報道発表資料
平成21年11月17日

日本電信電話株式会社
エヌ・ティ・ティ ラーニングシステムズ株式会社


残響を利用した臨場感あるサラウンド再生を実現
〜音楽に含まれる残響を自在に制御する
世界初の技術『Revtrina』を開発〜


 日本電信電話株式会社(以下:NTT、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:三浦惺)は、音楽CDなどに収録されている音の特徴を分析して、そこから残響成分を分離し自在に制御する基盤技術『Revtrina※1』を開発し、これにより音楽ホールなどの響きを高精度に再現するサラウンド再生※2を可能としました。
 また、この基盤技術をもとに、エヌ・ティ・ティ ラーニングシステムズ株式会社(以下NTTLS、本社:東京都港区、代表取締役社長:古賀哲夫)は、既存の2chステレオ再生用の音楽ソースから、5.1chサラウンド再生※3用の音楽ソースを容易にかつ高品質に制作することができるソフトウェア「NML RevCon-RS※4」を開発しました。
 NTTLSでは「NML RevCon-RS」を11月18日(水)〜20日(金)に幕張メッセで行われる国際放送機器展(Inter BEE※5 2009)にて参考出品いたします。


【開発の背景】
 現在、5.1chサラウンド放送が可能な地上デジタル放送が急速に普及しており、ホームシアターシステムなどの市場も拡大している中で、サラウンド再生可能な環境は着実に広がっています。しかし、従来から広く流通している音楽CDなど殆どは2chステレオ再生用の音楽ソースであり、サラウンド化に対応した音楽ソースは未だ少ないのが実情です。このようなことから、既存の音楽ソースから臨場感あるサラウンドを生成する技術が有望視されています。


【技術のポイント】
 音楽ホールなどの客席で音楽を鑑賞する場合、リスナーへはステージからの直接音成分と、壁や天井などではね返った残響成分が到達します。このような残響は楽器や歌声の音色をより豊かにする効果があります。このため、音楽ホールは残響による良い音が得られるように設計されています。(図1:A
 しかし、CDなどの一般の2chステレオ再生用の音楽ソースでは、これら直接音成分と残響成分が混ざって収録されています。したがって、通常のステレオ再生では、(図1:B)のように、実際の音楽ホールとは異なる響きとなってしまいます。
 NTTのコミュニケーション科学基礎研究所(以下、NTTの研究所)で開発したRevtrinaは、収録条件によらず収録音に含まれる直接音成分と残響成分を推定して分離するとともに、分離した直接音と残響を自由に操作し編集することを可能にする基盤技術です(図2)。
 このRevtrinaを用いて、2chステレオに含まれている直接音成分と残響成分を分離し、それぞれを前方及び周囲に配置されたスピーカーで再生することにより(図3)、あたかも音楽ホールの客席で鑑賞しているような自然な響きを再現することが可能になりました。(図1:C


【製品化のポイント】
 NTTLSでは、NTTの研究所で開発したRevtrinaにポストプロダクション※6(以下、ポスプロ)のエンジニアが培った音の加工・編集ノウハウを取り入れ、プロが求める品質と使い勝手の向上を図ると共に、録音素材ごとの音質調整を適切にできる機能を備えたソフトウェアを製品化しました。編集スタジオでは、このソフトを使用することで、既存の2ch音楽ソースから、極めて自然な5.1chサラウンド音楽を制作することが可能となります。


【今後の展開】
 NTTLSでは、製品化の最終段階としてポスプロでのフィールドテストを経て、平成22年4月に販売を開始する予定です。価格は12万円程度を想定しています。
 またNTTでは、民生用機器等へ応用することで、Revtrinaがより広く一般の方に直接ご利用していただけるようになることを想定して、DSP※7(Digital Signal Processor)を用いたリアルタイムサラウンド化技術の基盤研究をさらに進めていきます。


<用語>
※1 Revtrina:
 Revtrinaという名前は、収録音に含まれる残響成分 (reverberation) と直接音成分に対して、分離、低減、強調の3種類(tri)の操作を可能にする残響制御技術であることを意味しています。NTTの研究所では、自然で豊かなコミュニケーション環境の実現に向け、いつでもどこでも利用可能な音声インターフェース技術を研究してきました。昨年度、収録音声に含まれる残響を除去し聞き取りやすい音声を抽出することに成功し(平成20年11月13日 報道発表)、今回、音楽への残響制御適用とサラウンド再生等、更に発展させたところです。

※2 サラウンド再生:
 音の再生方法のひとつ。通常の2chステレオよりも多くのチャンネルを使用し、立体感のある音場を再現します。モノラル(1.0ch)、ステレオ(2.0ch)音よりも多くのチャンネル(2.1ch以上)を有する再生方法を指します。

※3 5.1chサラウンド再生:
 聴取者の正面、右前方、左前方、右後方、左後方、低音出力用サブウーファースピーカーの6つのスピーカーを用いる音の再生方法を指します。サブウーファースピーカーは出力できる音域が限られているため、0.1chとカウントされています。

※4 NML RevCon-RS:
 本ソフトウェアは、国内外で広く使われている音編集ツールである、Digidesign社(本社 Daly City, CA, USA)製の Pro Toolsのプラグインソフトとして提供致します。RSは、Real Surroundの略。Pro Toolsは複数の録音素材をデジタル化してコンピュータ上に取り込み、ボリュームや音色等を加工・調整し、最終的な作品としてまとめあげるソフトウェアです。
 なお収録音の残響を低減してより聞き取りやすい音声に変換するプラグインソフトは、すでに本年2月にNTTLSから「NML RevCon-RR」として発売されています(平成20年11月13日 報道発表)。

※5 Inter BEE:
 国際放送機器展。毎年開催される国内最大規模の放送関連機器の展示会。

※6 ポストプロダクション:
 放送やCM、パッケージメディア、映画などの映像作品の制作における収録後の作業工程(例えば、映像の編集・色調整・CG合成、音の編集・調整・効果、ナレーション、フォーマット変換など)の総称。

※7 DSP:
 デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサーであり、一般にリアルタイム処理の用途で使われる。



<参考図>図1: 音楽ホール(実音場)、通常のステレオ再生、提案のサラウンド再生の関係
<参考図>図2: Revtrinaの残響推定原理
<参考図>図3: Revtrinaを用いたサラウンド再生音の生成とその再生



【本リリースに関する報道機関からの問い合わせ先】
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TEL:03-5205-5550
エヌ・ティ・ティ ラーニングシステムズ株式会社
総務部 広報室
担当 秋本 03-5440-2716

【本リリースに関する報道機関以外からの問い合わせ先】
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映像制作事業部 映像制作部
担当 上谷 03-5440-5531


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