平成11年3月9日 | ||||||||||||||||||||||||||||
(報道発表資料) | ||||||||||||||||||||||||||||
日本電信電話株式会社 清水建設株式会社 | ||||||||||||||||||||||||||||
コンクリート構造物の健全性を診断する 『ひずみセンシング用光ファイバ』を開発 −連続的にひずみを計測、敷設が容易で低コスト− | ||||||||||||||||||||||||||||
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<開発の背景と意義> 土木建築業界では、21世紀に向けた新たな防災システムのひとつとして、構造物自体に経年劣化などの自己診断機能を持たせる「スマートストラクチャ」の研究が進められています。 しかし、これまでは、ひずみを正確に計測し、かつ十分な強度および耐久性を持つインテリジェントなセンサの開発が困難でした。それを実現したのが、今回開発した『ひずみセンシング用光ファイバ』です。 住まいと暮らしの安全を願う社会的ニーズへの貢献が期待されます。 <開発の経緯> ベースになったのは、NTTが平成9年に開発した「光ファイバを用いた地盤や建造物のひずみ計測技術」であり、その技術は通信用光ファイバの保守技術(以下、BOTDR (*1))を応用したものです。 光ファイバには、光を通すとひずみがある部分から特別な反射光(ブリルアン散乱光(*2))が戻ってくるという性質があります。 BOTDRは、この性質に着目し、反射光の周波数と戻ってくるまでの時間を計測することによって、光ファイバ全体にわたって、生じているひずみとその位置を特定できるようにしたものです。通信用光ファイバを構造物と一体化することにより光ファイバのひずみから構造物のひずみを高い精度で"線"あるいは"面"で連続的に推定することが可能になりました。 しかし、コンクリート構造物のひずみ計測技術を実用化するためには、十分な強度および耐久性を持ち、特別な処理なしでコンクリートに埋め込むことができ、かつコンクリートとの密着性が高いセンシング用光ファイバの実現を待つ必要がありました。 そこで、NTTと清水建設がそれぞれ光学分野と土木建築分野のノウハウを持ち寄って、コンクリート構造物に適した光ファイバセンサを共同開発し、今回の『ひずみセンシング用光ファイバ』が誕生しました。 <従来のセンサとの違い> 現在、ひずみ計測には、ひずみゲージ(*3)と呼ばれる電気的センサが一般的に用いられています。しかし、これは、"点"状のセンサをケーブルでつなぐ構造のため、次のような限界と問題を抱えていました。
対して、今回開発した『ひずみセンシング用光ファイバ』では、これらの課題をいずれもクリアしています。 主な特徴としては、
<技術のポイント> 実現すべき課題は、主に3点でした。
まず、1)については、通信用光ファイバ素線(外径0.25mm)の外側にガラス繊維強化プラスチックGFRP(*4)をコーティングすることで実現。さらに、その周囲にポリエステルの繊維を巻き付けることで凸凹をつくりコンクリートに密着する構造とし、2)、3)を可能にしました。 こうしてできた外径2mmのセンシング用光ファイバは、そのままコンクリートに埋め込むだけで設置可能なことから敷設コストの抑制に貢献。また接着剤を用いないことで計測上の信頼性も向上させました。 さらに3)に関しては、工事担当者が扱いやすいよう、ファイバ端部を図1のように、接続にあたって心線が取り出しやすくするような処理も施しました。 本センサは、両社のノウハウを集めた、全く新しいひずみセンサといえます。 <今後の展開> 対象となる構造物によってセンサに求められる要求条件も異なってくると予想されるため、今後両社は、現場での計測実証試験を重ね、商品化に備えていく予定です。 なお、適用先としては、超高層ビル、コンクリート橋(道路、鉄道など)、ダム、都市基盤である共同溝、舗装道路(荷重検知)などが考えられます。 <用語解説>
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別紙 ・図1:センシング用光ファイバの構造 ・図2:実験概要 ・図3:センシング用光ファイバによるたわみ分布測定結果 | ||||||||||||||||||||||||||||
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![]() NTT NEWS RELEASE | ||||||||||||||||||||||||||||