<参考資料>

技術の詳細

 半導体レーザにおいて消費エネルギーの削減は、キャリア密度が一定の条件の下では活性層体積を小さくすることにより実現できますが、小さな活性層体積でレーザ発振を得るためには高い反射率で光を閉じ込める事が必要です。従来の微小共振器レーザではフォトニック結晶技術を含む様々な方法で高い光閉じ込めを実現してレーザ発振が得られていますが、活性層で発生した熱を効率的に放熱する構造が実現されておらず、高速変調のためにキャリア密度を大きくすると活性層温度が急激に上昇しレーザ発振が停止するという問題を解決できていませんでした。
 今回の素子では、
(1) ナノメートル程度の高精度な選択成長およびエッチング技術により世の中で最も小さな体積(4×0.3×0.15 μm3)の埋込ヘテロ構造フォトニック結晶共振器を作製
(2) 埋込ヘテロ構造によりきわめて微小な領域に光とキャリアを効率的に閉じ込め
(3) 埋込In P層が活性層(In Ga As P)より一桁以上熱伝送率が大きな為、活性層で発生した熱を効率的に放熱可能
 となった事により、特性が大幅に改善され、これまで得られなかった低消費エネルギーで動作する半導体レーザが実現しました。
 本素子は、フォトニック結晶ナノ共振器レーザとしては世界最小閾値の1.5μW(マイクロワット)とファイバ出力の最大強度0.4μW(チップ内で4μW)を確認、さらに従来型半導体レーザに比べて20分の1以下の低消費エネルギー伝送の可能性を確認することができました(図2)。
 これまでの通常の導波路型半導体レーザは数ピコジュールのエネルギーを必要としており、面発光レーザでも1 bit伝送するのに約286 フェムトジュールのエネルギーを必要としていましたが、今回NTTの研究所が開発した素子は、通常素子と比べて20分の1以下に低減し、13フェムトジュールで動作させることに成功しました(図4)。
 また、素子サイズの観点からも1cm角程度のチップに数千個以上のレーザ、受光素子、スイッチ、メモリ等を集積することを考えると、将来的に電流注入型のフォトニック結晶レーザを作製した場合にも電極を含めて数ミクロン角であればチップに搭載可能となることからチップ上の集積にも十分なサイズであると考えられます(図1図4)。
 今回開発した半導体レーザは、高速動作を保ったまま小型化と低エネルギー化を同時に達成しており、本格的なチップ内光ネットワーク回路化の可能性を切り開くものです。


戻る

Copyright(c) 2010 日本電信電話株式会社