平成8年8月29日 阪神・淡路大震災を踏まえた災害対策の進捗状況について NTTでは、従来より大規模災害にそなえ種々の施策を講じておりますが、さらに昨 年の阪神・淡路大震災を踏まえた災害対策として「災害に強い通信サービスの実現に向 けて」(昨年7月19日に発表)取り組んで参りましたが、主要な施策について順調に 進展し成果を得ておりますので、その進捗状況をご紹介いたします。 1.「被災地情報ネットワーク」の構築(導入開始) 災害時の被災地内での情報流通を支援する手段として、「被災地情報ネットワーク」 の検討を進めてきました。この「被災地情報ネットワーク」は、災害時の被災地におい て自治体が中心となった情報流通、避難された方々への的確な情報提供を可能とするた め、パソコンネットワークを活用した情報プラットホームを作り、救援活動や復旧活動 、さらには被災者の生活を支援するための情報流通を行うためのものです。アプリケー ション(ISDN、パソコン、グループウェアを活用したしくみ)は、横浜市災害対策 室の協力を得て、実際の被災を想定しつつ、作成しました。 (システム構成) 自治体等に、このネットワークの核となるサーバを設置し、避難所として想定される 小中学校等に端末を設置して、その間を専用線やISDN回線等で接続していただき、 被災時に、このシステムを運用していただきます。なお、NTTでも必要に応じて、回 線・端末の増設支援を行います。 この「被災地情報ネットワーク」で使用するサーバ・端末等は、市販のパソコンであ り、汎用性の高いものとしています。 なお、平常時は自治体等のマルチメディアツールとして、学校間や行政の拠点間の情 報連絡等にご利用いただけるようなシステムとなっています。 (アプリケーションの概要) 被災時を想定して次のようなアプリケーションを作成しました。 (1)行政職員情報−−−避難所に駆けつけた職員ボランティアに関するデ−タベ−ス (2)避難所情報−−−−避難所の概略状況、避難者数管理 (3)被災地画像情報−−ディジタルカメラ等により撮影した被災地の画像情報 (4)避難者安否情報−−住民の安否、居場所等のデ−タベ−スで、50音や電話番号 等での検索が可能 (5)物資要求配送情報−避難所で必要な物資の要求や配送センタ等における物資の在 庫状況等のデータベース (6)生活関連情報−−−パソコン通信と連携した被災後の生活情報や行政からの情報 の収集、発信 これらの情報は、自治体の情報拠点や配送センタ、避難所等から発信、検索ができま す。また、自治体等のご判断により公開可能な情報(避難所毎の避難者名等)について は、ネットワーク外へインターネット等を通じて情報提供が可能です。 横浜市との検討状況を踏まえ、NTTでは、全国の自治体にこの「被災地情報ネット ワーク」をご紹介し、希望される自治体へはこのアプリケーションソフトを無料で提供 することとしており、災害時の情報流通を支援したいと考えています。 また、NTTでは、このシステムを活用する上で、被災時には自治体からの要請によ り、非被災地等からパソコンやパソコンを操作できる人材等の資源を提供します。2.災害時の停電時公衆電話無料化(導入済) 阪神・淡路大震災の際に、停電のため、カード公衆電話でテレホンカードが使用不能 となる事態やコイン併用型公衆電話のコインが金庫に一杯になり使用できなくなるなど の事態が生じたことから、災害時にはテレホンカードやコインをお持ちでなくてもお使 いいただけるよう検討してきました。 このたび、交換機のソフトの準備が整い、災害時(*1)における停電時の公衆電話 による国内通話の無料化が可能になりました。 (*1 災害時:災害救助法が適用される規模の災害) 3.緊急衛星通信システム(導入開始) 通信衛星N−STARについては、昨年8月にa号機、本年2月にb号機の打ち上げ に成功しました。これらの衛星を活用した衛星移動通信システム(Sバンドを利用)を 今年度内に全国で約1000台配備し、通信を確保するため被災地にまっ先に乗り込む NTTのレスキュー隊の連絡手段として災害時の緊急通信確保に活用します。 また、市町村の孤立防止を図るため設置している地上波等を利用した孤立防止用無線 を同衛星を利用した衛星通信システム(Kuバンド)に順次置き換えていく予定です。 4.輻輳(ふくそう)緩和のためのボイスメールシステム(平成9年度末提供予定) 全国利用型伝言ダイヤル(ボイスメールシステム)(仮称)については、システムの 開発並びに提供方法について検討を進め、現在、本サービスのソフトウェアを開発中で すが、平成9年度に設置工事を行い、平成9年度末には皆様に提供できる予定です。こ のシステムにより、被災された方等がメッセージを登録し、それ以外の方は被災者の方 の電話番号を使用してメッセージを再生して聞くことが可能となります。被災地から情 報発信すること及びその情報を蓄積することにより、安否等の確認がスムーズに行える ようになります。 (システムの概要) ・災害時には、全国どこからでも、プッシュ回線/ダイヤル回線、一般電話/公衆電 話を問わず利用していただけます。 ・メッセージの長さは30秒で、必要事項を伝達するのに十分な長さとし、保存期間 も最大3日と長く、確実に情報の伝達ができるものと考えています。 ・お客さまが利用される際のダイヤル番号も「117」や「177」等と同様「1」 で始まる3ケタの番号で提供し、その後の使い方も音声ガイダンスで案内しますの で、どなたにも簡単にご利用いただけます。 ・メッセージ数は、阪神・淡路大震災よりも大きな災害でも利用していただけるよう な数を確保(約800万メッセージ)しています。しかも、全国約50カ所に分散 して音声蓄積装置を設置しており、繋がらないことも少なくなります。 ・暗証番号もご利用いただけますのでプライバシーも守れます。 (逆に、非被災地から被災地の方に向けて録音することも可能です) なお、本サービスのサービス開始までの対策として、小規模ではありますが暫定版ボ イスメールシステムを本年4月より準備しており、災害時には活用する予定です。
5.その他の施策 ○110番・119番の対策(既に完了) 通常110番・119番は専用回線を使用していますが、信頼性向上のため警察・消 防機関への専用回線故障時に一般の公衆網へ迂回させ、接続を確保する措置を行いまし た。 また、110番・119番の無効発呼対策(*2)として、警察・消防機関と協議の うえ、平成7年度に対策を完了しました。 (*2 無効発呼対策:110番、119番回線を中継している伝送路・装置にトラブ ルが発生した場合、送出されるアラ−ムが一般の呼び出し信号と区別が困難で あったため、警察・消防機関にはアラームの送出を止め、NTT側に通知する 対策) ○予備電源の強化(都市部中心エリアから順次実施) 阪神・淡路大震災の際に影響を受けた発電装置の耐震強化及び蓄電池の耐震強化につ いては、全国の重要性の高い電気通信ビルから順次工事を進めており、東名阪について は、平成8年度末で約半数が、平成10年度末にはすべてが完了する予定です。 ○アクセス系被災状況の早期把握(現在、全国に展開中) アクセス系の被災状況を早期に把握するため、通信ケーブルに収容されている業務用 連絡線を大規模災害発生直後に試験し、この試験結果から半日でマクロな被災状況を推 定します。また、回線単位の被災状況を、災害発生後4日程度で把握できるシステムを 開発し、現在全国へ展開中です。 ○衛星通信システムを搭載した「インターネットカー」(既に開発済) 高速の衛星ISDN回線を介してインターネット等への接続が可能な自動車「インタ ーネットカー」を開発しました。この「インターネットカー」は電源装置を搭載してお り、いかなるところからでも情報発信が可能です。災害時の情報拠点作りはもとより、 関連するイベント等にも活用可能です。 ○防災業務計画の改定(既に改定済) 先の大震災を契機に危機管理体制の充実が求められ、国においては「災害対策基本法 」および「防災基本計画」が見直されました。 当社においても、国の施策に加え、先の大震災の教訓を反映し、かつ近年の電気通信 事業分野の多様化、グループ会社化の進展等を加味して「防災業務計画」を改定しまし た。 改定のポイントはつぎのとおりです。 (1)非常体制の整備 (2)国等の危機管理への協力と体制整備 (3)グループ企業等との連携強化 (4)被災地における情報流通支援
