平成10年3月5日 NTT/ICC開館1周年記念企画展 「移動する聖地」展〜テレプレゼンス・ワールド〜開催のお知らせ NTTインターコミュニケーション・センター(ICC) では、現代のコミュニケーショ ンの鍵をにぎるテレプレゼンス(遠隔現前/遠隔操作)技術を多角的にとらえる展覧 会、「移動する聖地」展〜テレプレゼンス・ワールド〜を1998年4月24日(金)より 6月21日(日)まで開催いたします。 1.主 催: NTTインターコミュニケーション・センター(ICC) 2.監 修: 伊藤 俊治 3.協 賛: 日商エレクトロニクス株式会社 株式会社ウォーターパール 4.協 力: ZKM(カールスルーエ・アート・アンド・メディア・テクノロジー・センター) アテネ・フランセ文化センター 5.会 期: 1998年4月24日(金)〜6月21日(日) 6.会 場: NTTインターコミュニケーション・センター(ICC) ギャラリーA, D, シアター 〒163-1404 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階 (京王新線 初台駅東口から徒歩2分) 7.開館時間: 午前10時〜午後6時(金曜日のみ午後9時まで) 入館は閉館の30分前まで 8.休館日: 毎週月曜日、及び5月6日(水)<但し、5月4日(月)は開館> 9.入場料: 一般800円/大高生600円/小中生400円 (常設展入場料を含む・税込・シアターは無料) 10.一般問い合わせ先: フリーダイヤル 0120-144199
<概 要> 遠くの事象(テレ)が、いま、ここに、現れる(プレゼンス)。テレプレゼンスとは いま、私たち自身のいる「ここ」で、隔たった場所や異なった時=「そこ」を体験 できる技術の総称である。テレプレゼンスを体験することによって、私たちは時間 や空間に対する知覚の本質的な変更を求められる。それは私たちの生きているこの 現実という時空間の構造の外に、それとは異なる世界があり、そこへ入り込むため の技術と方法さえ見つければ、その世界との通路を開くことが可能なのだというこ とを提示している。重要なことは、従来の世界の基盤である物質的なものが、いま 、ここにあるのとは、異質なあり方で、その世界が存在しているということである 。その世界の存在の形式は多様で、構造自体も複雑な質を持っている。私たちはこ の事実を積極的に受け入れ、より意味深い新しい世界を構成してゆく時代に生きて いる。私たちは、今、現実を大きく超えたものに目を向け、その世界と対応してゆ かねばならない。テレプレゼンスは、このかたくなな現実を超えてゆく人間の想像 力の働きと、実は緊密に結びついていると言えよう。 本展は、このようにテレプレゼンス(遠隔現前/遠隔操作)の概念や技術を、「共同 創造」「記憶と無意識」「精神交流」「原始感覚」「多層現実」「聖性」といった 視点から読み返し、新しい世界ヴィジョンを探ろうとする試みである。ひとつの仮 想空間に場所を隔てた人々がアクセスして独自の新しい世界を生成させてゆく遠隔 空間共有や、時間を超えて過去と現在が共振するテレパスト(遠隔過去/追体験)な ど、情報空間上の新たな聖地を横断しながら展開する展覧会となる。そこでは西洋 や東洋、過去や未来、内部と外部といった境界が消えた不思議なイメージ・ワール ドのアクチュアリティを感じとることができるだろう。 出品作家・作品:アート+コム「テラ・プレゼント/テラ・パスト」 ビル・シーマン 「ワールド・ジェネレーター〜欲望エンジン〜」 チェベ・ファン・タイエン+フレッド・ゲイルス「シャーマンの太鼓」 港千尋+森脇裕之「記憶の庭」 関連イベント: 1. パネル・ディスカッション(全7回予定) 2. フィルム上映(全8回予定) 3. 「ワールド・ジェネレーター」ZKM(ドイツ)-ICCの接続(毎週金曜日夜) (上記1, 2, 3 に関する詳しい内容は現在検討中です。ファックスで 内容を送信いたしますので、お問い合わせ下さい。)
<作品解説> 第1会場(ギャラリーA): 1. アート+コム(ドイツ) 「テラ・プレゼント/テラ・パスト」 ART+COM "Terra Present/ Terra Past", 1998 インタラクティヴ映像インスタレーション 本プロジェクトは、アート+コムが長期にわたって継続しているプロジェクト"T- Vision" のコンセプトをもとに制作される。"T-Vision"とは、実際の地形データ、 及びインターネットを介して随時更新される衛星画像によって生成された仮想の地 球を独自のインターフェースを用いて回遊するシステムである。今回は、このシス テムに従来備わっていた"リアルタイムの地球"という要素に対し、「過去」の地球 にも接近することを試みている。T-Visionのインターフェースによって、地球上 のある地点(今回はベルリン市のポツダム広場)に近づいていくと、時系列の旅に ひきこまれるしくみになっている。実際の衛星画像と3次元の建築モデルをもとに して生成されている。この作品ではテレプレゼンスに存在するふたつの側面、「遠 く」と「過去」という概念に接近することを試みる。 2. ビル・シーマン(オーストラリア) +ギデオン・メイ(オランダ)<プログラム> 「ワールド・ジェネレーター〜欲望エンジン〜」 Bill SEAMAN with Gideon MAY (programmer) "The World Generator / The Engine of Desire", 1998 マルチ・ユーザー・ネットワーク型インタラクティヴ映像インスタレーション 「ワールド・ジェネレーター/欲望のエンジン」は、インタラクティヴに3Dオブジ ェを選択・配置しながら、仮想の詩的空間世界を構成・探訪していく作品。世界要 素の集合として準備された、スロット型の選択肢から選ぶことによって、もうひと りの参加者と協力して世界をつくっていく。スロット型の選択肢からは、例えば、 3次元モデル、詩的断片、テクスチャー・マップ(静止画・動画)などの世界の構 成要素を選ぶことができ、参加者は、今までにはなかった映像・音像空間を体験す ることになる。今回は、旧来のヴァージョンから新しく日本語機能が追加された改 訂版が展示される。会期中、ZKM(ドイツ)とICC(日本)をネットワークでむすんで両 方から作品にアクセスしてゆく試みもおこなわれる予定である。 3. チェベ・ファン・タイエン(オランダ)+フレッド・ゲイルズ(オランダ) 「シャーマンの太鼓」 Tjebbe VAN TIJEN + Fred GALES "Waking the Shaman Stone Age and Cyberspace", 1998 インタラクティヴ映像インスタレーション 原始的なテレプレゼンスとして位置づけられる、シャーマニズムの歴史やその世界 的なバリエーションを文化人類学的見地から研究しコラージュされたデータベース 的な作品。人間が根本に持っている、分身やトリップといった行為に対し、歴史的 な光をあて問い直す。太鼓のインターフェースを叩くことによって、文化によって 微妙に異なるシャーニズムの画像を一連の静止画像のシーケンスで垣間みることが できる。オランダの王立熱帯博物館での展示とはまた違ったかたちの、日本版のイ ンスタレーションとなる。 第2会場(ギャラリーD): 4. 港 千尋 (日本)+森脇 裕之 (日本)「記憶の庭」 サウンドデザイン:ヲノ・サトル MINATO Chihiro + MORIWAKI Hiroyuki "Garden of Memory", 1998 Sound Designe: WONO Satoru 複合メディア・インスタレーション テレプレゼンスという概念を、自由に時空間を移動できる想像力の装置としてとらえ 、映像や音の空間をさまざまに移動するメディア・インスタレーションが展示される 。鑑賞者は、天井から吊るされた球体、天空からの視線によって世界を見つめるブラ ンコ、ストロボと同期して球体を描く噴水といった装置によって、赤道、大西洋、ヨ ーロッパ、南アメリカ、都市、群衆、砂漠など、世界をめぐるイメージとテキストを 探索することができる。「移動」「神話」「交通」「分身」「聖地」といったキーワ ードをテーマにフィルム上映、パネル・ディスカッションもおこなわれる。
<作家プロフィール略歴> アート+コム ART+COM アート・コムは1988年にベルリンに設立された非営利組織である。バウハウスの統 合的理念となった新技芸創造空間のモチベーションを軸に、デジタル・マルチメディ ア研究センターとしてのイノベーションを展開してきた。ヴィジュアル・アーティス ト、音楽家、情報科学者、社会・心理学者、デジタル・プログラマー、医学者、テレ コミュニケーション技術者などの集団構成において、アート+コムはアンチ・エキス パートシステムと呼ぶバウハウス以来のコンセプトを導入している。SIGGRAPH, IMAGINA, ARS ELECTRONICA FESTIVAL 等様々な祭典での受賞歴、出品歴多数。 ビル・シーマンBill SEAMAN 1985年MITにおいて視覚科学における理学修士号を取得。音楽の分野については独学。 現在ニューサウスウェールズ大学美術学部メディアアート部門で4D(時間芸術)の上 級講師および部門長を務める。作品はMoMAにも収蔵されており、アーティストとして 言葉と映像、そして音の関係の探究を続けている。1994年のICCプレイベント 「EX.MECH--断片のための妙なる機械装置」展で個展開催。 チェベ・ファン・タイエン Tjebbe VAN TIJEN 1944年、オランダのハーグに生まれる。1965年から1968年の間にインスタレーシ ョン、環境、ハプニング、エクスパンデッド・シネマ等の活動をミラノ、ロンドン、 アムステルダムを拠点に行う。1973年から1993年までアムステルダム大学図書館 の司書を務める。そのかたわら、1988から1989年にジェフリー・ショーらととも に行った革命空想美術館プロジェクト、新「世界図絵」プロジェクトなどを行う。 最近は歴史教育のためのマルチメディア作品等のコミッション制作が集中している。 港 千尋 MINATO Chihiro 1960年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1982年ガセイ奨学金(アルゼンチ ン)を受け、南米各地に滞在。1985年よりパリを拠点に写真家、批評家として活動 する。最近の著書『記憶-「創造」と「想起」の力』(講談社、1996)が1997年に サントリー学芸賞を受賞した。1995年より、多摩美術大学にて教鞭をとり、現在同 大学美術学部助教授。写真展としては、「赤道」(第一回コニカプラザ奨励賞受賞、 1991)、「Continental Drift」(パルコギャラリー、1992)など多数。 森脇 裕之 MORIWAKI Hiroyuki 1964年生まれ。筑波大学大学院芸術研究科デザイン専攻修了。サイン表示器の発光 デバイスであるLEDの技術にこだわり、ライト・アートの新しい領域を開拓してきた 。また、ファッション、パフォーマンスなど、他分野とのコラボレーションを積極的 に行っている。近年は鑑賞者の身体を積極的に用いたインタラクティブ性の高い作品 にも取り組んでいる。1993年、第14回ロカルノ国際ビデオア−トフェスティバル (ロカルノ市長賞 受賞)1995年 、名古屋国際ビエンナーレARTEC'95(準グラン プリ受賞)。1994年、ICCオープンワークショップ「光る!動く!あやしい?」。
<監修者紹介> 伊藤 俊治 ITOH Toshiharu 1953年生まれ。東京大学文学部美術史学科卒、同大学大学院人文科学研究科美術史 専攻修士課程修了。専攻の美術史の枠を越え、写真、映画、メディアに関する評論を アートと科学技術が交差する地平から多角的に行う。著書多数。現、多摩美術大学教 授、及びICCプログラム委員。 著書: 「写真都市」冬樹社、1984年 「裸体の森へ」筑摩書房、1985年 「ジオラマ論」リブロポート、1986年 「生体廃墟論」リブロポート、1986年 「<写真と絵画>のアルケオロジー/遠近法リアリズム記憶の変容」白水社、1987年 「ディスコミュニケーション」共著:植島啓司、リブロポート、1988年 「熱帯美術館」共著:港千尋、リブロポート、1989年 「機械美術論--もうひとつの20世紀美術史」岩波書店、1991年 「20世紀イメージ考古学」朝日新聞社、1992年 「冩眞史」朝日新聞社、1992年 「テクノカルチャー・マトリクス」(監修)NTT出版、1994年 「バリ 禁忌、祝祭のカタルシス」共著:植島啓司、アートスペース美蕾樹、1986年 他 訳書: 「イメージ─視覚とメディア」ジョン・バージャー他著、PARCO出版、1986年 「写真の歴史〜表現の変遷をたどる〜」イアン・ジェフリー著、岩波書店、1987年 他 * * * * * <「移動する聖地」展 記者内覧会のご案内> 4月23日(木)4pm〜9pm
