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                              平成10年1月8日

                             日本電信電話株式会社
 
         PHSマルチメディア通信用カードを開発
     ─移動環境で、音声とカラー画像による同時双方向通信を実現─

 NTTでは、PHSの32kbit/sデータ通信サービスを利用し、音声とカラー
画像等マルチメディアの双方向同時通信を実現するマルチメディア通信用カードを開発
しました。
 今回開発したカードは、32kbit/sのデータ通信対応のPHS電話機と組み合
わせ、8kbit/sを音声通信に、残りの24kbit/sを他の通信メディアに振
り分けての双方向のマルチメディア通信を可能とするものです。このPHS電話機とカ
ードのセットは、PHS公衆網等を経由してISDN網に接続が可能で、移動側で撮像
/表示機能を備えた携帯型パソコンを接続すれば、センタ側と会話しながらの映像収集
、配信、協調作業が可能となります。
 NTTでは、長野オリンピックの期間中、このカードを用いて構成した音声と画像の
同時通信が可能な特別バージョンのモバイル端末を、長野オリンピック冬季競技大会組
織委員会(NAOC)に提供し、オリンピック運営要員に試用してもらう予定です。そ
の結果、得られたデータをもとに、使い勝手等、実用に向けた評価・検討を進めます。
 なお、オリンピックで試用するネットワークは、NTT中央パーソナル通信網株式会
社の協力によるものです。

<開発の背景>

 マルチメディア端末の小型化が進むにつれ、モバイル環境で使用できるマルチメディ
ア端末へのニーズが高まっています。そこで注目されているのが、32kbit/sの
ディジタル通信が可能なPHSです。そのため、最近ではPHSを介してのデータ通信
を可能とするカード類の開発が盛んになっています。
 NTTではこのPHSの32kbit/sという伝送容量を効率よく利用し、音声の
み、あるいはデータのみの通信ではなく、両者を融合したマルチメディアによるコミュ
ニケーションを実現するためのツールの研究開発を進めてきました。

<技術のポイント>

1.フレ−ムタイミングを用いたPHSメディア多重伝送方式の開発

 無線環境における音声とデ−タ、画像などの多重通信を考えると、音声は多少ノイズ
が生じてもリアルタイム性が重要であり、一方、デ−タや画像では誤りを補償する必要
がある等、通信メディアによって誤り制御に対する考え方が異なってきます。そのため
、音声については再送制御なしでの伝送、デ−タや画像については再送により誤りを補
償した伝送を可能とする必要があります。
 本カ−ドでは、多重化処理によるスル−プット低下を防ぐため、制御フラグを用いず
に端末間でフレ−ムタイミングを用いてメディア識別を行う簡易で効率の高いメディア
多重方式を開発し、実装しています。

2.PHSマルチメディア通信制御LSIの開発

 PHSを利用して遅延の少ない音声とデ−タ・画像等の同時伝送を可能とするために
は、通信用カ−ドに伝送制御、多重化制御等を行うためのCPU、音声CODEC、P
HS電話機、PC等とのインタフェ−ス等を搭載する必要があります。ところが、PH
S電話機等とのインタフェ−スに個別部品を利用すると消費電力やハ−ドウェア量が増
加する問題があります。そのため、CPUをコアとし、接続機器・音声CODEC、さ
らに、メモリに対するインタフェ−スを周辺とするLSIを開発し、PHSメディア多
重通信機能を持つタイプIIPCカ−ドを実現しました。

3.8kbit/s音声符号化方式CS−ACELPの採用

 開発した携帯端末用カードは、限られた伝送容量で音声通信を行なうため、ITU−
Tで国際標準に採択された音声符号化方式CS−ACELP(Conjugate 
Structure and AlgebraicCode−Excited 
Linear Prediction)を採用しています。CS−ACELPは、その
開発にNTTが中心的役割を果たしてきたもので、8kbit/sで32kbit/s
ADPCMと同等の音声品質を実現しています。

4.静止画像の符号化をベ−スとした簡易動画伝送方式の開発

 画像符号化には無線環境での誤り制御の容易性や用途を考慮してフレ−ム内符号化(
静止画像の符号化)を用い、符号化されたデ−タをフレ−ム化して、制御フレ−ムと混
在して連続的に伝送することにより、簡易な動画通信と、通信中の画像サイズの変更等
映像収集等の用途で必要とされる機能を実現しています。

 フレ−ム内符号化は、もともと静止画の符号化方式であり、時間的に隣り合う画像同
士の差分を計算して情報量の圧縮を行なうH.263(ITUによって国際標準化され
た動画伝送方式)に比べて,単位時間あたりに伝送可能な画像フレ−ム数は少なくなり
ます。
 しかし、無線環境下で伝送誤りが生じた場合にも、画質的に重要な符号化デ−タのみ
を再送することによりフレ−ム数の低下を防ぐ等,無線環境特有の問題にフレキシブル
に対応できる特長があります。
 今回の用途では、単位時間内の画像伝送フレ−ム数をそれほど必要とせず、画像の精
細度が求められるため、フレ−ム内符号化をベ−スとした簡易動画伝送方式の利用が最
適な選択と言えます。

<今後の展開>

 本カ−ド、およびモバイル端末については、長野オリンピックで試用いただくととも
に、実環境での性能評価を進めます。さらに、本カ−ドの付加価値の向上を目指してセ
キュリティ機能の搭載などを進め、モバイルマルチメディア通信システムへの適用検討
を行う予定です。






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