(報道発表資料)
2008年4月23日
日本電信電話株式会社
NTTエレクトロニクス株式会社


人の体の表面を伝送路とする
新しいヒューマンエリア・ネットワーク技術
「レッドタクトン(RedTacton)」を製品化
〜触れる、踏むといった動作でセキュリティを実現する「Firmo(フィルモ)」を発売〜


 日本電信電話株式会社(以下NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:三浦 惺)は、人の体の表面を伝送路とする新しいヒューマンエリア・ネットワーク技術「レッドタクトン(RedTacton)<*1>」の研究開発に取り組んでまいりましたが、このたび、NTTのマイクロシステムインテグレーション研究所が、基盤技術の開発に成功しました。
 これをうけ、NTTエレクトロニクス株式会社(以下NEL、本社:東京都渋谷区道玄坂、代表取締役社長:戸島知之)は、本技術を用いた製品「商品名"Firmo"(フィルモ)<*2>」を開発し、本日4月23日よりサンプル発売を開始します。Firmoは、カード型送信機などからなり、オフィスセキュリティを主な利用領域としています。


1.開発の背景
 ユビキタスサービスの実現には、遠隔地にあるサーバと端末を接続するインターネット、オフィスや生活空間内の機器を接続するローカルエリア・ネットワークに加えて、人が携帯する端末と人の周辺(ラスト1m)にある情報機器を接続するヒューマンエリア・ネットワークが求められます。従来、無線LAN、ブルートゥース、赤外線通信などが提案されていますが、通信接続の煩わしさや混信があるなどの点で課題が残っていました。そこでNTTは、人の体を伝送路とする通信方式に着目し、研究開発を行ってまいりました。


2.レッドタクトン技術のポイント
 レッドタクトンは、電波や光ではなく、体の表面電界による通信技術です。(図1
 送信機は、データ信号を変換した微弱な交流電界を体の表面に誘起します。受信機は、この電界を検出し、データ信号に変換します。この原理により、例えば送信機が発したID信号が体の表面を伝わり、ドアに埋め込まれた受信機に到達し、受信機はID信号を認識します。なお、レッドタクトンは、微弱な電界を使用しており、送信機は、電波法の微弱無線基準を満たしています。
 また、今回開発したレッドタクトンは、すべて電子部品で構成されており、オフィスセキュリティを主な利用領域とした性能(230kbps高速転送、低消費電力)を備えています。なお、NTTではレッドタクトンの利用領域を広げるため、映像・音声データの再生など高速通信が可能なデータ通信版(伝送速度10Mbps以上、光学センサ使用)の研究開発とその低コスト化も進めております。


3.レッドタクトンの4つの特徴
(1)自然な動作で通信を開始
触れる、握る、座る、歩く、踏むといった人が行う自然な動作で伝送路を形成して通信を開始し、それを機器動作や情報入手などのトリガーとすることができます。

(2)ポケットに入れたままで高速通信
「高効率交流電界誘起技術」と「高感度電界センシング技術」の採用により、230kbpsの速度で体の任意の2点間での通信が可能です。体の表面だけでなく、衣服、手袋、靴を身に着けたまま壁や床に組み込まれた端末との通信も可能です。

(3)伝送路の素材を選ばない
導電体・誘電体であれば伝送路の素材を選びません。人の体のほか、動物、水、金属などを、レッドタクトンの伝送路として使うことが可能です。(ただし、伝播する導電体の長さや設置環境、通過誘電体の厚みなどには制約があります)

(4)触れている相手だけと通信
無線のように信号を空間に向けて広く放射しないため、触れた時にその相手とだけ通信するなど、他との干渉が無く空間分解能の高い通信が実現できます。


4.製品Firmo(フィルモ)の概要
 Firmo(フィルモ)は、4月23日より送信機や受信機などをセットにした評価キットでの発売を開始し、6月末より出荷いたします。価格は、80万円/セットです。
 製品の詳細については、(別紙)の通りです。


5.代表的な利用例
(1)入退認証を手ぶらで
ビル、工場、オフィス、マンションなどへの入退時に、受信機が埋め込まれたドアノブに触れたり、床を踏むことで身に付けた送信機から体を介してIDを送り、認証・開錠を行うことができるため、カードをかざしたり、キー入力が一切不要な認証スタイルが実現し、バリアフリー化にも利用が可能。

(2)オフィス内セキュリティを使い易く
オフィスキャビネットやプリンタに受信機を搭載することで、取手に触れるだけで開錠する「セキュアキャビネット」や、プリンタに印刷コマンドを送ってもプリンタにタッチするまではドキュメントを印刷しない「セキュアプリンタ」を実現。

(3)高度なパーソナルサービスの提供を可能に
店舗や公共施設において、送信機を持っているだけでゲートやドアでの認証を済ませるのはもちろん、個人の属性に応じた高度なサービス提供が可能。また、医療・介護現場においても、触れるだけで患者や機器の特定・認証ができ、より正確なサービスの提供を実現。


6.今後の予定
 多くの機能的な特徴を持つヒューマンエリア・ネットワーク技術レッドタクトンですが、今後NTTでは、引き続き"総合プロデュース機能<*3>"を活用し、パートナー企業とともに利用領域の拡大に取り組んでいきます。
 具体的には、レッドタクトンの小型化、高速化や高度なセキュリティにも対応する双方向通信版の提供などにより、ホーム・オフィスから公共施設や交通など、社会全体へ利用領域を拡げていきます。
 なお、レッドタクトンは、第5回情報セキュリティEXPO(5月14日〜16日に東京ビッグサイトで開催)のNTTコミュニケーションズブース内においても紹介する予定です。


図1 レッドタクトンの通信イメージ

図1 レッドタクトンの通信イメージ


<用語解説>
*1 レッドタクトン(RedTacton)
 触れる(Touch)ことで通信が発生し、さまざまな反応を引き起こす(Act on)ことから、TouchとAct onを組み合わせた造語(Tacton)をつくりました。それに、温かみのある通信という意味で、赤(Red)という色を加え、レッドタクトン(RedTacton)という名前をつけました。

*2 Firmo(フィルモ)
 妖精のような振る舞いで物事を起動させることができることをイメージし、Fairy Motion(妖精の動き)からFirmo(フィルモ)と名前をつけました。

*3 総合プロデュース機能
 総合プロデュース機能とは、事業化の責任者として指名されたプロデューサがNTTグループ内外の企業と協力しながら、NTT研究所の研究成果のビジネス化を推進していく取り組みであり、2003年7月から開始いたしました。NTTは今後も総合プロデュース機能により、さまざまな研究開発成果を幅広く事業化推進していく予定です。



別紙 製品の概要
表1 Firmo評価キット



<本リリースに関する報道機関からの問い合わせ先>
日本電信電話株式会社
広報室
吉新・霜島
TEL:03-5205-5550

<本リリースに関する報道機関以外からの問い合わせ先>
日本電信電話株式会社
研究企画部門プロデュース担当
朝日
TEL:03-5205-5391
E-Mail:redtacton-info@ml.hco.ntt.co.jp

<製品に関する問い合わせ先>
NTTエレクトロニクス株式会社
営業統括部
萩原
TEL:03-5456-4192
E-Mail:nelcc@hqs.nel.co.jp


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