平成9年4月17日 報道発表資料                             日本電信電話株式会社                             沖電気工業株式会社        伝送誤りを克服する動画像符号化方式が国際標準に   ─移動体・インターネットの動画像通信に求められる高エラー耐性を実現─  日本電信電話株式会社(以下NTT、社長:宮津純一郎、本社:東京都新宿区)と沖 電気工業株式会社(以下沖電気、社長:澤村紫光、本社:東京都港区)が共同で開発 し、ITUの場で提案していた動画像符号化方式“NEWPRED*1(ニュープレッド)”が、 本年3月のITU-T/SG16*2会合で動画像符号化方式の国際標準であるH.263*3の付則とし て採用されることが決まりました。  NEWPREDは、有線網に比べて伝送エラーなどが多い移動体通信網や、伝送路の混 み具合によってパケットの廃棄が行われるインターネットにおける動画像のリアルタ イム伝送にきわめて有効であり、これを適用することで、PHSベアラ通信*4であれば 1秒間に5フレーム、1.5Mbit/sの次世代移動通信の環境下ではテレビ映像並みの1秒間に 30フレームの伝送が可能となります。  本方式は、NTTと沖電気が1996年7月から郵政省電気通信標準化委員会を通じてITU に提案していたもので、1968年の1月にH.263AnnexNとして正式に勧告化されますが、 両者は今後も本方式の研究開発を続け、MPEG4*5での採用を目指して活動していく予 定です。 <背 景>  移動電話の普及やパソコンの小型化により、モバイルコンピューティングが注目を 集めていますが、現状ではやりとりできるのはデータが中心で、画像の伝送という点 では、静止画や1秒間に1フレーム程度の非リアルタイム動画が限界でした。これは、 移動電話のネットワークでは電波状況等により伝送エラーが発生する可能性が高い 、インターネットではパケットロスと呼ばれるデータの廃棄が行われるという欠点があ り、それらをカバーするための手法として“エラー訂正”や“再送”等の技術しか利 用できなかったことに起因しています。エラー訂正には、訂正のために送るデータ量 が多くなり、伝送できる画像情報の量を圧迫し、また、完全に訂正できないという問 題があります。また“再送”方式には、送り直すためのタイムラグがでてしまうとい う問題があり、動画像のリアルタイム伝送は困難でした。 <技術のポイント>  情報量の多い動画像の伝送では、1フレーム(動画像を構成する単位である静止画)ず つ画像を送るのではなく、あるフレームと次のフレームはそれほど大きく変わらない という性質を生かして、フレーム(参照フレーム)と次のフレームの間で変わった部 分の差分情報のみを伝送することにより圧縮効率を高めています。この方法は、フレ ーム間符号化と呼ばれ、ITU-TのH.263でも使用されています。  しかし、このフレーム間符号化方式を利用する場合、伝送エラーが発生したり、デ ータの一部廃棄等が発生した場合には、伝送エラーや廃棄が発生した以降の後続フレ ームにもその影響が伝播し、満足な動画像伝送ができません(図1)。  NTTと沖電気が提案していたのは、このようにフレーム間符号化方式の適用が困難 な環境下においても動画像伝送を可能にする手法で、NEWPREDと名付けられていま す。  具体的には、受信側から送信側にフレームごとに“復号正常=Ack”または“復号異 常=Nack”の確認信号を送ることを基本とし、3つの方式があります(図2)。これに より、エラーが発生した画像ではなく、受信側が正常に復号しているフレームを参照 フレームとすることで、フレーム間符号化を継続しながらエラーの波及を防止でき、 品質が大きく変化しやすいネットワークにおいても動画像伝送を可能にします。 <今後の展開>  最近サービスが開始されたPHSベアラ通信では伝送速度が32kbit/sでの通信が可能で すが、この伝送速度ではエラーが多い場合、従来方式では1秒間に1フレーム程度しか 伝送できません。これをNEWPREDでは、5フレームにまで向上させることが可能です。 さらに、ITU-R*6で標準化が進められている次世代移動通信では伝送速度が1.5Mbit/sま で高速化される見込みですが、その環境下ではNEWPREDを適用することでテレビと 同じ1秒間30フレームの高品質な動 画像伝送が可能になります。  NTTと沖電気では、ISOとIECによる、移動体通信をも念頭に置いた動画像符号化方 式=MPEG4にも採用されることを目指して活動を続けていく予定です(図3)。

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