平成10年4月28日 (お知らせ)                  紫綬褒章の受章について             −光ファイバー母材の連続製造技術の開発で−  4月29日付けで政府から平成10年の褒章が発表され、NTT取締役基礎技術総合研究所長の伊澤達夫が 紫綬褒章を賜ることになりました。 5月13日に伝達式が執り行われます。  伊澤は、マルチメディアのインフラストラクチャーを構成する光ファイバーの製造法を開発した研究 者であり、高性能な光ファイバーを量産できる国産技術を産み出し、国内通信基盤の整備促進と国内光 産業の発展に貢献したことが評価されました。  昭和40年代後半に米国で実用的な光ファイバーが開発され、大容量の情報を遠方まで中継器なしで伝 送できる光通信がにわかに現実味を帯びてきました。しかしながら当時は、光ファイバー用の母材(ガ ラス丸棒)を製造するのに少しずつ太くする方法を採用していたため、量産性と経済性に難がありまし た。伊澤は、昭和51年、ガスバーナ中で合成したガラス微粒子を吹きつけて、母材をつらら状に連続的 に成長させる気相軸付け法(VAD法)を発明し、更に、均一なガラス成分分布を実現するガスバーナ構 造や母材に混入する気泡や水分を取り除く方法を実現して、高品質な光ファイバー母材を短時間で作製 できる連続製造技術を誕生させました。  現在、日本国内で生産されている年間600万km(地球150周分)の光ファイバーは、ほぼその100% がVAD法で製造されています。世界的にみても3割近いシェアを占め、今後さらに増加する見込みです。 (参考) 伊澤 達夫 1941年12月24日、東京生まれ 日本電信電話株式会社 取締役・基礎技術総合研究所長 <略歴> 1970年3月 東京大学大学院 工学系研究科 電子工学専攻 博士課程修了 4月 日本電信電話公社 入社 ;ガラス光導波路の研究 1974年4月 カリフォルニア大学バークレイ校 ;Visiting Researcher (1年間) 1975年5月 茨城電気通信研究所 ;光ファイバ母材の製造技術の研究 1978年2月 武蔵野電気通信研究所 ;石英平面光導波回路の研究 1982年1月 厚木電気通信研究所 ;機能デバイス研究部、結晶材料研究室長 1984年2月 厚木電気通信研究所 ;機能デバイス研究部、超格子応用研究室長 1987年7月 基礎研究所 物質科学研究部長 1992年2月 光エレクトロニクス研究所 所長 1994年7月 理事 研究開発本部 副本部長 1996年6月 現職 <主な研究業績>  入社以来一貫して、光通信に用いられる光ファイバおよび平面光導波路の製造に関する研究開発に 従事。  主な業績は、気相軸付け法(VAD法:Vapor-phase axial deposition)と呼ばれる光ファイバ の母材の連続製造法の発明。従来の製法と異なり、石英ガラスの光ファイバ母材を軸方向に合成する という独創的な着想に基づくものであり、量産性と経済性に優れ、かつ大型母材の作製が可能。さら に、屈折率分布の精密制御、低損失化に重要な脱水技術などの周辺技術を次々と完成させ、高性能な 光ファイバの量産技術を確立した。現在この技術の国内市場での占有率はほぼ100%。  その他に、低損失な石英光導波回路の作製や、低損失プラスチック光導波路の作製などの研究成果 があり、いずれも今後のFiber To The Homeを実現するためのキー技術として期待されている。 <主な特許> Continuous Optical Fiber Preform Fabrication Method (US patent 4,062,665 Dec.13.1997) <主な受賞> SPIE業績賞、電子通信学会業績賞、科学技術庁長官賞、恩賜発明賞、前島密賞 1998 IEEE David Sarnoff Award(すべて光ファイバ母材の連続製造法の研究開発に対して) <主な発表論文・書籍> (多成分ガラス光回路関連) 1. "Optical waveguide formed by electrically induced migration of ions in glass plates",   Applied Phys. Lett. Vol.21, 584,1972 2. "Nd-glass laser with three-dimensional optical waveguide", Applied Phys. Lett. Vol.24,   603,1974 (石英系ファイバ関連) 1. "Continuous fabrication of high silica fiber preform", IOOC, July 1977, Tokyo, Japan 2. "Optical attenuation in pure and doped fused silica in their wavelength region",   Applied Phys. Lett. Vol.31, 33, 1977 3. "光ファイバ母体の連続製造技術", 電電公社研究実用化告, Vol..26, 2531,1977 4. "Optical fiber: Materials and fabrication", KTK Scientific Publishers, 1987 (石英系光回路関連) 1. "Deposited silica waveguide for integrated optical circuits", Applied Phys. Lett. Vol.38,   483, 1981 (ポリマー系光回路関連) 1. "Plastic planar waveguides for optical interconnects", ECOC-IOOC, 1991, Paris, France 2. "Polymer channel waveguides with low loss at 1.3μm", Electron. Lett., 27, 1342, 1991 <主な学会委員等> IEEE/LEOS (Vice President, Board of Governor) 電子情報通信学会 (エレクトロニクスソサイエティ会長) 応用物理学会(監事) OECC '96,'97(運営諮問委員会 委員長) CLEO/Pacific Rim '97 (実行委員長)                                  

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