平成9年12月16日 日本電信電話株式会社 プッシュ型情報配信システムを開発 ─情報を多数の利用者にリアルタイムに発信が可能に─ NTTでは、インターネット等の通信回線を経由して、情報を多数の利用者にリアル タイムに配信するプッシュ型情報配信システム(RealPushNetwork)を 開発しました。 これまでも「プッシュ型」と称した情報配信システムはありましたが、それらはクラ イアント側からサーバ側に情報を取りに行く疑似プッシュ型(プル型)であり、サーバ やネットワークの負荷が大きい、情報の転送時間が長いという問題がありました。 今回開発したプッシュ型情報配信システムは、一昨年NTTが開発した大規模情報分 配システム「高信頼マルチキャストプロトコル」を利用したもので、サーバソフト(R ealPushServer)とクライアントソフト(RealPushReader )で構成しています(図1、2)。本システムを利用することで誰でも容易に情報発信 者になれ、また、利用者はいつでもどこでも見たい情報をリアルタイムに購読すること ができます。 また、プロトコルやブラウザを実装した本プロトタイプシステムを評価した結果、プ ル型に比べ、5000件のクライアントに対する情報配信をした場合でサーバの負荷が 約100分の1、配信時間が約60分の1に低減可能であることを実証しました。さら に情報の提供者にとっては、サーバ構築のための初期投資コストを低減でき、情報の受 信者にとっては、情報をいち早くかつグループで同時に受信できるなどのメリットが期 待できます。 今後NTTでは、技術の検証や機能の確認などを、インターネットや衛星などの種々 のネットワークを利用して進め、より実用的なシステムに向け機能を拡張していきます 。 <開発の背景> インターネットの普及に伴い、これを経由して付加価値の高い情報を特定多数の利用 者に対して有償で配布するサービスが模索されています。しかし、インターネット経由 の情報伝送は1対1の通信を前提としたものであり、1対多の情報伝送を行なうために は1対1の伝送を繰り返さなくてはなりませんでした。 現在、実用化されている疑似プッシュ型システムもこの一種で、クライアント側の端 末から定期的にホスト側に新しい情報を取りに行くしくみのプル型システムです。その ため、ホスト側端末やネットワークに高い負荷がかかったり、情報を行き渡らせるのに 時間がかかるという問題がありました。 また、マルチキャスト機能を重視したコンピュータ間通信もありますが、こちらは放 送型通信を行なうためのもので、特定多数の相手に確実に情報を送り届けるという信頼 性に欠け、課金を伴う情報提供サービスには利用できませんでした。 NTTでは、1995年に「高信頼マルチキャストプロトコル」(数千のクライアン トに対して確実に情報を送り届ける手法)を開発しました。これは、サーバからルータ までは宛先数にかかわらず一回分のデータを流し、ルータにおいて宛先数に応じたデー タの複製を行なうため、サーバへの負荷が少なくて分配時間が短いのと同時に、各クラ イアントから通信履歴を集め、正常に伝送できなかったクライアントへは再送を行なう という機能を実現したものです。これにより、従来のインターネット経由の情報同時提 供に伴っていた問題点を解決することが可能となりました。 <技術のポイント> 今回、「高信頼マルチキャストプロトコル」を用いて、情報を多数の利用者にリアル タイムに同時配信するプッシュ型情報配信システム(RealPushNetwork )を開発しました。 本システムは、情報提供者が送信するアイテム(Webドキュメント、ティッカー文 字情報、画像イメージなどの情報)の表示制御を行なうため、アイテムの属性情報(更 新時刻、有効期限、コピーライト情報等)を管理するプロトコル「アイテムパブリッシ ングプロトコル(IPP)」を新規に開発し、これらのプロトコルとブラウザを含むア プリケーションを実装することにより実現しました。 情報提供者はサーバソフト(RealPushServer)を用いて、容易にチャ ネルの生成、変更、削除が行なえ、生成したチャネル上に様々なアイテムを送信できま す。アイテム毎の属性情報や送信スケジュールは、情報提供者が自由に設定でき、さら に複数のアイテムを一括で連続送信するための機能等もあります。これらの機能を利用 することで、誰でも容易に情報発信者になることが出来ます。 また、利用者側ではクライアントソフト(RealPushReader)を用いて 、チャネル毎に情報提供者から送られてくる様々なアイテムをリアルタイムに受信し、 閲覧できます。さらに、このクライアントソフトは、アイテムの種類に応じた表示位置 の変更や、画像アイテムをクリックした時のリンク先へのジャンプ、受信アイテムの最 終更新時刻に応じた表示順序の変更、有効期限が切れた時のアイテムの削除、コピーラ イト情報に応じたアイテムの制御など、アイテムの属性に応じたきめ細かな制御を行う ことができます。なお、クライアントソフトはJavaで実装しているため、様々なプ ラットフォーム上で動作可能です。 これらにより、利用者は、何時でもどこでも見たい情報をリアルタイムに購読するこ とが出来ます。 このように、今回開発したプロトタイプシステムは、柔軟性・拡張性に富んだシステ ムであり、実用サービスを前提とした高い完成度をもつものと言えます。 <今後の展開> NTTでは、開発したプロトタイプをもとに技術の検証や機能の確認などを、インタ ーネットや衛星通信などの種々のネットワークを利用して進め、より実用的なシステム に向けて機能を拡張していきます。 また、新規開発したプロトコルの仕様は一般公開し、誰でも自由に使えるようにする とともに、インターネットソサエティーなどの国際標準化機関に提案していく予定です 。
