NEWS RELEASE

                             平成10年2月18日
                             日本電信電話株式会社


        2010年に向けた電力エネルギー削減ビジョン
   − マルチメディア時代の電力消費増加を抑える電力削減ビジョン −


 NTTは36億kWh(平成8年度実績)の電力を消費し、日本国内で買電量の最も
多い企業です。今後、マルチメディアの本格的展開を進めるにあたり、エネルギー消費
量が更に増加することが予想されることから、NTTグループ全体で電力エネルギーの
削減に取り組んでいきたいと考えています。
 具体的には、素子の研究開発から設備導入までの全般にわたり、電力エネルギーの削
減を行います。

1.これまでの電力エネルギー削減の取り組み

 NTTのエネルギー削減の取り組みは、1987年にスタートし、エネルギー変換効
率の良い通信設備や電力設備等の開発、装置の温度耐性の向上等、設備づくりを中心と
した業務全般にわたる改善を推進してきました。その結果、1996年度では前年度よ
り電力消費量を減少させることができました。(37億kWh、571億円マ36億k
Wh、562億円)さらに、一部の都市ではコジェネレーションシステム、太陽光発電
等を導入し、エネルギーの自給にも取り組んできました。
 しかし、今後のマルチメディアの進展を考えると従来のエネルギー削減対策だけでは
、エネルギーの消費量増加(図1参照)を抑制することは困難な状況です。
 そこで、新たな観点から電力エネルギーの削減に取り組むこととしました。

2.研究開発

2.1 低消費電力化を実現する研究開発

(1)素子の研究開発
 NTTで独自に開発した素子の静電容量を小さくするSIMOX基板技術(図2参照
)やLSI上のトランジスタの電力エネルギー消費を必要に応じてコントロールできる
MTCMOS回路技術(図3参照)を組み合わせて、パソコン等のマルチメディア端末
や電気通信ネットワークで用いる通信装置に必要なLSIの低電圧化を達成し、大幅な
電力エネルー消費量の削減を行っていきます。
 具体的には、2000年までに通信装置向けの高速動作が可能なLSIの2V化(現
行5V)を達成することにより、現状の1/5以下の電力エネルギー消費量を実現しま
す。さらに、2005年には1V化にすることで、電力エネルギー消費量を現状の1/2
5以下に削減するよう取り組みます。
 携帯端末などに使われる低速な動作速度のLSIについては、1V化(現行3.3V
)を同じく2000年までに達成し、現状の1/10以下の電力エネルギー消費量を実
現します。また、2005年にはLSIの電圧を0.5V以下とし、太陽電池1セル(
2〜5cm四方)で直接駆動可能とすることで、携帯端末の太陽光による直接給電の可
能性を開く低消費電力エネルギー化を実現していきます。
 将来に向けては、電子1個で動作し電力エネルギー消費量を現在の数万分の一以下と
飛躍的に削減できるシングルエレクトロントランジスタのLSI化等、革新的デバイス
の研究も積極的に行っていきます。

(2)通信用設備の研究開発
 新たな通信用設備の研究開発にあたっては、前項の低電圧LSIなどの技術を積極的
に採用することにより、極力電力エネルギー消費量の削減・抑制を行っていきます。
 具体的には、2000年から電力エネルギー消費量を現在の2/3に削減できる通信
装置を導入できるよう開発し、さらに、2005年までに現在の1/3に削減できる装
置の研究開発に取り組んでいます。


2.2 電力エネルギー蓄積、発電に関する研究開発
    
 NTTでは、自社のバックアップ用蓄電池を活用して夜間充電、昼間放電によるエネ
ルギーの有効利用を図るための、研究開発を進めていきます。
 具体的には、コンパクトかつ、容量の大きい高エネルギー密度電池の大容量化に取り
組みます。2003年には、ニッケル水素電池を用い、現行の鉛蓄電池と同じスペース
で3倍の蓄電量を達成します。また、2010年にはリチウムイオン電池を用い、4倍
の蓄電量を達成します。
 さらに、現行の10倍近い蓄電容量が達成可能な将来技術として、一つのイオンの移
動で複数の電子が放出される多価イオン電池等の革新的な研究も積極的に行っています
。
 また、クリーンで高効率な発電を目指して、NTT独自のセル構造を用い、現状の2
倍近い発電効率が期待される中空平板型セルを用いた固体電解質型燃料電池(SOFC
)の研究に取り組んでいます。

3 コジェネレーションの取り組み

 NTTとしては、自社の非常用発電設備を活用して自家発電を行うことにより経費の
削減に努めるとともに、社会的な電力消費量のピークの抑制にも寄与していきます。
 具体的には、(株)NTTファシリティーズと大阪ガス(株)が共同研究開発してき
た、排熱再利用により発電効率を約15%向上させたコンバインドサイクルCGSの実
用化の目途がついたので、平成10年度第2四半期に試験導入する予定です。その結果
をふまえ、全国の電力エネルギー消費の多いビルへのCGSの導入拡大を図って行きま
す。

4 グループ全体としてのエネルギー削減の取り組み

4.1 低消費エネルギータイプの電力装置への切り替え
 NTTグループ全体では、通信設備等の更改や、機能アップに併せて低消費電力タイ
プの電力装置への切り替えを積極的に行います。

4.2 ネットワークの構造改革による低消費電力化
 マルチメディア需要に柔軟に対応できるネットワークの構造改革を、進めていくこと
にしておりますが、その時に用いる新型の通信処理ノード、あるいは伝送装置類は、3
.5Vの電圧で機能するLSIや高集積LSIを用いることにより、低消費電力が達成
できる見通しです。

4.3 空調方式による低消費電力化
 また、通信装置の低電力消費化により、通信機械室の空調条件も緩和されることから
室外の空気を取り入れる自然空冷の適用や、発熱量の多い装置には多くの冷気を流す再
循環気流方式の適用などにより、電力消費の削減が可能となります。
 
5 まとめ

 以上の各取り組みにより、2010年ではマルチメディアによる電力消費を抑さえ、
1990年レベルの電力消費量を目指して行きます。







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