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                              平成9年6月23日


   高価なジルコニアに代わる、結晶化ガラスフェルールを開発
     ─光コネクタの大幅な低価格化を実現し、FTTHの推進に貢献─

 
 NTTでは、ファイバ・トウ・ザ・ホーム(FTTH)に向けた光コネクタの低コスト化の
ために、そのキーパーツであるフェルールに、従来のジルコニアに代わる安価な結晶化
ガラスを使用した結晶化ガラスフェルールを開発しました(写真)。
 光コネクタとは簡単な挿抜によって光接続を行う、光ファイバのプラグともいえるデ
バイスです。この光コネクタを構成するパーツの中でもっともコスト的に大きなウェー
トを占めているのが、光ファイバを保持するフェルールという部品です。従来はこのフ
ェルールにジルコニアという素材を使用していましたが、加工に大きなコストがかかる
という問題点がありました。今回NTTが素材として使用した結晶化ガラスは、安価でか
つ加工も少なくてすむという特長をもちます。
 この結晶化ガラスフェルールの開発は、光コネクタのコストを大幅に低減し、FTTHを
経済的に実現するための重要な要素技術として期待されます。

<開発の背景>

 光コネクタは光配線を簡単に切断・連結するためのデバイスです。外形は小さな部品で
すが、加入者側装置、及び局側の装置間接続などで大量に使用されるため、FTTH実現の
ための全体のコストに大きな影響力を与える重要な部品です。
 フェルールは、コネクタ同士を結合させるときに双方の直径125μm、コア径 9μmの光
ファイバ同士が1μm以下の精度で正確に正対するよう保持するための部品で、外形寸法
の安定性や強度(繰り返し挿抜操作に耐える)、さらに設置場所を選ばない高信頼性を満
さなくてはなりません。従来の素材であるジルコニアは、高精度な外形寸法と繰り返し着
脱を行う上での高い信頼性を持っています。しかし、ジルコニアフェルールは、材料をお
おまかな形に焼結した後、サブμmの精度で外径・内径を研削加工するという製造工程に
大きなコストがかかっていました。
 NTTは、光ファイバの製造法を開発するなど、ガラス系母材を溶かしながら細い径のガ
ラス線を引き出す製法(線引き)に豊富なノウハウをもっています。その技術を生かしてフ
ェルールの低コスト化を実現するため、母材に強度が高い結晶化ガラスを用い、線引きで
寸法精度の高いフェルールを製造する研究を進めてきました。


<技術のポイント>

1.線引き技術の適用
  穴明け加工を施した母材を線引き加工して連続的に作成できるため、大量生産に適す
 る製法です。これによって、フェルールの製造コストは従来の1/3に低減できる見込み
 です。実際に作られた結晶化ガラスフェルールは、評価の結果、ジルコニアを用いたフ
 ェルールと同等の光学特性を持つことが証明されています(図1)。

2.結晶化ガラスの採用
  これまでもガラスフェルールは存在していましたが、光コネクタの挿抜を繰り返すう
 ちに微小傷ができて強度が低下するという問題がありました。結晶化ガラスは通常のガ
 ラスと異なり挿抜を繰り返しても強度が低下せず、光学特性も安定しています。(図2)。
  また、光コネクタとして組み立てる際、フェルールに光ファイバを接着後、端面を研
 磨します。その際、結晶化ガラスはジルコニアほどは硬度が高くないため、研磨が簡略
 化できるというメリットが生じます。さらに、同じガラスであるために熱膨張率が光フ
 ァイバと極めて近く、光コネクタの温度変化によって光ファイバ端面同士が離れてしま
 うという心配もありません。一方、ジルコニアでは光ファイバよりも膨張率が大きく、
 高温環境ではファイバ端面よりもフェルールがせり出してファイバ同士が離れてしまう
 恐れがあるので、厳しい研磨精度が要求されます。図3は最も厳しい環境試験である温
 湿度サイクル試験を行っても、結晶化ガラスフェルールは安定な光学特性を維持するこ
 とを示しています


<今後の展開>

 NTTでは、今回開発したSC形光コネクタ用結晶化ガラスフェルールを、本年度中に本
格導入予定のπシステムに用いられる簡易光レセプタクル(宅内装置用SC形光コネクタ)や、
フェルール部分を大幅に小型化した、局内用の高密度光コネクタへの展開を目指して研究
開発を進めていく予定です。




970623.gif 45個のサンプル中の接続損失分布。
平均値が0.05dBで、これはジルコニア
フェルールの場合と同等の特性を示し
ている。
図1. 結晶化ガラスフェルールを用いたSC形光コネクタの接続損失分布

970623.gif 500回の着脱実験によっても接続損失の
上昇がほとんどなく、結晶化ガラスフ
ェルールの耐摩耗特性が良好であるこ
とを示している。
図2. 繰り返し着脱試験結果

970623.gif 93%の相対湿度下における-10℃〜25℃
〜65℃の温度変化を20サイクル行った
場合の5サンプルの反射減衰量の変化を示
す。変化は全く見られず良好な信頼性
を示していることがわかる。
図3. 温湿度サイクル試験結果

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