
平成8年7月24日
アクセス網の光化展開の加速について
−「新光アクセスシステム(通称:πシステム)」の開発導入を決定−
1.アクセス網の光化についてのNTTのこれまでの取組み状況
(1)情報通信分野においては、パソコンなどの情報通信端末の高性能化・低価格化
及びインタ−ネットに代表されるコンピュ−タ通信需要の急増など、マルチメ
ディア化が急速に進展しつつあります。NTTでは、こうした世の中の動きに
応えるため、これまで、ネットワ−クのディジタル化を進め、1997年度に
は、全ての交換機のディジタル化が完了することになっています。また、コン
ピュ−タ通信の具体的な展開として、「オ−プンコンピュ−タネットワ−ク(
OCN)サ−ビス」の早期提供のための準備を進めているところです。
(2)さらに、今後の高速・広帯域化へのニ−ズを展望すると、アクセス網の光化が
極めて重要となります。これまで、NTTでは、「情報通信基盤の整備につい
て」(1994年郵政省発表)も念頭におきつつ、主として、「RT方式」を
用いた地下の幹線系(配線点(き線点)まで)の光化を推進しているところで
す。全国の光カバ−率は1995年度末には、13%であり、2000年には
、目標である20%を達成し、更に、2010年までに100%となるよう取
り組んでいます。
2.「新光アクセスシステム」導入に伴うアクセス網の光化展開の加速
(1)NTTでは、これまで上記の取組みを実施してきましたが、配線点からお客様
の家庭までの光化については、設備が膨大で、コスト面や技術面での課題が多
く、これらアクセス系の課題を克服すべく、事業と一体かつ、基礎から実用化
まで一貫した研究開発を積極的に行ってきたところです。アクセス網の光化に
関する研究開発は、中継市外系で培われた光技術をベ−スに、国際的にも、N
TTがリ−ダシップを発揮しています。
(2)NTTでは、この度、「光PDS(Passive Double Star
)方式」を核に、お客様間近の電柱際まで、メタル並みコストで経済的に光化
が可能な「新光アクセスシステム」を1997年度末から導入することとしま
した。この「新光アクセスシステム」と、従来からの「RT方式」とを併用す
ることで、主として電話サ−ビス用に使用している既設メタリックケ−ブルを
経済的に光ファイバケ−ブルに更改すること により、ネットワ−クの高速・広
帯域化につながるアクセス網の光化展開を加速することが可能となります。
<光PDS方式の概要>
光PDS方式は、「光スプリッタ」を用い、お客様宅等に設置する複数の光回線
終端装置(ONU:Optical Network Unit)で、NTTビル
に設置する1つの所内装置(SLT:Subscriber Line
Terminal)を共有することにより、光アクセス系を低コストで実現する方
式です。
なお、光PDS方式については、米国や英国等の主要各国で導入を検討しており
、特に、独国では、既に、NTTが開発した技術を適用したシステムが使われ始め
ている等、NTT技術は、世界各国から高い評価を得ています。
<新光アクセスシステムの概要>
「新光アクセスシステム」は、電話、INSネット64、低速OCN、低速専用
線などのサ−ビスを対象とし、NTTビルとお客様間近の電柱際に設置した光回
線終端装置(10加入程度を収容)の間の1本の光ファイバを、複数のお客様で
共用することにより、より一層の低コスト化を実現しています。また、並行して
、光ファイバケ−ブル関連技術等の開発を進め、更なる経済化を行っています。
3.アクセス網の光化展開の加速に伴う今後のサ−ビスの充実
NTTは、これまで、お客様の家庭まで光ファイバが入るという本格的なFTTH
に向けて、比較的需要の集中しているビジネスエリアにおいて、「RT方式」を中心
として、配線点までの光化を行い、高速・広帯域需要(注:現時点では、主として高
速ディジタル伝送サ−ビス等)に即応してきました。
今後は、さらに、「新光アクセスシステム」を導入することで、これまでのビジネ
スエリアに加え、需要の散在する住宅エリア等においても、従来方式での配線点(注
:お客様まで、あと数100m)から、お客様間近の電柱際までへと、アクセス網の
光化が大きく前進します。
その結果、将来の高速・広帯域サ−ビスの需要に対して、次のようなメリットが生
じます。
(1)「新光アクセスシステム」を用いて、今後、エコノミ−タイプのアクセス系
1.5Mの高速ディジタル専用線サ−ビスの提供や、ご要望があれば、CAT
V事業者への回線提供等についても検討してまいります。
(2)「新光アクセスシステム」を導入することで、高速・広帯域サ−ビス用の光モ
ジュ−ルや光ファイバ等の低コスト化が促進され、また、高速・広帯域サ−ビ
ス専用として使用する光ファイバケ−ブルや管路を電話サ−ビス等と共用化す
ることで、高速・広帯域サ−ビスの低コスト化が図れます。
(3)「新光アクセスシステム」を導入することで、お客様間近の電柱際まで、光フ
ァイバがきていることから、高速・広帯域サ−ビスを希望されるお客様に対し
ては、電柱からの引込線工事だけとなり、従来1カ月程度必要だった工事期間
が電話並みに期間短縮され、即応性が大幅に向上します。
4.アクセス網の光化の展開
今後のアクセス網の構築は、全国画一的に展開するのではなく、「新光アクセスシ
ステム」及び「RT方式」を中心に、無線アクセス技術の動向、あるいは、CATV
事業者からのFTTHによる回線提供のご要望等も視野に入れ、それぞれのエリアに
最適となるような設備構築を進めていきます。また、アクセス網の光化については、
競争環境下で進むことが想定されますが、ネットワ−クのオ−プン化を推進し、競争
の促進が図れるような設備形態 を目指していきます。
年度末頃から導入予定の「新光アクセスシステム」の具体的な展開エリアは、高速・
広帯域サ−ビス需要が発生した地域から柔軟に導入するとともに、メタル並みコスト
で光化できることから、既設メタリックケーブルの設備更改にあわせて導入していく
こととします。
5.今後の取組み
今後は、光関連技術情報の開示等、研究開発成果のオ−プン化、共用化の促進を図
るとともに、共同開発の実施等、社外との連携も視野に入れつつ取り組んでいく考え
です。
また、さらなる低コスト化施策に取り組み、主要先進国で最も低廉な料金で、世界
最先端のマルチメディアサービスが提供できるようなネットワークの実現に向け、研
究・開発をより一層推進し、全社一丸となって取り組んでまいります。