News Release


平成11年3月8日

日本電信電話株式会社



高速・大容量光ファイルシステムを開発

―書込み速度を大幅に向上し、大容量の情報倉庫を実現―


 NTTでは、DVD-RAMドライブを用いたライブラリ装置複数台に同時に並行してデータ処理を行わせることができるコントローラを開発し、約2テラ(2兆)バイトの情報が蓄積できる高速・大容量光ファイルシステムを実現しました。この装置の蓄積容量は、1館10万冊といわれる図書館の4館分に相当します。また、MPEG2で圧縮したデジタル画像を約700時間蓄積可能です。


 従来のDVD-RAMドライブは、その書き込み速度がネットワークの速度に比べて大幅に劣っており、イントラネット等を通じて得られる大量の情報の取り込み、蓄積などに利用するには限界がありました。今回開発したシステムは、ホストコンピュータからの指示に対しコントローラがライブラリ装置複数台に同時にデータ処理を行わせ、結果を一括して送出することができるため、DVD-RAMドライブ単体に比べ約5倍高速の書込み・再生(6メガバイト/秒)を実現したものです。


 また、従来は一つ一つのDVD-RAMドライブごとに個別に管理するしかなく、容量に限界がありました。本システムは、システム内のコントローラが複数のライブラリ装置を仮想的に1つの大きな装置として制御することにより、ユーザからは最大約2テラバイトの大きな1つの情報の倉庫として扱うことができることになりました。


 このシステムは、イントラネットによって集められる会社内の多くのドキュメント、また、電子美術館、電子博物館が蓄積する高精細イメージなど、膨大な文書や画像のデータを蓄積でき、それらデータの検索・加工を行うマルチメディア情報流通社会の需要にも対応できます。



<開発の背景>

 近年、マルチメディアサービスを支える記憶システムとして、映像コンテンツなどの飛躍的増大に対応可能な高速・大容量の記憶システムの構築が求められています。このような記憶システムではアクセスの高速化とテラバイト容量の情報蓄積が要求されますが、これを安価に構築できるシステムがありませんでした。近年標準化が進んでいるDVD-RAMは映像コンテンツの蓄積に適した媒体ですが、データ容量はディスク一枚で2.6GBと少なく、さらにデータを書き込むスピードが0.69メガバイト/秒とネットワークの速度に比べて大幅に劣っているため、マルチメディアサービスに適用するためには、容量の拡大と書き込み速度の向上が大きな課題となっていました。


<開発の内容>

(1)複数の*ライブラリの並列制御機構(

 1-1書き込み速度の向上

 本システムは、単純な構成のライブラリをデータ用に5台、*パリティ用に1台用いたものとそれらを制御するコントローラで構成されています。バッファメモリに蓄積された大容量データを5台のライブラリに64キロバイトのブロック単位で同時並行して振り分けて記録することで、データ処理を5台分まとめて実行することができ高速な転送が実現されています。また、もう1台のライブラリにパリティデータを記録し、データが正確に書き込めたかどうかをパリティ検査で行えるようにしました。この結果、従来のDVD-RAMドライブに比べ5倍速(6メガバイト/秒)のデータ処理スピードを実現しました。

 1-2複数ライブラリの仮想化

 物理的には複数のライブラリですが、ホストコンピュータの指示に対してコントローラが各ライブラリをまとめて同時並行してデータ処理を行わせるため、ユーザからは論理的にひとつの高速・大容量なライブラリに見える構成となっています。このようにすることで、あたかも13ギガバイトの記憶媒体をドライブで記録再生できる総記憶容量約2テラバイトのライブラリとしてお使いいただけます。


(2)省スペース化と信頼性の向上を実現したライブラリ装置

 2-1 実装効率の向上

 このライブラリでは、総容量1.3〜1.95テラバイトの膨大なデータが蓄積できます。 DVD-RAM媒体を保管棚にコンパクト収納するために、媒体をケース(カートリッジ)なしのトレイ上に格納して高密度実装を実現し、上下方向の一軸のみに媒体を移動させる単純な媒体移動ロボットメカ系を採用し、ライブラリの体積を従来の1/3で実現しています。小型であり、大容量の情報蓄積をオフィスの中でも実現できます。

 2-2 信頼性の向上

 データ用に5台、パリティ用に1台のライブラリを使用し、記憶媒体及びドライブ、チェンジャ障害に対しても無瞬断で連続運転が可能な構成としています。なお、この技術は磁気ディスク装置で用いられる*RAID(Redundant Array of Inexpensive Disks)を拡張したもので、*RAIL (Redundant Array of Inexpensive Libraries)技術と呼んでいます。

 さらに、電源として商用電源がオフの場合でも非常用の電池を用いてコントローラのデータを待避できるとともに、商用電源と非常用の電池の両者を2重化することで、*MTBF (Mean Time Between Failure)25万時間という高信頼化を実現しています。


<今後の予定>

 本システムは、平成11年4月より商用化の予定です。また、NTTとしては今後RAIL技術の普及を推進していきます。


<用語の説明>

(1) ライブラリ
 記憶媒体、ドライブ、チェンジャ等により構成される記憶装置ユニット

(2)パリティ(parity)
 データの誤りを検出・訂正する技法の1つ.5台のデータ用ライブラリの同一アドレスのデータに含まれる1または0の数を計算し,その結果をパリティビットとしてパリティ用ライブラリの同一アドレスのデータに付加する.データを読み出したときに、ひとつのデータ用ライブラリからデータが読み出せない場合にパリティ用ライブラリから読み出したパリティビットから、読み出せなかったデータを復元できる。

(3)RAID(レイド)
 比較的安価な磁気ディスクを複数台用いてアクセスを分散させることにより、高速・大容量で信頼性の高い磁気ディスク装置を実現するための技術。RAIDは、機能によってRAID0からRAID5の6段階に分けることができる。

(4)RAIL(レイル)
 比較的安価なライブラリを複数台用いることにより、高速・大容量で信頼性の高いライブラリ装置を実現するための技術。パリティデータを付加してさらにデータ用ライブラリを複数台に分散させ,1台故障してもデータが失われないようにしている。

(5)MTBF(平均故障間隔時間)
 故障を発生することなく作動する平均時間。



別紙
表1 高速・大容量光ファイルシステム
DVD-RAMを用いた高速・大容量光ディスクライブラリ
仮想ライブラリ技術
装置仕様




本件についての問い合わせ先
サイバーコミュニケーション総合研究所
情報戦略担当
TEL:0468-59-2032



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