<主な特徴> |
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本システムの特徴は、1)構造設計の検証、2)変形・損傷位置の検出、3)自動/遠隔計測を実現したことです。損傷等の検出は、本システムをベースキャンプに設置し、定期的に船体のひずみを自動計測することにより行います。そのひずみを解析し、損傷が検出された場合には、その場所をパソコン画面上に船体図と重ね合わせて表示します。さらに、詳細な情報が必要な場合、通信回線を利用した遠隔操作を行うこともできます。
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<技術のポイント> |
| | 1) |
船体の構造設計へのフィードバックを実現
本システムでは、ヨットに取り付けらた細径で軽量な光ファイバセンサにより測定される連続的なひずみ情報を用いることで、ひずみゲージ(*3)など従来のセンサのように「点」の情報ではなく、船体全体の3次元的なひずみ情報を得ることが可能です。このひずみ情報を解析することにより、損傷の検出だけでなく、船体の変形状態をチェックすることができます。
ニッポンチャレンジ艇を含むヨットでは、船首と船尾を結んだ前後方向に大きな力がかかります。そのため、前後方向を変形しにくくするために、剛性が高くなるように設計されています。実際に、本システムを用いて水上と陸上で船体のひずみ計測を行い、それらの状態変化を解析しました(図2参照)。この結果、前後方向については船体中央に向かってなだらかに変化するひずみ分布が観測され、船体の構造が理想的であることを確かめました。一方、周方向のひずみについては、前後方向に比べて状態変化が少し大きくなっていますが、この結果はシミュレーションによる構造解析などとも一致しています。これらのことから本システムは、構造設計の検証に有効であることがわかります。
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2) |
損傷(剥離)検出方法の確立
光ファイバセンサにより測定された連続的ひずみ情報から、剥離が発生した位置を検出することが可能です。(図3参照)
船体を構成する部材の接合部分に取り付けられた2本の光ファイバセンサのひずみを比較することにより、部材間に生じたひずみの原因が、変形によるものかそれとも部材間の剥離なのかを判別することができます。
さらに、光ファイバを船体に取り付ける際に、センサ部分とそれ以外の部分で光ファイバの種類を変えています。これは、それらの境界を目印として用いるためで、これらを手がかりとしてひずみ情報とその船体上での対応関係を求め、ひずみ情報から船体の変形や損傷位置を検出します。
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3) |
自動計測・遠隔操作による診断が可能
アメリカズカップ2000では、本システムを用いた自動計測を行うことにより、ニュージーランドのベースキャンプにあるニッポンチャレンジ艇の損傷検出を容易に行うことができます。また、詳細な検討を行う必要が生じた場合、通信回線で日本から本システムの遠隔操作を行うこともできます。
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<今後の展開> |
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今後は、ひずみ情報と損傷(剥離)の関係をより明確化するために、物体の変形を近似的に計算する有限要素法を用いたシミュレーション実験と、部分モデルを用いた実験を行います。また、本システムを実際に適用していきながら、ヨットのひずみ情報を基礎データとして収集していく予定です。
なお7月20日(海の日)、愛知県蒲郡市において本システムを搭載したニッポンチャレンジ艇の進水式が予定されています。
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