News Release

2008年8月25日


NTTが独自に開発した映像配信客観品質評価技術が
国際標準規格に採用
〜品質を確保した快適な映像配信サービスの健全な発展に向けて〜


 日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:三浦惺)がITU-T SG9※1に標準化提案していた映像配信サービスの客観品質評価技術が、世界的な性能評価コンテスト※2を経て国際標準に採用され、ITU-T勧告J.247として正式に発効されました。
 本技術は、NTTのサービスインテグレーション基盤研究所(以下、NTT研究所)が、IPベースの映像配信サービスの「ユーザ体感品質(QoE:Quality of Experience)」を客観的に推定する評価技術として開発したものです。映像配信サービスにおける客観的な品質確認・監視を可能とするものであり、映像配信サービスの健全な発展に寄与するものです。


【背景と標準化の意義】
 ユビキタス・ブロードバンドサービスの進展に伴い、映像コミュニケーションへの要望が高まる中、パソコンや携帯電話のユーザ向けの映像配信サービスが急速に普及しています。
 このような新サービスをお客様(視聴者)に対して適切な品質で提供するためには、映像配信サービスの品質(QoE)を的確にとらえることのできる品質評価技術が必須です。ところが、従来は、映像配信サービスに用いられる多様な符号化方式・ビットレートによる符号化劣化や、IPネットワーク特有の劣化であるパケット損失による劣化映像の評価技術が存在しませんでした。
 こうした中、NTT研究所では、その主観品質評価設備・ノウハウを最大限活用して構築した膨大な品質データベースに基づいて、人間の知覚特性を考慮した、符号化及びパケット損失による劣化に対する「劣化量推定モデル」を確立し、それに基づいて実際の映像を分析することによってQoEを推定し、お客様の視点に近い感覚で客観的に映像品質を評価する技術を開発しました。
 この評価技術をITU-Tに標準化提案し、ITU-Tにおける足かけ5年にわたる世界的な性能評価コンテストを経て、ノミネートされた9機関の提案のうちNTT方式を含む4方式が、2008年8月13日に正式な勧告J.247として承認され、2008年8月22日に公開されました。
 なお、本勧告は、現在、「Pre-published」版として下記より参照いただけます。
http://www.itu.int/rec/T-REC-J.247/en
正式版(「Published」版)となるまでに、勧告内の表記等の軽微な修正が行われる可能性もありますが、勧告として効力があります。
 こうした客観品質評価技術の確立ならびに国際標準化は、サービス品質の確保を通じて、お客様に快適な映像配信サービスを提供することにつながります。また、多彩な映像コミュニケーションサービスを提供できるユビキタス・ブロードバンドアクセスの潜在力を活かせる有力なサービスとして、映像配信サービスのさらなる発展を促進するものでもあります。


【技術のポイント】
 このたび国際標準となった技術は、映像の画素情報を比較することで品質を定量化する、いわゆるフルレファレンス型※3客観品質評価技術(図1)であり、以下の<1><3>の手順を経て重み付け加算を行うことで映像品質推定値を算出し、画質劣化が主観品質に与える影響を推定します(図2)。
<1> 基準/劣化映像の時空間整合処理
  基準映像と劣化映像を適切に比較するため、両者のフレーム及び画素の対応付けを行う
<2> 符号化による劣化量推定モデル
  映像全体に発生する劣化量算出、ブロック歪による劣化量算出、ボケに伴う劣化量算出を行う
<3> パケット損失による劣化量推定モデル
  局所的な空間劣化量※4算出、フリーズ劣化量算出を行う


【技術の採用によるメリット】
 サービス提供中のQoEの監視・管理は「インサービス品質管理」と呼ばれ、メディア品質評価技術の重要なアプリケーションの1つとされています。国際標準として承認された本技術の採用で、以下のようなメリットが望めます。
<1> お客様からのクレームに対して迅速な切り分け・対処を行うことで、CS(顧客満足度)を向上できる
<2> お客様が体験されている品質を“お客様の感覚”で監視することで、品質劣化によるお客様への影響の拡がりを軽減できる
<3> 現時点では目視で行っている「配信前コンテンツの品質チェック」を自動化することにより、サービス提供者の人件費を削減できる


【今後の展開】
 NTT研究所としては、さらなる品質評価技術の研究開発を推進するとともに、映像品質監視システムへの適用や品質推定機器販売・品質評価ビジネスへの展開を通じて、ユビキタス・ブロードバンド時代の映像配信サービスの健全な発展に貢献していきます。


【用語解説】
※1 ITU-T SG9
国連の専門機関である国際電気通信連合(ITU)の電気通信標準化部門であるITU-Tの第9研究委員会(SG9)。主に、ケーブルテレビジョンに関する標準化を扱う。

※2 性能評価コンテスト
世界の映像品質の専門家が集まるITU映像品質専門家会合(http://www.its.bldrdoc.gov/vqeg/)において,国際標準化方式に値するかを判断するために行われた国際標準化コンテスト。世界10ヶ国17機関が関与し、品質技術の性能評価コンテストとしては過去に例をみない大規模な性能評価試験が行われた。

※3 フルレファレンス型
基準映像と劣化映像の両方の映像の画素情報を比較する客観品質評価技術である。映像シーンの違いも加味し、現在最も高精度な評価を行うことが可能な手法。

※4 空間劣化量
フリーズやスキップなどの時間に依存する劣化ではなく、映像1フレーム上に発生するブロック歪やボケ等の空間的な劣化を物理特徴量として数値化したもの。



図1 フルレファレンス型客観品質評価技術
図2 映像品質客観評価モデル



<本件に関する問い合わせ先>
日本電信電話株式会社
情報流通基盤総合研究所
 企画部広報担当
 TEL: 0422-59-3663
 E-mail: islg-koho@lab.ntt.co.jp


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