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                             平成9年11月13日


     PHSの子機間直接通話機能を利用した会議支援システムを開発
     ─「いつでも・どこでも」簡易にデータ通信ネットワークを構築─


 NTTでは、PHSの子機間直接通話機能を利用して簡易かつ経済的にデータ通信ネ
ットワークを構築できる会議支援システム(PHS-WRAN:WirelessRoom Area Network)を
開発しました。

 今回開発したシステムは、講義室や会議室等の広さの空間であれば、PHS端末と

PIAFS*1データ通信カード、そしてノート型パソコン等の携帯端末を持ち寄るだけ
で、「いつでも・どこでも」簡易にデータ通信ネットワークが構築できます。

 本システムの特長は、複数のPHS端末間でリレー式に情報を配送するアルゴリズム
により、PHSにない一斉同報機能を疑似的に実現し、効率的に資料を配布している点
にあります。これにより50人の講義あるいは会議の参加者に対して、A4書類で2枚
程度のテキストデータであれば、約2分で配布することが可能です。

 また、無線LAN端末等の専用の端末を用いず、PHS端末同士で直接通信を行うため、
簡易かつ経済的にデータ通信ネットワークを構築できます。

 開発したシステムは、学校教育、オフィス内会議、オープンスペースでの意見交換等
の幅広い分野での適用が期待されます。
 

< 開発の背景>

 PHSは公衆、自営、子機間直接通話の3つのモードを備えており、一つの端末で、「屋
外、構内、家庭」等の境を気にすることなく使用することが可能です。また、PHSはデ
ィジタルセルラー方式*2の約3倍の情報伝送能力(32kbit/s)を有するため、モバイル
コンピューティングの重要な無線インフラとなりつつあります。

 これまでNTTでは、モバイルコンピューティングの展開に向けた各種アプリケーショ
ンの研究開発を進めてきました。

 一方、パソコン等の普及に伴い、企業や大学等の教育現場でも使用される各種資料は電
子化して管理されるようになりつつあり、企業においてはペーパレス会議という形で普及
してきてます。しかしながら、このような形態の講義や会議には、通常、LANなどのネ
ットワークインフラが構築されている環境が必要です。

 また、最近では無線パケット通信機能を利用した会議システムも開発されておりますが、
こちらも専用の無線端末を必要なため、安価なシステム構築は不可能です。

 このような制約を取り払い、「どのような場所においても、簡易かつ経済的に」情報を
共有する新しいネットワークを構築するために開発したのが「PHS−WRANシステム」
です。


< ポイント>

 PHS−WRANシステムは、開発したソフトウェアをノート型パソコン等の携帯端末
にインストールし、その他PHS端末とPIAFSデータ通信カードのみで使用できます。
そのため、簡易かつ経済的にデータ通信ネットワークを構築することが可能です。

 また、PHSでは、一つの端末から他の複数の端末に向けて同時に情報を配信する一斉
同報通信の機能がありません。そのため、複数の相手に情報を行き渡らせるには1対1の
通信を繰り返す回線交換型通信を行うほかなく、配送完了までに時間がかかるという問題
がありました。開発したPHS−WRANシステムでは情報をリレー式に配送することで
一斉同報機能を疑似的に実現する配送アルゴリズムを開発し、配送処理時間の短縮を図っ
ています(図)。

 さらに、PHS−WRANシステムは講義や会議の代表者(講師や司会)に向けた資料
の配送だけでなく、参加者の側から代表者に向けて、参加した旨を通知する「出席登録機
能」、退席する旨を伝える「退席通知機能」、課題や資料の回収の際に用いる「資料提出
機能」、配送完了の結果を代表者へ通知する「配送完了通知機能」等の複数の機能を備え
ています。


< 今後の予定>

 NTTでは、開発したPHS−WRANシステムを大学等の教育現場あるいは社内の会
議の場で実際に使用し、利用者の意見を取り入れながら、実用化に向けた改良を図ってい
く予定です。

 また、PHS−WRANシステムの応用アプリケーションとして、PHS端末の利点を
活かし、子機間直接通話モードで形成した複数の小規模ネットワーク間を公衆モードを利
用して連鎖的に接続することで、新たな広域ネットワークシステムの構築に向けた研究開
発も進めていく予定です。



<用語解説>

*1)PIAFS

   “PHS Internet Access Forum Standard”の略で、PHSの32Kbps非制限ディジタルベア
  ラを用いて、高品質にデータを伝送する伝送制御手順です。最高速度:29.2Kbpsを実

  現します。

*2)ディジタルセルラー方式

   欧州統一方式のGSM(Grobal System for Mobile communications)や日本国内統一方
  式のPDC(Personal Degital Cellular Telecommunication System)等に代表されるディジタ
  ル移動通信方式です。                            
                                        
                                        
                            


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