平成8年10月9日 マルチメディサービスの発展に向けて −コンピュータ通信のより便利なご利用のために− 1. 激変する情報通信市場 −電話からコンピュータ通信へ− (1)市場の変化 近年の情報通信市場では、ディジタル化を中心とした技術革新とパーソナルコンピ ュータなどの情報端末の高性能化・低廉化を背景として、インターネットの爆発的な 利用拡大に代表されるようにコンピュータ通信の需要が急激に拡大しております。企 業等においては、電話を主体とするリアル・タイムの通信から、コンピュータ相互間 のデータ通信に需要のシフトが起こりつつあり、家庭では固定電話や携帯電話等によ る通話に加えパソコンによる情報のやりとりが急速に進んでおり、世の中は来るべき マルチメディア時代に向かって確実に変化しております。 (参考)国際通信の世界では、コンピュータ通信の総量が電話の利用量を上回りつつ あるとの見方もされています。 (2)コンピュータ通信利用における課題 世界規模で進展している情報通信市場の大きな変化の中で、特に米国においては情 報産業における通信、端末、コンテンツ等が相互に連携し目ざましい発展をとげつつ あることは衆目の一致するところですが、一方日本においてコンピュータ通信の利用 環境は、下記のようないくつかの課題を抱えております。 NTTとしては、平成9年度末のディジタル・ネットワーク構築完了を控え、この ディジタル網のメリットを活かし、拡大しつつあるコンピュータ通信需要に対応可能 な通信インフラを構築するとともに、全国均一・定額制のベストエフォート型の料金 を基本とする新サービスを市場に導入し、距離と通信時間を気にせずコンピュータ通 信をご利用いただくことにより、経済・社会活動における情報流通の拡大に貢献した いと考えております。 <コンピュータ通信利用の課題> ・料金の低価格化 … 特に様々なネットワークへのアクセス手段として利用する近 距離専用サービス等の内外価格差の是正 ・定額制料金の導入 … これまでの利用の多寡に応じて料金が比例する電話型の従 量制料金から、利用時間と距離にとらわれない定額制料金の導入 ・通信の高速化 … 企業はもちろん個人のコンピュータ通信利用においても、利便 性の向上をはかるため通信速度の高速化を望む声が大きい。 ・サービス・エリアの拡大 … 地方都市等においてはインターネット事業者等のア クセスポイントが少なく、アクセス用設備(電話、専用)の利用料金が高額化してし まう ・通信サービスの高機能化 … 特にインターネット等のベストエフォート・コネク ションレス型通信においては、通信データのセキュリティ確保のための暗号化機能等 の必要性が高まってきている 2.NTTとしての取り組み −コンピュータ通信用サービスの充実− NTTは、平成7年6月、「マルチメディアへの取り組みに関する基本的な考え方 」を明らかにし、これらの課題の解決を図るため、パソコン通信向け深夜定額制(テ レホ−ダイ)やフレームリレー、セルリレー等のマルチメディアに対応する新サービ スの提供を開始するとともに、ご家庭でのパソコンご利用に最も適したINSサービ スについて、その初期負担の低廉化に努めてまいりました。また、高速・広帯域ネッ トワークを使った共同利用実験に多くの企業ユーザの皆様のご参加を得て、ネットワ ーク、ユーザ設備、ソフトといったマルチメディア時代に欠くことのできない要素の 相互の連携による新しい利用方法・利用技術(アプリケーション)の創造・開発等に 取り組んできております。 そして、永年のご要望に応えるべく、今年12月のサービス開始を目標に、インタ ーネットを含むコンピュータ通信利用の新しいネットワークとしてオープンコンピュ ータ−ネットワーク(OCN)サービスの提供準備を進めるとともに、同様のサービ スを提供される他の事業者の方もこの新しいネットワークを効果的にご活用いただく ために、 NTTビル内に終端を有する専用線等のメニューを提供する計画です。 また、均一・高品質よりもサービス・グレードに応じた多様化・低価格化を望まれ るユーザ要望に応えるとともに、内外価格差を是正する等の観点から、近距離高速デ ィジタル専用線(1.5Mb/s)の拡充や超高速セルリレーやATM専用線等の新 サ−ビスの提供を計画しています。 マルチメディアサービス提供に向けての取り組み (以下、表のため省略) 2−1.OCNサービスの概要 NTTはコンピュータ通信用の新しいネットワークであるOCNの提供計画を前倒し し、年内にもサービス提供を開始する予定です。この料金水準は主要先進国と比較し ても内外価格差のないものと考えており、これによって日本におけるマルチメディア の発展、特にインターネット接続、LAN間接続等のコンピュータ通信のさらなる利 用拡大を促し、個人・企業などがお持ちの情報(コンテンツ)の流通活性化に寄与で きるものと考えます。 (1)サービス開始時期 12月に一部先行してサービスを開始します。 (2)サービス開始エリア ・12月には低速系サービスについて 2 都市、ダイヤルアップについては 東京に アクセスポイントを設置する等を計画しています。 ・低速系及び高速系サービスは、まとまった需要に対応して順次提供地域を拡大し ていきます。 ・50Mb/sの品目については、具体的な利用希望ユーザの顕在化を待って提供 のこととします。 ・OCN提供地域の展開(表のために省略) (3)料金額(表のために省略) (4)サービス品質 ベストエフォート型のサービスグレードで提供します。 ・低廉な料金を実現するためネットワークの共有度を高めています。 ・ネットワーク内のルーティング、インターネットへの接続のほか、電子メール、 ネットニュースを提供します。 ・低速系サービスは、小規模LAN、端末の接続を想定して、ご利用できるIPア ドレス数に制限があります。 (5)今後の機能拡充等 企業通信システムやエレクトロニックコマースといった本格的ビジネス展開に応える OCN高機能サービス等については、今後のユーザニーズや端末ソフト等の動向を勘 案しつつ、来年度より順次提供できるよう準備を進めていきます。 <今後提供を予定している高機能サービス例> ・暗号通信・鍵管理 ・帯域確保 ・マルチキャストルーティング <今後提供を予定している法人ユーザ向けカスタマイズサービス例> ・ファイアウォールサービス ・ディレクトリ/ナビゲーション 2−2. その他のマルチメディアサービスのラインアップ NTTは、OCNサービスのほかにも、品質よりも価格を重視されるお客様に対しサ ービス・グレードに応じた専用線等を提供し、多様化・低価格化のニーズに応えると ともに、内外価格差の是正に取り組んでいきます。 3.マルチメディアサービスのご利用方法 (1) 個人及び小規模事業所のお客様 電話・ISDNからのダイヤルアップにより全国で気軽にOCNをご利用いただく ことができます。 (具体的なご利用例) ・個人レベルでのインターネットアクセス ・ご自宅や出先からの会社等サーバへのリモートアクセス ・大企業の支店・営業所、中小企業などで、インターネット・イントラネットを一部 の方から先行的に利用開始するようなケース また、世代、職業、関心などの面からも幅広い層のお客様にご利用いただけるよう、 さまざまな利用提案を行ってまいります。 料金:OCNアクセスポイントまでの通話料+OCNダイヤルアップ接続料金案 (2) 中規模事業所のお客様 OCN(低速系128Kb/s)を通信時間にかかわらずエコノミーな定額料金で ご利用いただくことができます。 (具体的なご利用例) ・中規模事業所における、電子メールを中心としたコンピュータネットワークの初歩 的な利用 ・LAN内のトラフィックが大半で、外部との出入りのトラフィックが少ない利用パ ターンのイントラネット ・料金(通信料を含む)を気にせず長時間利用したい個人のインターネットアクセス インターネット、イントラネットへの「常時接続」の環境を低コストで実現するこ とができることから、大企業等の支店・営業所や中堅・中小企業などでのコンピュー タネットワークの活用に役立つものと考えます。 料金案−月額3万7千円程度 (3) 大規模事業所のお客様 OCN(高速系1.5Mb/s・ 6Mb/s )を定額料金でより効率的にご利用い た だくことができます。 (具体的なご利用例) ・事業所におけるイントラネット、インターネットの本格利用のための標準サービス ・社内WWW、ファイル転送、企業情報システムなどへの本格的利用 ・高速なアクセス速度で各種サーバ・データベースにより情報を発信 料金案−1.5Mb/s:月額35万円程度 6Mb/s :月額98万円程度 4.オープンなネットワークを目指して 事業者の方にもOCNを効果的にご活用いただけるように公正競争条件を確保する 観点から、OCNの下記の接続点でアンバンドルして提供する予定です。また、専用 線・フレームリレーについては 事業者ルータ等のNTTビル内への設置を前提とした 新料金メニューを提供する予定です。これにより事業者の方も従来より効率的でより 低廉なコストでコンピュータ通信向けネットワークの構築が可能となるものと考えま す。 (1) OCNのアンバンドルメニュー 1.アクセスライン 2.ルータを介したアクセスライン 3.ネットワーク間接続(一般加入型) 4.ネットワーク間接続(高スループット型) OCNサービスと同時期に同エリアで提供(高スループット型については、O CN高速系と同時期に提供) OCNのアンバンドル料金額(案)(表のために省略) OCNと事業者網との接続(図のために省略) (2)片(両)端が NTTビル内に終端する専用線・フレームリレーの提供 NTTビル内に設置された事業者伝送設備に接続するための新たな専用・フレーム リレーを提供します。 (3)事業者ルータ等のNTTビル内への設置 事業者ルータ等のNTTビル内への設置要望に即応できる体制を整え、OCN用に 設置するルータと同等の条件で、具体的な設置ビル、設置ルータに応じて料金を算定 して提供します。 1.主要ビルの設置単金表の作成 2.設置可否等に関わる検討期間を1ヵ月以内とする事務処理体制の確立 片(両)端が NTTビル内に終端する専用線・フレームリレーの料金イメージ(案) (表のために省略) 5. おわりに 今後は、各事業者間のネットワークが相互に接続される中で、我が国のコンピュー タ通信ネットワークの基本的な料金は急速に低廉化かつ均一化していくものと予想さ れます。 お客様の関心は、次第にこのようなネットワークを使って流通する情報の内容に移 行し、これに応える形でコンテンツやネットワークサーバー等の内容や機能の多様化 ・高度化が進むことにより、マルチメディア時代が本格的に到来するものと考えます 。 NTTとしては、こうしてマルチメディア市場全体が発展してくれればと願ってお ります。
