayTSP 社
著作物(映画、音楽、ソフトウェア、出版物など)のインターネット上での使用モニタリングや監視サービスを権利者向けに提供する、オンラインコンテンツモニタリングの最有力企業の一つです。米国の大手メディアグループ企業やハリウッドの主要な映画制作会社などを顧客としています。
URL:http://www.baytsp.com/

※2 NTTコミュニケーション科学基礎研究所
コミュニケーションの本質に応える情報通信の未来に向かって、人間科学と情報科学を融合した学際的なアプローチにより新しい原理や概念を創出し、それらを革新的な情報通信サービスにつなげる基礎研究を行っています。
URL:http://www.kecl.ntt.co.jp/rps/index-j.html

※3 ロバストメディア探索プラットフォーム(RMSP)
NTTが今回開発した、RMS技術を活用するための汎用的な基盤です。ネットワークを介して他のシステムと容易に結合できるという特徴があります。

※4 コンテンツ認識プラットフォーム(CAP)
BayTSP社が2007年に発表した、コンテンツ認識の自動化のための統一的なワークフローを提供する基盤です。



図1 RMS技術の説明
図2 RMS技術(映像探索)の工夫点
図3 実証実験の構成



<本件の問い合わせ先>
NTT先端技術総合研究所
(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
企画部 広報担当 飯塚 河合
Tel:046−240−5157
http://www.ntt.co.jp/sclab/contact.html


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