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                              平成9年12月3日
                             日本電信電話株式会社


            腕時計形PHS実用化へ前進
        ─大幅な小型化・高性能化、機能の充実を実現─

 NTTでは、昨年開発したプロトタイプに大幅な改良を加えた世界最小の腕時計形P
HSを開発しました。

 今回開発した腕時計形PHSは、昨年のものに比べて体積が40ccから30ccに
、重さが70gから45gにと大幅な小型化を実現すると同時に、連続通信時間が30
分から60分に、待ち受け時間が12時間から100時間に増えるという高性能化を達
成しています。また、第1次試作機では親機に内蔵していた音声認識・ハウリング抑圧
機能を、腕時計形PHSに内蔵することにより、一般のPHSと同じように公衆基地局
を利用して街頭でも通話ができるようになったことも大きなポイントです。

 さらに、ベルト部分に外付けされていたバッテリーとアンテナを本体内に組み込むな
どデザインにも考慮した設計としており、ベルトを取り外してペンダントのように使用
することもできます。

 NTTでは、開発した腕時計形PHSを長野オリンピックの期間中、長野オリンピッ
ク冬季競技大会組織委員会(NAOC)に40台提供し、オリンピック運営要員に試用
してもらう予定です。

<開発の背景>

 情報通信機器の小型化が進む中、NTTでは持ち運びや使用手順を特別に意識するこ
となく、自然に使える通信機器=ウェアラブル・コミュニケーションツールというコン
セプトの実現に向けた研究開発を続けてきました。そして、昨年、音声認識技術によっ
てダイヤルボタンを押さなくても発信でき、着信があった際もバッグやポケットの中を
探さずにすむ腕時計形PHSのプロトタイプを開発し、各技術の検証と改良を進めてき
ました。その結果、いっそうの小型軽量化、使用可能時間の延長などの高性能化、公衆
基地局との直接通信機能の付加などが実現できました。

<技術のポイント>

1.低消費電力LSIの採用
 音声認識、ハウリング抑圧を行う低消費電力のLSIを開発しました。このLSIは
、MT−CMOS回路*で構成されています。これは、高低2種類のしきい値トランジ
スタを作り込み、しきい値の高いトランジスタを回路静止時の電流漏洩の障壁として用
い、動作時には低消費電力のしきい値の低いトランジスタを働かせることで、回路全体
としての消費電力を大幅に低減します。音声ダイヤル機能の収容やバッテリーの小型化
を可能にしたキーテクノロジーといえます。

2.高エネルギー密度リチウムイオン電池と超小型アンテナの採用

 バッテリーとアンテナの本体内収容を可能にしました。特にバッテリーは、小型化に
も関わらず、回路の低消費電力設計と併せて通話時間・待ち受け時間の延長を実現して
います。

3.デザイン・機能等

 主要な機能の操作を4つのボタンで可能とした設計となっています。音声ダイヤル機
能は、あらかじめ登録しておくと相手の名前を発声して接続できます。また、相手の電
話番号を発声しても接続できます。この音声認識の登録方法に2種類あります。一つは
、日本語50音の中からボタン操作で名前を登録する方法です。2つめは、自分の声で
相手の名前を吹き込む方法です。したがって、前者は日本語のみですが、後者は外国語
にも対応できます。

 通信相手の指定には、音声ダイヤルに加えてボタン操作によるダイヤリングも可能と
しています。これは、高騒音環境下や、周囲に通信相手を知られたくない場合など、実
際の使用を意識したものです。


<今後の展開>

 NTTでは、開発した腕時計形PHSの評価と検討を通じてウェアラブル・コミュニ
ケーションツールというコンセプトを追求した端末の研究開発を進めていきます。本端
末で採用されている個別技術の、他の端末への応用についても研究開発を続けていく予
定です。

<用語解説>

 *)MTCMOS回路(Multi−Threshold
  ComplementaryMetalOxideSemiconductor)

 しきい値電圧の異なるトランジスタを同一のシリコン基板上に集積化する回路です。
 CMOSは相補型金属酸化膜半導体の略で、低消費電力性に優れており、現在のLS
 Iを構成するもっとも基本的な構造です。




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