平成9年10月6日
報道発表資料
日本電信電話株式会社
ソニー株式会社
慶応義塾大学
次世代インターネットアーキテクチャ「AMInet」の基本技術を確立
−高品質な動画・音声のリアルタイム通信、大量データの高速転送が可能に−
日本電信電話株式会社(以下NTT、本社:東京都新宿区、代表取締役社長:宮津純
一郎)、ソニー株式会社(以下ソニー、本社:東京都品川区、代表取締役社長:出井伸
之)、慶応義塾大学(以下、慶應大学、本部:東京都港区、塾長:鳥居泰彦)は、動画
や音声などの連続メディア通信をはじめ、医療用画像やCAD/CAMなどの大量デー
タの高速転送を実現できる次世代のインターネットアーキテクチャ「AMInet(A
dvancedMultimediaInfor−mationnetwork)」を
共同で開発してきましたが、このたび実験ネットワークを構築して基本技術を確立しま
した。
WorldWideWeb(WWW)の普及などによりインターネットの需要は急速
に増加していますが、それにともなって、動画や音声などの連続メディア通信やATM
に代表される超高速通信技術に十分対応できないという既存インターネットの問題点も
顕在化してきました。これらの問題を解決する革新的なネットワークアーキテクチャの
実現を目指して、NTT、ソニー、慶應大学の3者は共同研究を進めてきました。
今回開発したAMInetは、光ファイバー等によって家庭や企業が超高速ネットワ
ークに常時接続される時代を見据え、現在のインターネットがもつ本質的な問題点の解
決を目的とした、新時代のインターネットアーキテクチャであり、広域ネットワークか
ら家庭内ネットワークまで、トータルなネットワーク環境の実現を目指しています。
AMInetの特徴は、現状のインターネットとの互換性を保ちながら、ATMの持
つコネクションベースの品質保証ネットワーク技術との融合を達成していることにあり
ます。これにより、これまでのインターネット用に開発された電子メールやホームペー
ジなどのサービスを従来どおり利用することができます。さらに、高品質の動画や音声
を途切れることなく伝送でき、大量のデータを高速で転送することができます。これに
よって、高品質なテレビ電話、テレビ会議、ビデオオンデマンド、超高精細画像配信等
がネットワーク上で容易に実現可能となります。
AMInetの実験ネットワークは、ワークステーション、PC、ATMスイッチ等
で構成しており、新たに開発した資源(伝送ルートと必要帯域)予約プロトコルとアプ
リケーション対応転送プロトコルを実装することにより、連続メディア通信、および大
量データの高速転送を実現しました。
<技術のポイント>
現在のインターネットは、IPパケット交換を基本とし、コネクションレス型通信の
ため、必ずしも情報が相手に確実に届けられるかどうか保証されません。また、情報が
届いた場合でも、届くまでの時間にばらつきが生じたりするため、動画、音声等の連続
メディアの通信にはあまり適しません。
一方AMInetでは、コネクションの技術を積極的に導入し、電話のように情報を
確実に相手に届けることを保証しています。このため、動画、音声等の連続メディアの
通信に大変適しています。高品質の動画や音声を途切れることなく伝送し、大量のデー
タを高速で転送するためには、高速な資源予約とコネクション確立、および確保した資
源を有効に使用する技術が必要です。AMInetでは、このために新たな“高速資源
予約プロトコルASP(AMInetSet−upProtocol)”と、効率的な
データ転送を行う“アプリケーション対応転送プロトコル”を開発しました。
(1)高速資源予約プロトコル
現在のインターネットで提案されている資源予約プロトコルとしてRSVP(Res
ervationProtocol)があります。これをATMネットワーク上で利用
するには、複雑な処理をしなければなりません。これに比べてASPでは、直接ATM
ネットワークを制御する工夫をしているため、高速にコネクションを確立し、帯域を確
保することができます。
(2)アプリケーション対応転送プロトコル
コネクション確立、帯域確保が可能となれば、次は確保された通信資源を有効に使用す
ることです。現在のインターネットの代表的なトランスポートプロトコルでは、高速/
広域なネットワークにおける遅延や通信媒体の不均質性の影響により、確保された資源
を有効に使いきることができません。そこでAMInetでは、このプロトコルに改良
を加え、転送レートの制御を行うことで、与えられた資源(帯域)を有効に使ったデー
タ転送を実現しました。
AMInetでは、インターネットとの親和性が高いこの資源予約プロトコルASP
と、アプリケーション対応転送プロトコルを採用することにより、高品質の動画や音声
を途切れることなく伝送でき、大量のデータを高速で転送することを可能としました。
<今後の展開>
今回の実験ネットワークで確認された技術をベースに、本格的な高速資源予約機構を
有するバックボーンルータや家庭内ネットワークを構成するホームルータの実現、モー
バイル環境等の様々な通信形態への対応、ネットワークセキュリティの強化など、AM
Inetの実現に向けて研究開発を進めていく予定です。

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