平成9年1月14日 報道発表資料 文部省学術情報センター 日本電信電話株式会社 国際電信電話株式会社 日米間国際ATM接続実験により品質保証型マルチメディア通信技術を実証 文部省学術情報センター(以下NACSIS)、日本電信電話株式会社(以下NTT )、国際電信電話株式会社(以下KDD)、並びに米国ウィスコンシン大学は、G7諸 国で実施されているGIBNプロジェクト*1(関連資料参照)の一環として、日米間 国際ATM(非同期転送モード)接続実験網を使用して、平成8年10月から、マルチ メディア通信基盤技術の実証実験を世界に先駆けて実施してきましたが、この度、伝送 遅延が大きい国際通信においても通信品質の保証が可能で、かつマルチキャスト等の多 様な通信サービスを可能とする「品質保証型マルチメディア通信」の基本技術を実証し ました。 1.実験網の構成 実験に用いた日米間国際ATM接続実験網は、KDDが郵政省通信総合研究所との 契約に基づいて、AT&Tとの協力のもとにTPC−5CN(第5太平洋横断光海底 ケーブル)を用いて構築したもので、最大156Mbpsの速度の伝送を可能とする ものです。 今回の実験システムは、上記の日米間ATM網にNTTが実施するマルチメディア 共同利用実験網が相互接続され、ここにウィスコンシン大学、NACSIS及びNT Tマルチメディアネットワーク研究所に置かれたワークステーションが接続されるも のです。 2.実験の狙いと成果 (1)長距離通信の性能向上 従来、インターネットで使用されているTCP/IP*2は、国際通信のように 伝送距離が長くなると、伝送遅延の影響で、通信の性能(実効的な通信の速度)が 高まらないことが知られています。 今回の実験では、この問題点を克服する「ST2*3」と呼ばれる新たな通信方 式をATM技術と組み合わせて用いることで伝送遅延の影響を受けず高い通信性能 を達成できることを実証しました。 (2)通信サービス品質の保証 ATMの最大の特徴は、アプリケーションが必要とする通信サービス品質を保証 できることです。しかし、端末であるコンピュータの性能が低い場合や、通信網の 混雑等により高速の通信回線が利用できない場合には、利用できる範囲で最大の品 質を実現するような制御を、通信網と端末が連動して行うことが必要となります。 今回の実験では、映像・音声通信を対象に、この制御機構を持った「品質保証型 通信方式」の有効性を実証しました。 (3)複数品質マルチキャスト通信の実用化 インターネットでは、同時に複数のコンピュータに対して、音声や画像等のリア ルタイム情報を提供するマルチキャスト通信に大きな期待が寄せられています。し かし、実際には受信側の性能や回線速度が端末毎に異なること、また、通信品質の 保証が出来ないことが実用上の大きな障害となっています。 今回の実験では、品質保証が可能というATMの技術的特徴を最大限に活用する ことによって、端末の性能に合わせて同時に複数の通信品質を提供可能なマルチキ ャスト通信方式の技術を実証しました。 今回の実験の成功により、最も困難な国際通信の状況においても、一般に普及して いるコンピュータを利用してマルチメディア通信が実用化できることが証明されまし た。また、国際間でATM網を用いてマルチメディアのサービスを高い性能で提供で きること、並びに品質保証型の通信技術と組み合わせることで、ATMの特徴を発揮 できることが、日米双方の研究者により確認されました。このことは、ATM通信の 実用的な利用を更に前進させるものとなります。 3.今後の展開 現在の計画では、平成9年3月末まで実験を継続する予定ですが、今後はウィスコ ンシン大学が開発している「(マルチメディア情報を用いた学習支援システム)」等 、新たに開発したアプリケーションの利用実験を行います。更に、2月からは可変速 度の伝送実験も行い、ATM技術の特徴を一層生かした通信方式の検討を進める予定 です。 <用語解説> *1)GIBNプロジェクト 平成7年2月、ブリュッセルにおいて開催された「情報通信社会に関するG7関 係閣僚会合」で合意された国際共同プロジェクトの一つです。GIBNプロジェク トは、各国の超高速通信実験網(テストベッド)間を国際光ケーブル、及び国際通 信衛星により相互接続して、コンピュータ間高速データ伝送に用いる国際超高速ネ ットワークの実現や、高品質映像の伝送による国際会議システムの実現等を逐次行 なうことで、情報化社会における情報通信網の有効な利用法を提示することを目的 としております。 *2)TCP/IP Transmission Control ProtocolとInter− net Protocolの略で、現在インターネットで使用されている通信方式 (プロトコル)。米国で開発され、1983年から使用されている。 *3)ST2 情報(パケット)の連続的な転送を可能とするプロトコルであり、「ストリーム 型」のプロトコルに分類される。
(別 紙)
NACSIS / NTT / UW GIBN実験
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国際ATMネットワーク
