NEWS RELEASE


平成10年7月22日

日本電信電話株式会社



PHSへの音声通話/データ通信を識別して転送する装置「PHS-ODS」を開発
−PHSを利用した効率的なモバイル環境が構築可能に−


 NTTでは、PHSを利用した効率的なモバイルコンピューティング環境を実現できる音声通話/データ通信識別転送装置「PHS-ODS(On Demand Station)」を開発しました。

 「PHS-ODS」は、PHSへの着信時に音声通話かデータ通信かを識別し転送するベアラ識別転送機能により、音声通話は通話専用PHS子機へ、データ通信はデータ通信専用PHS子機へと自動的に振り分けて転送する装置です。これにより、利用者は1回線のPHS契約で複数のPHS子機を利用することができるようになります。(

 今回開発した「PHS-ODS」は、モバイルコンピューティングへの活用など、PHSを内蔵したPDA(小型情報端末)や小型パソコンなどの製品開発、及びPHSの機能を活用した家電製品の開発、またはプッシュ型情報配信システムへの適用など、さまざまな分野への応用が可能です。

 なお、NTTでは通常のPHS端末にベアラ識別転送機能を組み込んだ「一体型タイプ I」と、ベアラ識別転送だけを行う「単体タイプ II」の2種類のプロトタイプを製作しました。



<開発の背景>

 PDAや小型パソコンなどの携帯端末の普及が進むなか、携帯性に優れ、高速データ通信が可能なPHSは、モバイルコンピューティングや、PHSを利用したプッシュ型情報配信サービス、家電製品の遠隔操作など、将来のマルチメディアサービスを実現する有効な通信手段です。

 しかし、現在のPHSを利用してデータ通信を行う場合、その都度PHS端末をパソコンに接続する必要があります。これではプッシュ型のデータ送信サービスを利用できないといった問題や、いつ送られてくるのか分からないデータを待っている間に音声通信がしにくいといった問題があります。また、音声通話とプッシュ型サービスを含むデータ通信をいつでもできる環境を整えようとすると、二つの番号(2回線契約)が必要になります。

 そのためNTTでは、PHSの1契約=1番号で効率的なモバイルコンピューティング環境の実現を目指してきました。


<技術のポイント>

(1)ベアラ識別転送機能

 今回の開発では、通信の開始前にその通信が通常の音声通話かデータ通信かという通信の性質(ベアラ能力)を自動的に識別し、あらかじめ指定したPHS子機に信号を転送するPHS無線プロトコル処理技術(ベアラ識別転送機能)を実現しました。

 これにより、利用者は1契約=1番号で複数の通話専用PHS子機とデータ通信専用PHS子機を共有することが可能となり、効率的なモバイルコンピューティング環境を実現することができます。

 なお、今回製作した2種類のプロトタイプでは、PHS子機としてPHS端末を最大8台まで利用可能です。

(2)1送受信部による無線制御技術

 NTTでは、一つの無線送受信部でPHS-ODSと子機及びPHS-ODSと基地局との通信を常時可能にする無線制御技術を開発しました。本技術はPHSの無線方式である時分割多重接続方式を活用して基地局側と子機側に対する二つの異なる周波数を時間的に適宜切り替える技術で、特にPHS-ODSで音声通話かデータ通信かを識別する際の複雑な周波数切り替え制御に成功しました。

 これにより、二つの無線送受信部を内蔵する必要がなくなり、製作したプロトタイプのうち単体タイプIIでは、容積約40cc、重量約40gと小型化を実現しています。


<今後の展開>

 今回開発した技術は、将来のマルチメディアサービスを実現する基盤技術のひとつとして位置づけられます。PHSを利用したプッシュ型情報サービスや、遠隔地から自宅の家電製品にPHSを使って操作(ビデオの予約など)するなど、さまざまな分野への応用が期待されます。

 今後NTTでは、更なる小型化と省電力化、他の子機が回線を使用している際に新しい着信を通知するコール・ウェイティング機能の追加などの研究を進めていきます。




NTT NEWS RELEASE