News Release


平成11年6月1日

日本電信電話株式会社



『世界初、光信号を直接入出力可能とする
ATMスイッチ用マルチチップモジュールを開発』
―ハガキ大で拡張性に優れ、テラビット級のATM交換も可能に―


 NTTは、世界で初めて、光のATM(*1)セル信号を直接入出力できるATMスイッチ用マルチチップモジュール(以下「MCM(*2)」という)を開発しました。ハガキ大の大きさで処理能力も毎秒80ギガビットと世界最高性能を実現しています。

 現在商用化されている交換機では、交換処理用LSI間の信号のやりとりをすべて電気でおこなっています。しかし、この方法では、ボード実装技術上の限界から、最先端の交換処理用LSI同士をつなぐことが不可能になりつつあります。

 今回開発したMCMの大きな特徴として、ATMスイッチ用MCMの信号入出力部を光化することにより、そのボトルネックを解消するとともに、光接続のため、最先端の交換処理用LSIをつなぐことが可能になり、従来にない技術を実現しました。また、超多並列の信号処理も可能です。さらに、モジュール間の相互接続も光ファイバを用いてコンパクトにできるため、何段にも組み合わせることで飛躍的な処理能力の拡張が望めます。このモジュールを用いれば、次世代のテラビット級ATMシステムも実現可能になります。

 近年、インターネットの普及に見られるマルチメディアトラヒックの急増に伴い、ネットワークインフラの高速・大容量化が進められています。2005年頃にはATMスイッチの処理能力も数テラビット級が求められる、と予想されます。このニーズに応えるためには、従来の電話トラヒックを中心とした交換システムから抜本的に脱却することが必要です。NTTでは、次世代ATMシステムを早期に実現する基盤技術として、単位スイッチの能力拡張に限界があるという電気接続の弱点を克服し、かつフレキシブルに相互接続できる光インタフェースのMCMの開発に取り組んできたものです。

 今回開発したMCMの応用例としては、高速/多並列信号の入出力を行うブロックを相互接続するシステムへの適用が考えられます。
つまり、今回開発したMCMを複数接続していくことで、テラビット級以上のATM交換機に応用することが出来ます。また、搭載するLSIチップの機能を替えることによりIPルータや超多並列コンピュータシステムなどへの応用も可能です。

 今回の成果は、6月4日米国サンディエゴで開催されるIEEE主催のECTC(*3)において発表する予定です。


<主な特徴>
1) 光のATMセル信号を直接入出力可能(世界初)
 交換処理用LSI間を電気的に接続する従来の方法では、ボード実装技術上のボトルネックから、単位スイッチの能力拡張に限界がありました。今回開発したMCMは、交換処理用LSIの入出力インタフェースを光化することにより光のATMセル信号を直接入出力可能にしたもので、これにより、現在最高速の商用交換機では、40Gb/sATM交換処理のために1架必要でしたが、その2倍の性能をハガキ大のMCMで実現しました。
2) 小型化(世界最小、写真参照
 ハガキ大の大きさで80Gb/sの処理能力を実現しました。これは、現在最高速のATM交換処理用ボード(40Gb/s)の40分の1に相当する小ささです。
3) 超多並列伝送が可能
 光信号のインタフェース部分に、ParaBIT(*4)を使用しているため、622Mb/s_40チャンネルと高速かつ多並列の信号入出力が可能です。
4) 優れた拡張性(高い接続自由度)
 交換処理用LSI間を電気的に接続する従来のMCMでは、相互接続に膨大な物理量を有する電気コネクタ/ケーブルを用いるため、拡張性に制約がありました。今回開発したMCMは、幅1cm厚さ1mm以下という極軽量のテープファイバ(光ファイバを寄せ集めてテープとしたもの)をわずか32本周囲に装着するだけで相互接続できるため、システムを巨大化することなく、交換処理能力をリニアに拡張することができます。



<技術のポイント>

 今回開発したMCMには、NTTの有する最先端技術が集められています。
1) セラミックMCM技術:厚さわずか50ミクロンのセラミックを40層重ねた多層セラミック基板上に最先端LSIを8個搭載することで、80Gb/sの処理能力にしてハガキ大という超小型化を実現しました。世界でも最先端に位置するMCM技術です。
2) ParaBIT:光信号のインタフェース部分には、NTTの開発した超小型・超多並列光インタコネクションモジュール(ParaBIT)を使用しました。今回の開発品では、1モジュール当たり切手2枚分という超小型化を達成しています。
3) 一体化技術:発熱密度が不可避的に高くなる多層セラミックMCMと、熱によって特性変動が起こりやすい光部品(ParaBIT モジュール)の混載を実現するため、支持フレームもかねる特殊な冷却構造を考案しました。また、冷却方式として、コンパクトで十分な性能の得られる液冷を採用しているのも特徴です。



<用語解説>
    
*1 ATM : Asynchronous Transfer Mode 非同期転送モード。音声・データ・映像などのあらゆる情報を53バイト固定長(うち5バイトはヘッダ)のセル信号に分割し転送する技術。大容量のマルチメディア情報を高速に伝送できる。
*2 MCM : Multi Chip Module LSIチップをケースに入れず直接セラミックなどの基板上に実装する技術。モジュールの高速化・小型化に有効。
*3 ECTC : Electronic Components & Technology Conference IEEEが主催する学会(今年で第49回)。カバーする領域は、部品・材料・装置・実装技術と幅広い。
*4 ParaBIT : parallel inter-board optical interconnection technology NTTが開発した超小型・超多並列光インタコネクションモジュール。622Mb/sの高速ディジタル信号を40チャネル同時に光化して送受信可能と、1モジュール当たりのスループット(一定時間内に処理・交換できる情報量)で世界最高性能を実現。



別紙
開発した光入出力マルチチップモジュール




本件に関するお問い合わせ先


NTT武蔵野研究開発センタ
R&D広報担当 倉嶋、佐野、大崎
TEL:(0422)59-3650 FAX:(0422)59-4398



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