平成9年12月19日 日本電信電話株式会社 PHSの64kbit/s高速データ伝送プロトコルを開発 ─OCN、ISDNのワイヤレスアクセスを可能に─ NTTでは、PHSの64kbit/s高速データ伝送プロトコル(制御手順)を開 発しました。 今回開発したプロトコルは、64kbit/sのデータ通信を実現するためにARI B*1(社団法人電波産業界)によって策定されたPHS無線インタフェース標準規 格を受けたもので、PIAFS*2のベースとなったNTT開発のデータ伝送制御手順 MODSARQ*3をさらに改良したものです。 本プロトコルは、ARIB標準に準拠した上に、現在商用サービスされているPIA FS(29.2kbit/s)に比べ2倍の58.4kbit/sという伝送速度を実 現しています。そのため、ISDNやOCNとも親和性が高く、現在、有線で構成され ているデータ伝送環境をそのまま無線環境に拡張するための原動力として期待されます 。 <開発の背景> ISDN、OCNなど、コンピュータによるデータ伝送のニーズからネットワークは 進化を続けています。これを無線ネットワークにまで拡張できればモバイルコンピュー ティングなど、利用者の受けるメリットはさらに高まります。このために、PHSの伝 送速度の高速化が求められており、現在では32kbit/sの商用サービスが開始さ れています。 NTTも早くからPHSの高速化に着目して研究を進めており、現在の32kbit /sの業界標準規格であるPIAFSのベースとなったMODSARQの開発などの成 果を上げてきました。 <技術のポイント> 今回開発したプロトコルは次の2種類です。 1つ目の方式は、現在デファクト標準の32kbit/sのソフトウェア、ハードウ ェア資産を有効活用できるよう、PIAFSからの変更を可能な限り少なくした仕様で す。PIAFSと同一の制御手順でクロック周波数だけを2倍にしたもので、最高情報 伝送速度は58.4kbit/sを実現しています。 2つ目の方式は、よりモバイル環境を意識した仕様で、有線に比べて不安定になる無 線通信の特性を考慮し、セル端(無線基地局のカバーできる範囲の端)等での無線品質 の低下したところの伝送速度の改善を図ったもので、最高情報伝送速度は57.6kb it/sを実現しています。 この64kbit/s対応のPHSによりISDNサービスとの整合性が大変良くな ります。さらに64kbit/s対応PHS端末を2台使用し、MP*4(Multi −linkProtocol)を適用することで、128kbit/sの高速データ通 信が可能となるため,PHSを用いたOCNエコノミーのワイヤレスアクセス系の構築 が可能となります. <今後の展開> 今後NTTでは、開発したプロトコルを搭載したシステムのプロトタイプにより、評 価検討を進めていきます。 <用語解説> *1)ARIB(AssociationofRadioIndustriesand Businesses):電波産業界 通信と放送の分野における無線技術の標準規格をつくるための民間の社団法人で現在 約180社が参加しています。 *2)PIAFS(PHSInternetAccess ForumStandard) 1996年4月にインターネット・アクセス・フォーラムが取りまとめた協会標準で 、PHSの32Kbps非制限ディジタルベアラを用いて、高品質にデータを伝送する 伝送制御手順です。最高速度:29.2Kbpsを実現します。 *3)MODSARQ(SRARQwithModuroOperation UsingDataField) NTTが開発したPHSの32kbit/sデータ通信を実現するデータ伝送制御手 順で、PIAFSのベースとなった技術です。 *4)MP(Multi−linkProtocol) 複数の通信回線を論理的に束ねて1本の回線として利用するためのプロトコルです。
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