平成10年3月16日 超高速インターネット時代を拓く新世代通信技術MAPOSを開発 −速度の壁と距離の壁を破ってインターネットをパワーアップ− 日本電信電話株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:宮津純一郎)は、 NTTでは、急速に増大しているインターネットのトラヒックの混雑を緩和し、 快適に使えるようにする高性能通信プロトコル、MAPOS(Multiple Access Protocol Over SONET/SDH:メイポス)を開発しました。これは、インターネット の基幹ネットワーク、広域網ネットワーク(WAN)、構内ネットワーク(LAN) 、イン トラネットなど多様なネットワークにおいて超高速データ通信を実現する技術です。 今回開発したMAPOSは、インターネット上で飛び交うあらゆるデータをその ままの形で、同一フロアのコンピュータや遠隔地のコンピュータなど任意の場所に 送信する通信手順を定めています。また、MAPOSの装置相互で接続状況を互い に情報交換して通信制御に必要なデ[タを自動的に送る通信手順も定めています。こ れにより、机上のコンピュータから、超高速専用線と同じ伝送方式(SONET/SDH) の超高速回線が使えるようになります。また、ネットワークの構成が変化しても自 動的に制御情報が作られるので、容易にネットワークの構築ができます。このMA POSの仕様はインターネットの世界標準を定める委員会(IETF) からプロトコル仕 様(RFC2171〜2176)として世界中に公開されていますので、通信メーカなどはこ の仕様を自社製品に自由に組み込むことが可能です。 NTTでは合計87Gbps の世界最高級のデータ処理能力( 16本の2.4Gbps 回線で同時に連続してMAPOS通信できる能力)を持つMAPOS実験装置(CORE switch: 写真参照 )を試作し、実際に622Mbps の実験ネットワークを作って、超 高速インターネットの構築においてMAPOSが有効であることを確認しました。 今後、MAPOSのネットワークをインターネットに接続した利用実験を進めると ともに、MAPOS技術を用いた超高速インターネットの実現に向けた研究開発を進 めていく予定です。 <開発の背景> WWWが普及するにつれて、インターネットの混雑解消が重要な問題になってきてい ます。特に、インターネットの利用が進んでいる米国においては、すでに問題が深刻で あり、インターネットのバックボーンでは、622Mbps,2.4Gbpsあるいはそれ以上の速 度の通信ができる装置類を導入したいという声が切実な要求として出てきています。ま た、LANでも、動画像などを利用するようになると、従来広く使われているイーサネッ トでは多大な通信時間を要するため、より高速なネットワークの開発が望まれています。 また、ネットワークを構築する技術者にとって,ネットワークのアドレス、経路表な どの設定は重荷になるばかりでなく、思わぬ事故の元になります。このため、Windows PCの「プラグ アンド プレイ」機能のように設定を自動化して、簡単にネットワークを 構成できることが望まれています。 <技術のポイント> 1.高速化への対応性(スケーラビリティ) 超高速専用線と同じ伝送方式(SONET/SDH)の回線上に64KBまでの長大なデータ を流して、送り先回線を切替えることができるスイッチング方式を開発しました。 この結果、52Mbpsからはじまり155Mbps, 622Mbps,2.4Gbps, 10Gbpsと続くSONET /SDHの規格に従って、通信速度を向上させることができるようになりました。 また、インターネットの基本プロトコル(IP)で扱うデータをそのまま(分割しない で)送れるようになりますので、従来の方式に比べて実効的に高速通信が実現できます。 これまでに、実験装置COREswitchを試作して、COREswitch、PC、ワークステーショ ン相互の間で、155Mbpsと622MbpsのMAPOS通信を実現して高速性を確認しました。 2.広域ネットワークへの対応性(シームレス性) LANの代表であるイーサネットは、回線が長くなると複数のノードから送られるデー タの衝突を回避する方式が有効に動作しないので、回線長500m以下のLANでの利用 に限定されています。これに対して,MAPOSでは、回線長の影響を受けない衝突回避 機能を持つスイッチング方式を開発しました。このため、伝送技術の許す限り、回線を 延ばすことができます。たとえば、光ファイバを使用すると80kmまで回線を延ばす ことができますので、広域ネットワークを作れます。この結果、MAPOSはLANとWAN の境界をなくしてシームレスにネットワークを構築できるようにします。 3 プラグ アンド プレイ 超高速通信ネットワークにおいて、新しい回線が接続されると、アドレスや経路表を 自動的に設定する方式を開発しました。この方式では、ネットワークの構成が変わると 、制御情報を互いに交換して、それぞれの制御情報を自動的に更新します。この結果、 機器を接続したり、接続先を変更したりするだけで,最新のネットワーク構成で利用で きるようになります。 <今後の展開> NTTでは、今後MAPOSの実験装置を用いたネットワークをインターネットに接続して 実際の利用の場での評価実験を行なうとともに、MAPOS技術を用いた超高速インターネ ットの実現に向けた研究開発を進めていく予定です。
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