(ニュースリリース)
2011年3月11日
日本電信電話株式会社
日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:三浦惺、以下「NTT」)は、光ファイバ中継網において、伝送品質劣化の一因となるPMDが高い区間(高PMD※1区間)を把握する、位相雑音補償光周波数領域反射計※2(PNC-OFDR)技術を開発しました。従来のC-OFDR技術では、高PMD区間を検出可能な測定距離は2km程度にとどまっていましたが、本方式を使うことで従来の20倍近い40kmの光ファイバ長でも高PMD区間をピンポイントで検出することができます。
本成果は、中継ビル間が80km程度である通常の光ファイバ網構成において、両端から測定することにより、光ファイバ網全体の高PMD区間を検出することができることから、光ファイバ網の品質向上、効率的な光ファイバケーブルの運用が期待されます。
光ファイバケーブルは、光の複屈折という現象によりPMDが発生し、特に光ファイバの黎明期に敷設されたケーブルには高PMD区間が存在する場合があります。しかし、当時は通信速度が数Gbps程度とあまり高速でなかったことから、高PMD区間による影響はほとんどありませんでした。
しかし、ここ数年の間に、ネットワーク上で伝送される情報量は爆発的に増加し、それに伴って光ファイバネットワークがめざましい勢いで高速化されたことから、高PMD区間の存在による伝送品質への影響が顕在化してきました。そのため、NTTのアクセスサービスシステム研究所(以下、NTT研究所)では、高PMD区間を検出し、該当部分の光ファイバケーブルの張替えを実施することで、伝送品質の維持と効率的な光ファイバケーブルの運用を図ることができるよう、高PMD区間検出技術の研究を進めてきました。
NTT研究所では、光ファイバの新たな計測技術であるPNC-OFDR方式を開発したことにより、光ファイバから発生する微弱反射光を、長距離のファイバの中からも高精度で測定することに成功し、世界最高水準の距離分解能※3を達成しました。
OFDRは光ファイバからの微弱散乱光を高精度に計測する技術として従来より知られていましたが、微弱散乱光を検出するためにファイバの中に送り込む光源に混在する雑音が、長距離のファイバの測定においては検出を阻害するため、本方式で測定できるファイバ長は2km程度とされていました。今回、位相雑音補償(PNC)という手法を使い、光源に混在する雑音を取り除くことで、約40kmの光ファイバ長でも高PMD区間を検出することに成功しました。
今回開発したPNC-OFDR技術による測定試験において、実験室では、測定距離40kmの場合に2cmの分解能を達成しました。また、フィールド環境の試験においても、測定距離40kmで分解能5cmという、実験室の場合とほぼ同等の世界最高水準の性能を確認しています(図1 )。
本成果では、測定可能距離が40kmであるため、中継区間が80kmまで延伸している現在の伝送路においては、両端からの測定が必要ですが、今後は、測定距離を80kmまで延伸し、片端からの測定のみで検出可能になるよう研究を進めるとともに、更なる検出精度の向上に向け、研究開発を推進し、2〜3年後の実用化を目指します。また、PNC-OFDRは、光ファイバ網のPMD区間検出に応用可能であるだけでなく、光ファイバケーブルの製造時におけるPMD検査のほか、温度や歪みの検出機構として各種製造装置や常時モニタリングシステムなどへの応用が可能であるため、産業界へ広く普及できるよう多分野への幅広い技術の応用を模索していきたいと考えています。
企画部 広報担当
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