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                               平成9年5月30日


      「マルチメディア通信の共同利用実験最終報告書」の発行について


  NTTは、この度、本年3月末に終了した「マルチメディア通信の共同利用実験」につ
 いて、その成果を「マルチメディア通信の共同利用実験最終報告書」としてとりまとめま
 した。
  NTTでは、マルチメディア時代に不可欠なネットワーク、ユーザ設備、ソフトという
 三つの要素の調和した発展と、そこから生まれる新たな利用方法や利用技術(アプリケー
 ション)の創造・開発、そして、これらに対応するネットワークの構築技術・管理技術の
 確立を目的に、企業、大学、公的研究機関等127グループの方々と共同で、平成6年9
 月より2年半にわたりマルチメディア通信の共同利用実験に取り組んできました。
  本実験は、「高速・広帯域バックボーンネットワークの利用実験」と「CATV映像伝
 送等利用実験」の2種類からなり、マルチメディアインフラを利用した全国規模の広域利
 用実験として、内外から高い評価をいただきました。


  これらの実験の成果をとりまとめた最終報告書は、
  (1)高速・広帯域バックボーンネットワークの利用実験
  (2)CATV映像伝送等利用実験
  (3)個別実験成果
  の3分冊で構成されています。それぞれのポイントは別紙概要の通りです。

   なお、(3)個別実験成果は個々の実験参加者の実験概要とその成果について
  とりまとめたものです。

   また、NTTでは、6月末を目途に映像データを含むCD−ROM版の最終報告書を発
  行する予定です。



最終報告書のポイント      <高速・広帯域バックボーンネットワーク利用実験の概要>  1. 実験の概要   本実験は全国規模の超高速通信ネットワークを利用した広域利用実験であり、企  業、大学、公的研究機関等とNTTが共同で、超高速通信のアプリケーションを創  造する「高速コンピュータ通信利用実験」と幅広い利用形態を想定した「一般利用  向けマルチメディアネットワーク利用実験」を実施した。   高速・広帯域バックボーンネットワークはATM技術と光ファイバ技術を活用し  た2.4ギガビット/秒と10ギガビット/秒の超高速通信ネットワークであり、実  験回線種別としてATMとIPルーチングの2つがある。
高速コンピュータ通信利用実験 一般利用向けマルチメディアネットワーク利用実験
提供回線規格 156Mbit/s 最大156Mbit/s(アプリケーションに応じ各種速度を提供)
実験回線種別 ATM ATM、IPルーティング
共同実験参加者 大学及び公共の研究機関等(13グループ) 企業、自治体等(111グループ)
実験地域 札幌、仙台、東京、長野、金沢、名古屋、大阪、広島、松山、福岡の端局装置所在地10箇所の周辺
実験期間 平成6年9月〜平成9年3月末まで 平成7年4月〜平成9年3月末まで
 2. 実験の結果
 【多様な実験アプリケーション】
   以下のような幅広い分野にわたる実験アプリケーションが開発、評価された。
 分野  アプリケーション名 
製造・建設  遠隔協調設計
遠隔監視・制御  
広告・新聞・放送・出版 電子新聞 
CMオンデマンド 
電子出版
印刷・映像データ伝送
医療・福祉 遠隔医療
身体障害者支援
教育・教養  遠隔教育 
電子図書館
仮想美術館
趣味・娯楽 ネットワークゲーム
公共  地域生活情報
流通・金融・サービス オンラインショッピング
バーチャルモール
商品情報提供
遠隔コンサルティング 
共通 オフィスワーク支援
サテライトオフィス
遠隔研修 
研究開発
               
本報告書に各アプリケーション毎の・具体的イメージ・
実効性・実験参加者の評価等の詳細を掲載
 【実験ネットワークの構築・評価】
   大量の画像処理、データ信号の伝送時におけるトラヒック制御、品質管理、マル
 チメディアネットワーキング等に関するATM技術・IPルーティング技術を確認
 することができた。
  また、ネットワークを構成する各ノードとオペレーションセンタ間にLANを構
 築し、伝送路監視、故障診断/切分け等をシステム上で一元的に運用できるネット
 ワーク構築・管理技術の確認、ノウハウの蓄積が図れた。
  これらのネットワーク技術と実験参加者より得られたネットワークニーズを新し
 いマルチメディア通信サービスの開発に反映した。

 3.  実験終了後の展開
  平成9年2月に実施した実験参加者へのアンケート調査の結果、実験参加者は検討
 中のものを含めると実験アプリケーション全体の約2/3について実用化を考えている。
  また、NTTは、実験終了後の平成9年4月よりATM伝送方式を活用した専用
 線の新サービスである「ATMメガリンクサービス」の提供を開始した。また、実
 験参加者のご要望と市場のコンピュータ通信ニーズに対応するため、IPルーティ
 ング技術を用いた「OCN(オープンコンピュータネットワーク)サービス」の提
 供を平成8年12月に開始した。今後も多様なユーザニーズに応えるべく、超高速
 セルリレーサービスをはじめとするさまざまなマルチメディア通信サービスを開発・
 提供していく予定である。

 4.  成果のまとめ
  (1) 実験アプリケーションの実用化
  (2) 新しいマルチメディア通信サービスの提供
  (3) 社会のマルチメディア化
   −ビジネス分野のマルチメディア化
   −生活分野のマルチメディア化

 5.  今後の展望
  パソコン出荷台数の大幅な増加、ISDN100万回線突破に象徴されるように、こ
 の2年半の実験期間中に端末やネットワークの普及が急速に進み、マルチメディア
 通信は益々、社会基盤としての重要性を増している。本実験において得られたさま
 ざまな成果は、マルチメディア時代に向けての芽生えと捉えることができ、今後、
 さらに実験参加者の中で熟成され結実していくものと期待される。
  情報通信事業から情報流通事業への変革を実現するために、今後もNTTはお客
 様と共に創造するアプリケーション、より快適にお客様に使っていただくネットワ
 ークサービス等の調和のとれた発展を推進していく。

 最終報告書のポイント
 <CATV映像伝送等利用実験>
 1.  実験の概要
  本実験では、光ファイバによる双方向通信の利用方法や新たな双方向アプリケーシ
 ョンを創造することをめざした一般家庭向けマルチメディア通信サービスとして、C
 ATV映像伝送、ビデオ・オン・デマンド(VOD)、電話サービスを1本の光ファ
 イバによりFTTH(Fiber To The Home)で提供した。横須賀/浦安/立川の3エ
 リア、それぞれ約300世帯(合計約900世帯、約2700人)のモニタを対象に
 各々のCATV事業者とNTTが共同で実験を行い、CATV事業者がコンテンツの
 調達、提供、運用を、NTTがモニタ家庭までのアクセスネットワークとVODサー
 バ等を含めたシステムの提供を行った。

【参加者/提供エリア/モニタ/期間】

            参加者/提供エリア/モニタ/期間
実験参加者 エリア モニタ 期間
株式会社シーエーティーヴィ横須賀
株式会社スーパーネットワーク
ユーマイ・テレビ株式会社
神奈川県横須賀市
千葉県浦安市
東京都立川市
約300世帯
約300世帯
約300世帯
H8.3.22〜H9.3.31
H8.1.31〜H9.3.31
H7.9.12〜H9.3.31
 【提供サービス】
   CATV映像伝送、VOD、電話サービスを提供。

 2.  実験の結果
  VODサービスは「都合のよい時に利用することができる」というオン・デマンド
 性のメリットが多くのモニタによって認識され、家庭でのマルチメディアを実現する
 アプリケーションとして、その魅力が明らかになった。
  利用者の約5割は実験サービスに対し、満足できると評価しており、特に画質、音
 質に対しては約8割の利用者から高い評価を得ることができた。これにより、高品質
 な映像の伝送が光ファイバによる通信により実現可能であることが確認できた。
  商用サービスの利用意向については、条件次第では利用したいという世帯が8割を
 超えており、豊富で魅力あるコンテンツを安価に提供できれば、事業性のあるアプリ
 ケーションになりうるという結論を導くことができた。しかしながら、その実現のた
 めには、著作権処理等コンテンツ流通の仕組みの変革が不可欠であるといえる。

 【サービス利用状況】
  VODサービスは、全般的に女性よりも男性、特に30〜40歳代の男性の利用が
 多く認められた。新サービスの導入や、コンテンツの更新、またプロモーション活動
 を行った時点では利用数の増加が見られたことから、コンテンツの更新やプロモーシ
 ョン活動が利用促進に大きく寄与することが分かった。曜日別では、平日に比べ土日
 における利用数がやや多く、時間帯別では、日中よりも夕方から夜間にかけての利用
 数が多くなる傾向が見られた。


 【モニタによるサービス評価】
  利用者の約5割はサービスに対し、満足できると評価しており、特に画質・音質は
 約8割の利用者から高い評価を受けた。提供コンテンツの内容や量・料金について、
 利用者は既存サービスとの比較をもって評価を行っている。映画に関しては、レンタ
 ルビデオ店のように多種多様の品揃えが求められ、カラオケに関しても、カラオケボ
 ックスのように新しくて多様な曲が求められた。
  また、VODサービスのメリットとして「都合のよい時に利用できる」というオン
 ・デマンド性が挙げられた。
  VODサービスの商用化に関しては、モニタ世帯の約8割がコンテンツや料金の条
 件がよければサービスを利用したいとの意向であり、潜在的なニーズの高さをあらた
 めて確認することができた。

    VDOサービス利用時のメリット
  ・都合のよい時に利用できる
  ・多彩なメニューの中から選んで利用できる
  ・関心のある情報を詳細に入手可能
 3.  成果及び今後の展開
  今回の実験を通じて、CATV事業者は、モニタの評価を踏まえた上で、オン・デ
 マンド性というVODサービスの魅力と各提供コンテンツの受容性を確認し、事業化
 へ向けて解決するべき課題を明らかにすることができた。NTTとしては、FTTH
 に向けた光ファイバ網の構築・管理技術、経済的な光アクセスネットワークを構築す
 るための光PDS方式、映像符号化・圧縮技術(MPEG2)等の確立を図ることが
 できた。こうした実験の成果は、平成9年7月より横浜市戸塚区・栄区で試験サービ
 スとして提供する「CATV映像伝送サービス」の他、「新光アクセスシステム(通
 称:πシステム)」、「ATMメガリンクサービス」等に反映されている。
  また、世界でも例のない先端技術を駆使した大規模の実験として新聞雑誌等の各種
 メディアにとりあげられ、国内外からの多くの見学者に実験サービスを体験していた
 だき、マルチメディア社会への期待感の醸成に貢献した。
  実験で得た成果に基づき、各CATV事業者は各々のネットワークにおける新たな
 マルチメディアサービスの展開に向けて模索を始め、NTTはアクセス系ネットワー
 クの光化を進めている。通信及び放送事業における現在の目覚ましい技術進歩の中で
 時代を先取りした今回の実験において、各参加者及びNTTは、新たなステップにつ
 ながる貴重な成果を得ることができた。
                       

NTT NEWS RELEASE