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                                    平成10年5月18日

         定型的な日本語を完全自動翻訳するシステムを開発
    −高速・高精度の英訳で経済・気象・災害などの各情報サービスに適用可能−

 NTTでは、コンピュータが自動的に日本語の記事を英語に翻訳する日英機械翻訳システムALTFLASH
(アルトフラッシュ)を完成しました。
 ALTFLASHは、定型的な日本語の文章を対象に、高速かつ高精度の翻訳を実現し、刻々と変化する経済
・市況情報、台風などの気象情報、また緊急時に速報する必要性が高い災害情報などさまざまな分野で適
用できます。今回、ALTFLASHを決算速報記事の英訳サービスに適用し、人手を介さない日本初の完全自
動翻訳による世界への情報発信を可能としました。

<開発の背景>
インターネットの普及に伴い、距離の壁、時間の壁を克服した情報通信環境に求められるようになってき
たのが言語の壁の克服です。異なる言語間の翻訳をコンピュータによって行う機械翻訳は、これまでさま
ざまなシステムやアプリケーションソフトが研究開発されてきました。しかし、日本語から他言語への自
動翻訳にはまだ多くの技術的課題が残されており、これまで開発されたシステムも、翻訳者がマニュアル
などを翻訳する際の下訳用や、不完全な訳であっても利用者が概要を把握できるレベルでよいと割り切る
場合など、限定付きの用途で使用されるにとどまっていました。
 NTTでは、日本語で表現される情報の中で、速報性が重視される産業経済情報などの記事には定型的な
表現が多いことに着目し、この分野での実用的な自動翻訳技術の研究を進めてきました。その内容は、統
計的な手法によって実際の文章例群を基に定型的なパターンを自動的に抽出する技術や、昨年完成した世
界最大級のコンピュータ用日本語辞書を用いて日本語表現を解析し、主語や目的語と動詞の組み合わせに
応じて適切な訳語を自動的に選択する技術などです。

<技術のポイント>
ALTFLASHは、単語間の意味をとらえて訳語を選択する意味解析型翻訳と、定型的な表現をとらえて英語
に翻訳するテンプレート翻訳を組み合わせたハイブリッド型の機械翻訳システムです。
 意味解析型翻訳では、多様な語彙の組み合わせからなる文章を解析し、意味をとらえて翻訳します。テ
ンプレート翻訳ではあらかじめ設定したいくつかの定型パターンに当てはまるかを調べて、次に個々の単
語を英語に変換するステップと組み合わせて翻訳するため、翻訳されたものは100%の精度を実現するこ
とができます。
また、あらかじめ作成する定型パターンは、統計的手法を用いることにより業務形態やユーザニーズによ
って短期間で最適化することが可能であり、英語以外の言語への対応も可能なことから、さまざまな分野
で適用できます(図1)。さらに、サーバ/クライアント形式のLAN環境で翻訳の機能を実現している
ため、既存のシステムへ容易に組み込むことが可能となっています。

○システムの適用例
NTTのALTFLASHを日本経済新聞社の決算速報英訳のサービスに適用し完全自動化を実証しました。
 短文で簡潔に書かれている速報ニュースは、繰り返し出てくる定型的な表現が多く、この定型的な日本
語パターンをあらかじめ統計的な手法を用いて(例えば「A社の今期経常益xxx億円」)自動的に抽出して
おき、英訳への変換をルール化することで自動翻訳します。この方式により、均質で正確な翻訳が瞬時に
可能となりました。 
 また、今回実用化したシステムでは定型パターンに含まない社名や誤字などの自動検出も行われ、100%
正しい英訳を送信することができました。(図2)

<今後の展開>
 この技術は、定型パターンの日本語を使用するさまざまな分野に適用できます。例えば、外国人向けの災
害情報の速報、行政情報の案内、書類記入法などの各種手続き方法のガイダンスなどが想定されるほか、音
声認識装置や音声合成装置と結びつけることで、マルチメディアによる情報提供を可能とします。
 また、NTTでは今後もALTFLASHの技術を基に、新聞記事の本文のように比較的長い文の解析、複数の文
におよぶ文脈処理などを可能とするシステムの研究開発を続けていく予定です。



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