News Release

2010年9月8日


100ギガビット・イーサネット用集積型レーザ光源を開発
〜大幅な小型化、低消費電力化を実現〜


 日本電信電話株式会社(以下NTT、東京都千代田区、代表取締役社長:三浦 惺)は、ルータ等の通信機器に搭載する100GbE※1(ギガビット・イーサネット)用光トランシーバ※2の送信部に用いる、モノリシック※3集積レーザ光源チップ※4を開発しました。
 光ファイバで10kmを伝送するLANで標準化された最新規格では、1波長25Gbpsの異なる光信号4波を波長多重(WDM)して伝送することが定められていますが、今回開発したモノリシック集積レーザ光源チップは、この波長が異なる4つの25Gbps変調器付レーザと光合波器※5を1チップに集積したもので、従来の4つの単体のレーザを用いる方法と比較すると、光送信部のサイズおよび100GbE用光源としての動作に必要な消費電力を約1/3まで小さくすることが可能になります。
 本成果は、9月19日からイタリア(トリノ)で開催される国際会議European Conference on Optical Communication (ECOC2010)、および9月26日から京都で開催される国際会議International Semiconductor Laser Conference( ISLC2010) にて発表する予定です。本成果の一部は総務省委託研究「超高速光伝送システム技術の研究開発(イーサネット向け超高速省電力光伝送技術)」によるものです。


【開発の背景】
 近年、インターネットでの高精細な動画配信など、コンテンツの大容量化に伴い、大容量データ通信サービスの需要が急速に高まっています。そのため、アクセス系ネットワーク(LAN)環境にも更なる高速化・大容量化が求められています。本年6月にはLANの最新規格である100GbEの標準化が完了し、MSA※6に準拠した25Gbpsの光信号4波を波長多重(WDM)伝送する第一世代の光トランシーバの市場導入が始まりましたが、25Gbps×4波長を作り出すためには、波長多重信号※7生成用の電界吸収型(EA)変調器集積DFBレーザ※8が4つ必要となっているため、光トランシーバの小型化・低消費電力化が次の課題になっています。


【今回の成果】
 NTTのフォトニクス研究所は、光トランシーバの小型化・低消費電力化を実現するため、半導体層にアルミ(Al)系素材を用いて、25Gbpsの高速変調が可能な1.3µm帯EA変調器集積DFBレーザ(EA-DFBレーザ)4素子と、光信号を1つの導波路に集める光合波器を一体集積し、チップのサイズを2mm×2.6mmまで小型し、25Gbpsの光信号4波計100Gbpsの光信号を1つのチップから発振することに成功しました。(図1
 また、開発した集積チップを用いて、IEEEの規格で定められている100Gbps(1素子25Gbps×4波)信号のシングル・モードファイバ10kmのエラーフリー伝送にも成功しています。(図2


【技術の特徴】
(1) 1チップで100Gbps(1素子25Gbps×4波)の光信号の生成を可能にしました。
(2) 1チップに4つの異なる波長の変調器付きレーザと光合波器を集積可能にしたことで、従来の4つの波長にそれぞれ単体のレーザを用いる構成と比較し、約1/3のサイズまで小型化しました。
(3) 単体レーザを用いる構成では温度制御素子(TEC)が4素子(レーザ)分必要でしたが、集積化により、1つのTECで4波長分のレーザの温度制御が可能になり、消費電力を約1/3まで削減することを実現しました。
(4) 新たに高周波高密度配線技術を開発し、4つのレーザにそれぞれ25Gbpsの高速電気信号を配給することを実現しています。(図3


【今後の展開】
 100GbE(IEEE標準化:第二世代、第三世代)の普及に求められる100GbE用光送受信モジュールをはじめとする、光部品全般の小型化ならび低消費電力化に取り組み、経済的で低環境負荷の光ネットワークの実現に向けた研究開発を目指します。


<参考図>
図1 集積型レーザ光源チップ
図2 10kmファイバ伝送後の光波形
図3 レーザ・モジュール構成図


<用語解説>
※1 100ギガビット・イーサネット(100GbE)
100ギガビット・イーサネットは、主にLANで用いられる通信規格の一つ。イーサネットの中では、最速(100Gbps)で最新の規格。

※2 光トランシーバ
光通信技術において、信号を電気から光に、光から電気に双方向に変換する機能を持つ回路モジュールのこと。

※3 モノリシック
単一の半導体基板に複数の回路構成要素を集積すること。

※4 レーザ光源チップ
レーザ光源の中心となる素子で、レーザ発光、変調する素子で半導体基板から切り出したチップ。

※5 光合波器
複数の光信号を1本の光ファイバで波長多重伝送させるために、合波(束ねる)するもの。

※6 MSA(マルチソース・アグリーメント)
製品仕様の標準化によりユーザ利便性を高め、市場規模を拡大することを目的として、互換性のある共通仕様の製品を各社が開発・製品化するための取り決め(契約)。

※7 波長多重信号
1本のファイバで伝送される波長ごとに異なる信号を乗せた光信号が束ねられた信号。

※8 EA変調器集積DFBレーザ(EA-DFBレーザ)
電界吸収(EA)効果を用いる光変調器と、分布反射器(DFB)を内蔵した半導体レーザを一体集積した光源。主に短・中距離光通信用の光源として実用化されている。



<本件の問い合わせ先>
日本電信電話株式会社
NTT先端技術総合研究所
企画部 広報担当
Tel: 046-240-5157
http://www.ntt.co.jp/sclab/contact.html


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