平成8年10月29日 “サイバーフォーラム”システムを開発 ─サイバー・ソサイエティの実現に向けて─ NTTでは、実際の展示会に参加するような感覚で会場内を歩き回って説明員や他の 参加者と対面・会話したり、映像による知識や情報が得られる“サイバーフォーラム” システムを開発しました。 このシステムは、NTTが独自に開発した多人数参加型の仮想空間コミュニケーショ ンシステムであるインタースペースと、視聴者の要求に応じて好みの映像情報を視聴で きるビデオ・オンデマンド(VOD)システムを組み合わせたものです。他の参加者や 説明員との、表情と音声によるヒューマンなコミュニケーションをインタースペースに よって、そして対話だけでは得られない、詳細な情報の獲得をVODによって実現して います。 <開発の背景> 現在のテレビ会議システムは、時間と距離の克服、およびそれに伴う費用や社会的 な資源消費の低減というメリットから普及が促進されました。同じように、会議より も多人数で不特定の参加者が集るフォーラムに、ネットワークを利用することで居な がらにして参加できるようになれば、より大きな省資源化が可能となります。このた め、ネットワーク内に作られる仮想的空間“サイバースペース”の中に各種の展示会 、フォーラム、発表会などのイベントを開催するサイバーフォーラムの実現が求めら れてきました。 <技術のポイント> 各種展示会や発表会などの“フォーラム”は“会議”と違い、不特定多数の参加が ある、話題に対しての参加者ごとの理解度の差が大きい、等の性質があります。その ため、サイバーフォーラムには、お互いに見知らぬ参加者同士のコミュニケーション から思わぬ成果が生まれる可能性を生かさなくてはならない、情報提供者側が参加者 のレベルに合わせた説明ができなくてはならない、という条件が求められます。 1.インタースペースからのシステム展開 インタースペースは、NTTが開発した仮想空間コミュニケーションシステムで、 多人数の利用者がパーソナルコンピュータからネットワークを介して共通の仮想空間 自分の分身を登場させ、その仮想空間の住人として自由に活動させることができます 。あらかじめ相手を想定して行う電話などのコミュニケーションと違い、“廊下です れちがった際に、その相手に話す要件を思いついた”とか“町でばったり出会って昔 話に花を咲かせた”というような偶然性に支配されるコミュニケーションをネットワ ーク内で実現することをコンセプトに開発されたもので、利用者はマウスの操作によ り3次元の仮想空間を自由に歩き回り情報にアクセスします。また、顔画像と音声に より多人数でコミュニケーションすることも可能です。 このインタースペースをベースとすることで、多数の参加者がお互いに近寄って話 し合ったり、他人が情報を得る様子をながめたり、案内者が複数の参加者を引率して ツアー形式で会場内を回ることができる、“サイバーフォーラム”システムを実現し ました。 2.VODシステムとの組み合わせ インタースペースには、仮想空間内に静止画を切り替えて見せるビジュアルプレゼ ンテーション機能を標準装備していますが、“サイバーフォーラム”システムでは、 参加者のより円滑な理解を促進するためにVODシステムによる動画プレゼンテーシ ョン機能を付加しています。VODシステムでは、VODサーバが蓄積してある映像 ・音声情報を読みとり、利用者(参加者)からの要求に従ってその情報を送り出すと いう働きをします。 本システムではサーバの読みとり速度が高速なため、読み取った情報を表示して、 次の情報を読みとるまでに時間的余裕が生じます。この余裕時間を利用して、複数の 利用者からの要求にも1秒以内での再生を可能としています。映像には高品質な MPEG2またはMPEG1の符号化方式が利用できます。 3.高い拡張性 “サイバーフォーラム”システムでは、ユーザ機器側でインタースペースとVOD を通信・連動させる方式を採用しており、インタースペース及びVODの両サーバ側 の追加工・作業は一切不要となるため、柔軟なシステムの構成が可能となります。 また、同一の仮想空間を複数生成して混雑を解消する機能を新たに開発し、参加者 (来場者)の数が増えた場合の対応も可能となりました。 <今後の予定> NTTでは今後も研究開発をさらに進め、機能の充実と拡張性の一層の向上を図る ことで実際のフォーラムと遜色ない“サイバーフォーラム”システム、さらにはより 快適で安心してネットワークで情報流通ができる“サイバー・ソサイエティ”の実現 を目指していきます。 サイバーフォーラム構成図![]()
