News Release

2008年6月9日


最新の映像符号化方式H.264に準拠したフルHDリアルタイム
テレビ電話ソフトウェア(RISCA264-HD)を世界で初めて開発
〜フルハイビジョンのテレビ電話をパソコンで手軽に実現可能に〜


 日本電信電話株式会社(以下NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:三浦惺)は、一般に普及している光ブロードバンドサービス(Bフレッツなど)と市販のパソコンだけで、手軽にHDTVクラスの高解像度でリアルタイムかつ双方向に映像伝送を実現する双方向低遅延H.264準拠HDTVリアルタイム並列ソフトウェアコーデック(*1)を世界で初めて開発しました。
(*1)開発コード名: RISCA264-HD(リスカ ニーロクヨン−エイチディ): Real-time and Interactive Software-based Codec Architecture for H.264-HDTV


1.RISCA264-HDの概要
 今回開発したRISCA264-HDは、高速なエンコーダ/デコーダエンジンと、IPパケット送信/受信エンジンから構成され、市販のパソコン(*2)上で、高精細なHDTVサイズ(1920画素×1080ライン)でテレビ放送並の毎秒30フレーム(*3)の映像伝送を、自然な会話ができる片方向0.2秒以下の低遅延で実現することができます。また、パケットロスによる映像や音声の劣化を抑制するため、独自のフレーム抑制法を実装しています。これにより、帯域が保証されないIPネットワークサービスでも、高品質の臨場感溢れる双方向コミュニケーションを実現することができ、高品位TV電話がより身近なものになります。
(*2) Quad-Core CPU 3.0GHz程度のCPUを搭載したパソコンで実現可能です。
(*3) 実際のフレームレートは、ネットワークの負荷に依存します。


2.開発の経緯
 NTTのサイバースペース研究所では、従来からブロードバンドネットワークを活用した高品質の映像コミュニケーションサービスを実現するため、プロフェッショナル向けのH.264 コーデック LSI (SARA)(*4)の開発およびそれらのシステム開発に取り組んできました。
 光ブロードバンドサービスの普及により、高解像度で臨場感に溢れ、手軽で安価に双方向でコミュニケーションができるツールが必要とされています。今回のRISCA264-HDは、このような要求に応えるため、研究所で長年に渡り培ってきた映像符号化技術をソフトウェアに展開し、一層の普及促進を図ったものです。
(*4) SARAは、プロ放送向けH.264エンコーダ/デコーダLSIです。


3.技術のポイント
(1) ストライプ並列エンコーディング方式をフレキシブルなマルチスレッドに適用(図1)
 マルチコアCPUの性能向上に適応可能にするため、ストライプ並列エンコーディング方式をフレキシブルなマルチスレッドマッピングにより実現し、画質と演算量のトレードオフを最適化することにより、市販のパソコン上で、HDTV(1920画素×1080ライン)の高解像度で、毎秒30フレームのリアルタイムなコーデック処理を実現しました。さらに、IPパケット送信/受信処理の高速化とネットワーク特性を考慮したパケット送受信法の最適化により、毎秒10から15メガビットの通信速度で双方向映像伝送を実現しました。

(2)自然な会話ができる低遅延の実現
 自然な会話ができる遅延の最大値は片方向0.2秒と言われています。このため、従来のRISCAでも実現していた遅延と同様に片方向0.2秒以下の低遅延をキャプチャボードの遅延込みで実現しています。MPEG-2システムとして実装されていた映像と音声の多重化処理や分離処理を排除し、それぞれのエンコーダの出力を直接送信IPパケットに変換し、また逆に受信IPパケットを直接それぞれのデコーダへ入力するような、独自の直接変換方式を採用しています。これにより,映像や音声のコーデック処理やパケット送受信処理のバッファを削減し、ネットワークの遅延込みでも、片方向0.2秒以下(*5)の低遅延を実現しています。さらに、H.264のコーデック基本構成としては、ピクチャ構造を工夫することにより、2フレーム(66msec)の遅延に削減できる可能性のある構成を実現しています。
(*5) 実際の遅延はネットワークの構成と負荷に依存します。

(3)パケットロスに対する映像・音声の劣化を抑制
 ベストエフォート型のIPネットワークでは、ネットワークの負荷によりパケットロスが発生します。パケットロスが発生するとそのパケットに含まれる映像や音声の一部が失われるため、映像品質や音声品質の劣化が発生します。このため、送信側でパケットに簡単な情報を付加し、受信側でパケットロスを検出するとともに、パケットロスに対応した独自のフレーム抑制法を実装しています。独自のフレーム抑制法では、パケットロス発生時に乱れた映像や音声を出力せず、乱れたフレームや音声を間引くことにより、違和感のない双方向映像伝送を実現します。


4.今後の予定
 今回開発したRISCA264-HD技術の前身であるRISCAは、NTTレゾナント社より、サービス名“WarpVision”として、提供されています。RISCA264-HDについても、事業化を検討していきます。また今後、RISCA264-HD技術のさらなる高速化・高画質化・高圧縮化・低遅延化を図りつつ、多種多様な機能に対応可能な次世代のコーデック技術や伝送技術の開発に取り組んでいきます。
 なおRISCA264-HDは、6月11日から13日まで幕張メッセで開催されるINTEROP TOKYO 2008に出展致します。


図1 ストライプ並列エンコーディング方式

図1 ストライプ並列エンコーディング方式



<本件に関する問合せ先>
日本電信電話株式会社
サイバーコミュニケーション総合研究所
企画部広報担当 臼倉
TEL:046-859-2032
E-mail:randd@lab.ntt.co.jp


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