平成9年1月30日 渡り鳥の「渡りルート」解明のための 世界最軽量 15gの超小型位置送信機「アルゴサット」の開発について 〜「日豪渡り鳥等保護協定」に基づく「ホウロクシギ」共同調査に協力〜 NTTは、これまで世界的に絶滅の危機に瀕している野鳥に位置送信機を装着し、繁 殖地や中継地、および越冬地等の「渡りルート」を解明するという取り組みを通じて、 野鳥の保護活動に協力してきましたが、この度、総重量15gという世界最軽量の超小 型位置送信機「アルゴサット」の開発に成功しました。 「アルゴサット」は、国際的な鳥類保護団体であるバードライフ・インターナショナ ル(以下BLI)と財団法人日本野鳥の会(以下日本野鳥の会)からの要請を受けて開 発を進めてきたものです。 1.「アルゴサット」の概要 強化ケース等も含めて総重量が15gの超小型位置送信機ですので、カモやサギな どの中型の鳥類(体重400〜900g程度)にも装着することが可能です。なお、 1992年1月に開発した位置送信機は重量25gであり、ケース強化等により実際 に渡り鳥に装着した重量は約50gであったのに対し、今回の「アルゴサット」は3 分の1以下の軽量化に成功したことになります。 野鳥に位置送信機を装着する場合、その重量を野鳥の体重の4%以下*1とする必 要があることから、これまでの位置送信機ではツルやハクチョウ等の大型の鳥類の「 渡りルート」調査しか実施できませんでしたが、「アルゴサット」の開発により保護 の必要性が高い中型の鳥類にも装着が可能となりました。 *1:米国の動物学者 ブランダーとコクランが経験的に求めた値です。 2.「ホウロクシギ」*2の共同調査プロジェクトへの協力 NTTは、環境庁が実施を決定した「ホウロクシギ」の「渡りルート」解明のため の共同調査プロジェクトに対して「アルゴサット」を提供し、それを装着した「ホウ ロクシギ」を人工衛星で追跡し、中継地や繁殖地を解明するための協力を行います。 「ホウロクシギ」への装着は、2月上旬に越冬地であるオーストラリアの東海岸で 予定しています。その後、衛星追跡により判明した繁殖地等で5年間の予定で生息環 境調査等が実施されます。 同時に「アルゴサット」の性能特性、電池寿命等の機器自体の評価実験も行います。 また、インタ−ネットのホームページ*3により、今回の共同調査の概要や「ホウロ クシギ」の説明、「渡りルート」等についても逐次紹介していきます。 *2:体長60cm、体重800g位の大きさのシギ科の鳥。オーストラリアで越冬 し、日本・韓国・中国を経由して中国東北部・ロシアで繁殖する。 *3:ホームページアドレス http://www.wnn.or.jp/wnn-n/migrant/ 3.今後の予定 3月中旬より、BLI・日本野鳥の会と共同で、絶滅が危惧されている「クロツラ ヘラサ ギ」*4の衛星追跡を実施する予定です。 *4:体長80cm、体重700g位の大きさのトキ科の鳥。全世界で550羽しか いない希少種。絶滅危惧種として、アジア各国で保護の検討がなされている。
