報道発表資料

平成11年6月14日

日本電信電話株式会社
株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー情報流通
株式会社旺文社
株式会社編集工学研究所
株式会社毎日新聞社
ヤマハ株式会社
株式会社東芝



ネットワーク上で新たな知識/情報の創造・取引・交換の場を提供する
「知の市場(ちのいちば)」システム総合実証実験の開始について


 日本電信電話株式会社(以下 NTT、東京都新宿区、代表取締役社長 宮津純一郎)、株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー情報流通(以下 NTT−X、東京都千代田区、代表取締役社長 池田 茂)、株式会社旺文社(以下 旺文社、東京都新宿区、代表取締役社長 赤尾文夫)、株式会社編集工学研究所(以下 編集工学研究所、東京都目黒区、所長 松岡正剛)、株式会社毎日新聞社(以下 毎日新聞社、東京都千代田区、代表取締役社長 斎藤 明)、ヤマハ株式会社(以下 ヤマハ、静岡県浜松市、代表取締役社長 石村和清)、株式会社東芝(以下 東芝、東京都港区、代表取締役社長 西室泰三)の7社は、ネットワーク上で情報の収集や発信したい人が相互に作用しあうことで新たな知識/情報の創造・取引・交換を可能とする知的活動の場の形成を促進することにより、情報流通ビジネスの活性化と拡大を目的とした「知の市場」システム総合実証実験を、平成11年7月14日(水)から開始します。

 本実証実験では、情報の生産者から消費者への片方向的な情報流通の概念を超えて、消費者同士の情報流通や、情報をコンテストする集約型情報流通モデル等、「知のプロシューマ」(=知識/情報の生産者/消費者)が提供する知識/情報の価値を更に高めるための活動を触発し加速する次世代情報流通モデルを「知の市場」上に形成し実証します。

 また、実験開始に伴い、コンテンツを購入利用できる参加者10,000人を、「知の市場」ホームページ上で平成11年6月24日(木)より募集します。

 なお、本システムの開発及び実証実験は、通産省補正事業の「先進的情報システム開発実証事業(電子商取引の実用化等)」の採択案件です。


  1. 背 景

     現在、出版物、写真、音楽等の情報のデジタル化が急速に進展する中、ネットワークを利用したデジタルコンテンツの流通が技術的に可能となり、コンテンツ事業者にとってビジネス拡大に大きな可能性をもたらすこととなりました。また、インターネットの発展とともに、多数のバーチャルショップやモールが運営されており、インターネット上に仮想の社会が出現しつつあります。

     しかし、これらインターネット電子流通社会における情報流通モデルでは、既にOne to Oneマーケティング手法をはじめとして様々な試みが行われていますが、依然として売り手・買い手が固定化したままの片方向・大量生産販売型が主流であり、“双方向性”というインターネットの特長が十分に生かされていません。情報流通の活性化を通じて経済・社会を発展させるためには、単にコンテンツ数やIP数を増加させるだけでなく、売り手と買い手がネットワーク上の場を通じて相互に「参加」「出会い」「交流」を行い知識/情報を交換する事によって、新たな価値や情報を増大させる双方向の情報流通モデルが求められるようになってきました。

     また、コンテンツ事業者が電子流通ビジネスに参入する場合、電子商取引における共通プラットフォームが未整備のため、事業者は商品自体を売るための工夫(品揃え、商品陳列、サービス内容等)に加え、コンテンツの配送、違法コピー防止のシステム作りや決済手段までを含め、システム構築に多大な知識と費用を費やしています。このことが電子流通ビジネスの活性化を阻害している大きな要因の一つと考えられます。


  2. 目 的

     本実証実験は、分離・固定化されている売り手と買い手に新しい創造・取引・交換の場(知識/情報による知の活動の場=「知の市場」)を提供し、一方通行であった情報の流れを双方向にすることで、新たな知的活動の基盤形成を図り、情報の創造と消費の総量を増やし、情報流通ビジネスの活性化と拡大を目的として実施します。

     技術面では、NTT情報流通プラットフォーム研究所が開発したアプリケーション共通プラットフォームを利用して、各社から提供されている多数のEC製品群を有機的に結合できるようにするとともに、商店構成や取引の形態に合わせたアプリケーションを容易に表現できるシナリオ(*1)を整備することで、電子流通ビジネスに参入する事業者のシステム構築コストを大幅に低減することを目指します。


  3. 実施内容

    (1)次世代情報流通モデルの形成実証
     従来のコンテンツの流れは、情報生産者(売り手)から消費者(買い手)への片方向的な流れ(1:n型の情報流通モデル)となっています。

     「知の市場」では、従来の1:n型の情報流通モデルの概念を超えて、潜在的に多様な趣味・ 嗜好・才能を持った多数の「知のプロシューマ」同士が情報交換を行う情報流通モデル(n:n型)や、「知のプロシューマ」から提供される情報をコンテストし登竜門とするような集約型情報流通モデル(1/n型)等の、次世代情報流通モデルを形成し実証します。


    (2)


    新しい“取引・交換の場”の 提供
     次世代情報流通モデルに基づき、従来の売り手、買い手に加え「知のプロシューマ」など、多様な参加主体が相互に交流することで触媒的効果により情報の価値を高める新しい取引・交換の場「知の市場」を提供します。

     具体的には、NTT等各社の情報流通要素技術/製品を利用して取引プラットフォームを構築した上、今回開発するシナリオ、並びに情報流通基盤API(*2)により次世代情報流通モデルを実サービスとして提供するアプリケーションシステムを構築し、ネットワーク上で「知の市場」ポータルサービス及びモールサービスとして提供します。



  4. 開発するシステムの内容

     電子商取引の処理の流れを記述したアプリケーションプログラム(シナリオ)における典型的なパターンを分類体系化し再利用しやすい形にしたシナリオテンプレート(*3)と、EC分野で各社が開発・提供しているプラットフォーム技術製品群とシナリオ間のインタフェースとなる汎用的な情報流通基盤APIを開発します。また、これらを利用して「知の市場」の個別サービスアプリケーションを開発します。


  5. 実証実験における検証内容

     「知の市場」上で提供する各社のサービスシステムの構築と実運用を通じて以下の検証を行います。

    <1>開発したシナリオテンプレートの有効性と情報流通基盤APIの汎用性
    <2>次世代情報流通モデルに基づく各社のサービスを「知の市場」上で実ビジネスとして運用することによる市場性・ビジネス化の可能性



  6. 期 間

     平成11年7月14日(水)〜平成11年12月27日(月)


  7. 各社の役割及び実証実験での実施サービス

    (1)NTT、NTT−X
     実証実験における、プラットフォーム提供、ソフトウェア(シナリオ、API)開発、システム運用等を実施します。


    (2)


    旺文社、編工研、毎日新聞社、ヤマハ、東芝
     次世代情報流通モデルの有効性とビジネス性を検証するため、「知の市場」上で、以下のサービスを実ビジネスとして提供します。
    クリエイターズ・オープン(*4)----- 旺文社
    Alter Zero Atrium(アルター・ゼロ・アトリウム) (*5)----- 編集工学研究所
    毎日フォトバンク(*6)----- 毎日新聞社
    Online Music Initiative(オンライン・ミュージック・イニシアティブ)(*7)----- ヤマハ、東芝

     なお、各社のサービスは有料です。課金・決済処理は、NTT情報開発株式会社が提供する「BISKETS(*8)」サービスにより行います。


  8. アクセス方法

    (1)「知の市場」ホームページ
     以下の「知の市場」ホームページ上で、平成11年7月14日(水)より実験を開始します。
      「知の市場」ポータル&モール → http://www.i-market.gr.jp/

     なお、6月15日(火)より実証実験・サービス概要等の紹介を開始します。



    (2)


    会員登録
     「知の市場」で提供するサービスに参加・利用するためには、会員登録が必要です。

     会員の種別には、コンテンツを購入利用できる一般利用者会員と、各社の提供サービスにおいてコンテンツを発信(生産)することが可能なプロシューマ会員があります。

     一般利用者の会員登録は、6月24日(木)より「知の市場」ホームページ上で開始します。

     また、プロシューマ会員は、「知の市場」上で提供する各社のサービス内で登録を行います。



  9. 今後の予定

     今回の実証実験で整備するアプリケーション開発環境・運用環境(シナリオテンプレート、並びに情報流通基盤API)により、電子流通ビジネスの社会的分業が促進されるとともに、EC製品の互換機能や関連技術の再利用が進展し、EC分野全般におけるサービス基盤の拡大をもたらし、EC産業の活性化を促す社会的効果が期待できます。

     今後は、上記の社会的効果の検証を行うとともに、本実証実験で提供する次世代情報流通モデルに基づく「知の市場」サービスの市場性検証を行い、事業化についての検討を行います。

     また、シナリオテンプレート、情報流通基盤APIなど開発技術の標準化等の検討を行います。




*1:シナリオ
 受発注、購入、決済等の取引プロセスにおいて、電子化された情報の流れをモデル化し、情報流通・取引モデルに基づくサービス(アプリケーションプログラム)を抽象度の高いプログラム言語で記述したもので、画面遷移、画面構成を中心に入出力されるデータとそれに伴う処理を規定したセルフワーク型と、サービスの各処理のフローおよびフローで流れるデータを規定したチームワーク型があります。


*2:


情報流通基盤API
 シナリオから広告、著作権管理、決済などの情報流通基盤の各機能を利用するためのインタフェースのことをいいます。情報流通基盤のインターフェイスの違いを吸収しシナリオの変更を最小限に抑えることが可能となります。


*3:


シナリオテンプレート
 シナリオを典型的なパターンに分類し、「販売型」「広告型」のように再利用しやすい形で体系化したもの。システム構築の際は、サービスに近いシナリオテンプレートを利用することで、短期間、経済的に開発することができます。


*4:


クリエイターズ・オープン【旺文社】
 マルチメディア英会話ソフトのインタラクティブな相互参加型クリエイションマーケットです。クリエイターが基本コンテンツ(旺文社の英会話書を予定)を使って英会話ソフトを作成・販売し、学習者が購入します。ソフトは英会話書一冊分丸ごとではなく、部分に分けて制作販売しますので学習者は少しずつ購入・学習できます。また、学習者が感想や意見を記入する掲示板を用意しますので、学習者とクリエイターとの交流が生まれます。


*5:


Alter Zero Atrium(アルター・ゼロ・アトリウム)【編集工学研究所】
 Alter Zero Atriumは、デジタル社会でのミーム(文化遺伝子)の流通と知財の育成をめざす実験的なコミュニティ・プロジェクトです。そこではゲームや道場、会議室などのしくみを通してさまざまな編集活動がくり広げられ、多彩な方法・コンテンツ・才能が交換されます。「知の市場」では、Alter Zero Atriumの活動の一部を体験できます。


*6:


毎日フォトバンク【毎日新聞社】
 幕末から現在まで15万枚以上の画像を収録する日本最大級のデジタル写真データベー ス「毎日フォトバンク」のコンテンツを、従来の来社・郵送などによるプリント渡し方式に加えて、新たにオンラインで貸し出す電子流通サービスを提供します。会員登録することで、検索から注文、決済、配送のほか、価格交渉等をインターネット上で処理し、必要な画像がデジタルデータで入手できます。著作権保護のため販売する画像には、電子透かしの技術を用いた権利管理を実施します。


*7:


Online Music Initiative(オンライン・ミュージック・イニシアティブ)【ヤマハ、東芝】
 知の市場の実証実験をプラットフォームとして、ヤマハと東芝がお届けする音楽コンテンツの新しい配信サービスです。デジタル音楽の無料試聴やコンテンツのダウンロード販売等のサービスを提供します。


*8:


BISKETS(ビスケッツ)
 NTT情報開発株式会社が提供する会員制の決済サービスです。インターネット上の バーチャルショップにあるデジタル商品を、クレジットカードまたはBISPON(ビスポン: インターネット上の電子クーポン)で気軽に購入できます。NTTが開発した暗号化・電子認証技術を採用しており、セキュリティに優れた決済サービスです。



別紙
・別紙1 「知の市場」のねらい
・別紙2 「知の市場」システムのイメージ




<本件に関するお問い合せ先>


【知の市場 実証実験】
NTT東日本会社移行本部 法人営業本部 マルチメディア推進部
(知の市場総合運営事務局)
篠 原
電 話:03-5200-6770

株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー情報流通
森 保
電 話:03-3278-3212


【クリエイターズ・オープン サービス】
株式会社旺文社 企画室
福 岡
電 話:03-3266-6287


【Alter Zero Atrium サービス】
株式会社編集工学研究所
辛(シン)
電 話:03-3780-0800


【毎日フォトバンク サービス】
株式会社毎日新聞社 情報サービスセンター
松 村
電 話:03-3212-0291


【Online Music Initiative サービス】
ヤマハ株式会社 広報部
星 野
電 話:03-5488-6601

株式会社東芝 広報室
宮 崎
電 話:03-3457-2100



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