平成9年4月25日 音楽を自由にスクランブルする半開示技術を開発 ─ネットワーク上での音楽情報の安全な取引を可能に─ NTTでは、音楽情報に暗号技術を用いてスクランブルをかけた見本音楽を作成す る楽音半開示システムを開発しました。 見本音楽とは、ネットワークを通じて音楽を提供し、それに課金するサービスにお いて、利用者(リスナー)が、その音楽の提供を受けるかどうかを判断するために聞く ことができるサンプルです。 「半開示スクランブル」は、スクランブルをかける際の強度を自由に設定できるた め、おおよその内容確認が可能な見本音楽を作成することができます。また、楽曲中 にはスクランブルをかけない部分も自由に設定できるため、オリジナルの音質を確認 できる見本音楽を作成することも可能です。この「半開示スクランブル」のかけられ た音楽ファイルに対し、利用者は「鍵」を入手することによって、オリジナルの楽曲 として再生することが可能となります(図)。 NTTでは開発した楽音半開示技術を、高品質・高圧縮な符号化方式である TwinVQ*1と組み合わせ、実際の音楽配信サービスに適用される場合を想定した検討 を進めていく予定です。 <開発の背景> インターネットが広範に普及する中、デジタルコンテンツの不正コピーを防止する 仕組みが重要な課題となっています。特に音楽に関しては、TwinVQ形式のような高品 質高圧縮の符号化方式の出現により、CD並みの音質の音楽が電話回線を通じてリアル タイムに配信可能になっており、今後ネットワークを介しての音楽情報の流通は急激 に増えていくものと思われます。 音楽情報の取り引きを行うに際して、提供者が音楽情報にスクランブルをかけ、利 用者は鍵を購入することによってスクランブルが解除するという仕組みは、不正コピ ーを防止し、確実な課金が可能となるという点で不可欠なものです。しかし、サービ スを利用する側の立場からは、鍵を購入する前にその音楽情報の内容を確認したいと いう要求があります。NTTは、ネットワークの中で価値をもった情報がやりとりされ る「エレクトラム・サイバー・ソサイエティ」の実現を研究開発のビジョンに掲げ、 将来のサービスアプリケーション技術の開発に取り組んでいます。今回開発した「半 開示システム」もその中の一つで「確実な課金」と「購入前の内容確認」の二つの要 求を満足し、音楽情報の安全な取り引きを可能とするものです。 <技術のポイントと特長> 音楽情報の圧縮技術には、NTTで開発した高品質高圧縮の符号化方式:TwinVQを使 用しています。スクランブル化はTwinVQの複数のパラメータ(係数)それぞれに行い、 それらを相乗させることで微妙なスクランブル強度(オリジナル音楽からの変化度)の 調整を可能にしています。 今回開発した音声半開示技術の特長を以下に列挙します。 (1) 曲中、「半開示スクランブル」をかける部分とかけない部分を最低1/20秒単位で自 由に設定できます。従って、かかっていない部分でオリジナルの音質を判断するこ とができます。しかし、かかっている部分も存在するため、利用者はその楽曲の 100%を楽しむことはできません。 (2)「半開示スクランブル」は、柔軟に強度を調節することが可能です。スクランブル の強度を非常に強くすれば、曲としてまったく意味をなさなくすることも可能です。 また、曲に応じた適度な強度にすると、例えば音はくぐもるがメロディーは分かる といったようなスクランブルにすることも可能です。 (3) 音楽を提供する側にとっては、プロモーション用のファイルを作る手間が省けます。 また、購入者側は曲全体を試聴することもできますし、好きな部分だけ試聴するこ とも可能です。 (4) 「半開示スクランブル」を解除するための鍵を購入することによって、オリジナル の曲を聴くことが可能となります。 (5) 「半開示スクランブル」を解除するためのルーチンを、TwinVQのリアルタイム再 生器に組み込むことによって、ペイ・パー・プレイが実現でき、演奏の度に課金す ることが可能となります。また、演奏時にリアルタイムでスクランブルを解除する ため、復元されたデータは残らず、不正コピーされる心配はありません。なお、 TwinVQのリアルタイム・スクランブル解除・再生器は既に試作され、実現されてい ます。 <今後の予定> NTTでは今後、NTTが開発した情報流通プラットフォーム「Infoket*2」の鍵配信 や課金の仕組みと統合し、本技術を利用したサービスが可能な環境を整備していく予 定です。 <用語解説> *1)TwinVQ 総合ディジタル通信網を使用して高品質の音楽・音声を伝送するためには、 INS64の容量である64kbit/s以下に音楽・音声を圧縮する必要があります。TwinVQ はこのためにNTTが独自に開発した音声圧縮符号化方式で、これまでの圧縮技術 が個々のデータを直接符号化していたのに対し、複数のデータをまとめてパター ン化し、あらかじめ用意した標準パターンと比較して最も近いパターンのコード だけを伝送することで高い圧縮率を実現しています。 *2) Infoket(Information Market) デジタル情報を安全、かつ確実に販売するための電子商取引用プラットフォー ムです。Infoketプラットフォームは、NTTテレマーケティング社のCD-ROM鍵サー ビス「miTaKaTTa」、NTTプリンテック社の「Infoket電子出版サービス」等で利用 されています。
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NTT NEWS RELEASE